yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 2/10

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

一昨日の強風の日から一転、昨日の中西部は1日穏やかなお天気。

自らは操縦桿を握ることなく、昨日はお客さんとしてシンシナティから比較的空いていた客席に乗り込み、

 

デトロイトまで帰ってきて、

 

外は気温こそ氷点下ではあったものの、お日様も燦々と差す、まずまず快適な1日……

この時期はどうしてもタイヤの空気圧が下がるので、外で作業が出来るときにタイヤの空気圧を調整してから家路に着くのが、裕坊のルーティン。

 

アマゾンで40ドルほどで買えて、持ち運びも出来るなかなかのスグレモノです。

 

帰宅。いいお天気…………

 

食材が完全に切れていたので、昨日は2軒にお買い物。

バレンタインデーの準備も、各お店ともしっかりと整っておりました。

 

そんな中、最近になって入ってきた話題といえば…………

エバー航空とともに、台湾を代表する大手航空会社のうちの一つ、中華航空パイロット達がストライキ。先日の2月8日(金)には23便がストライキの影響で欠航になったのだそうです。

 

皆さんもよくご存知の通り、2月の8日前後といえば、中国、台湾ともに、春節、旧暦でのお正月。

 

恐らく足止めなどの影響も大きかったことでしょう…………

ただ、アメリカのようにパイロットの労働時間を規定する法律が確実に整備されている国ばかりでもないようで、パイロット全体がかなり疲弊しているという記事を目にしました。これが事実であるなら、労働環境の改善は必要になるでしょう。

 

最近では3年前の2016年にルフトハンザ航空のパイロットがストライキ

 

アメリカの航空会社では、もっとも最近でいうとほぼ10年前に遡ること2010年、格安航空会社の一つであるスピリット航空パイロットがストライキに入り、

 

数日全便が欠航になる事態になりました。

 

最近でも同じく格安航空会社の一つ、デンバーに本社があるフロンティア航空のパイロットが、ストライキをほのめかし、

最近になって、契約の更新を勝ち取りました。

 

以前と比べると、労働環境自体は遥かに改善されてきたアメリカのパイロットの職場………

アメリカの場合は純然たる契約社会。契約が更新にならない限りパイロットの仕事といえども昇給はありませんので、会社の契約が切れる頃になると、こういった光景をアメリカではよく見かけるようになります。

 

ただ実を言うと、こうした光景を特にアメリカにおいてよく見るのは、法律的な縛りがあるからなのです。

 

国土が広いアメリカにおいて、鉄道や空輸などの輸送機関が止まってしまうと、ビジネスだけでなく、通常の生活をも直撃しかねないアメリカ合衆国。それを考慮して運輸業界に従事する労働者の規約を定めた法律が施行されました。

それがレイルウェイ・レイバー・アクト(Railway Labor Act)と呼ばれる、運送業従事者に関する規約。1926年、鉄道業に従事する従業員を管轄する法律として施行され、

1936年には改訂が加えられて、航空業をも管轄するようになりました。

 

趣旨は、簡単にはストライキができないようにしてしまうこと。経営側とパイロット側、主にはパイロット組合が双方で歩み寄る努力を積み重ねることを、規約の中で指示しています。

 

もしそれでも交渉締結に至らない場合は、通称NMB(National Mediation Board)と呼ばれる、連邦政府機関の仲裁役を介して、交渉をしばらくは継続。

それでも交渉が成立しなかった場合に限り、その後一定の期間を経て、パイロット組合もストライキの権利を得ることができる仕組み。大抵実際にストライキに至るまでには、数年の歳月を要します。

 

会社側は当然利益追求のために、特に人件費を抑えにかかりますから、大抵契約更新交渉は長引くのが通例。

各会社によって異なりますが、パイロットの契約はだいたい5年から8年分が盛り込まれます。契約更新の時期になると、こういった光景を見ることが多くなるのは、これが原因なのです。

 

元々は鉄道業に従事する従業員を対象に施行になった法律で、未だに鉄道業もこの法律の対象ですから、

アメリカにおいては、鉄道、航空便ともにストライキに遭遇することはまずないと言っていいでしょう。

 

ただこの法律が最初に施行になったのは、今からほぼ1世紀前。さすがにそろそろ現代の労働環境に応じた改訂版を作成する時期には来ている気がします。

 

 

裕坊は、今日は結果的に1日フライトが入らず、家族と水入らずの時間を過ごし、明日が14日間連続する『リザーブ』の4日目になります。