yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 12/6

米国航空会社で、短距離国内線を中心に担当する副操縦士、裕坊といいます。

 

11月は比較的緩いスケジュールで、5日勤務を3回こなすだけの1ヶ月でした。ただ5日勤務の時は、5日目が超早朝になるのがお約束…

シャーロット・ダグラス国際空港発、デトロイト行き1236便、定刻午前5時30分発…デルタ航空では社内規定で定刻の1時間前に空港へ出勤ですので、当日の空港出勤、午前4時半……

 

宿泊先のホテルは空港からおよそ30分ほどの道のりでしたので、送迎シャトルの乗車時刻は、午前4時…

 

ただ5日目は午前中で終了することも多く、始発便1便を担当して勤務から解放されることもあり…

 

感謝祭の週末に開催になった息子くんのピアノコンサートへも、土壇場ながら駆けつけに成功。

高校卒業を来年初夏に迎え、高校での最後の課外活動に忙しく動き回る息子くんを、裕坊も微力ながらサポートしています。

 

 

こちらの大学では実家から通学可能な距離であろうとも、最初の数年は学生寮や近隣のアパートに入居することが通例。親元を離れると一気に子供に関わることも少なくなるんやろな…

 

 

月日が経つのは、本当にあっという間です…

 

 

そして師走。

 

 

クリスマス、12月25日はアメリカ最大の祝日ということもあり、従業員たちはほぼ例外なく休暇を希望します。入社したてでスケジュールの選択権など全くない裕坊に、クリスマスのお休みなど取れるはずもなく、イブから5日連続で勤務…

ただそれを知ってて、子会社から親会社への転籍を決断したのも裕坊自身。誰にも文句を言う筋合いなどありません…

 

12月は4日勤務で始まりました。子会社勤務時代から見慣れた空港ターミナルばかりを訪れています。

こちらは、カンザスシティ空港内(ミズーリ州)での1コマ。

 

円形の小ぶりなターミナル、来年初旬に完成する新ターミナルの開業とともに、取り壊されることが決まっています。

到着直後は出口が目の前にあるので、お迎えなども目と鼻の先。町に向かうには便利な空港なのですが、ターミナル内が極端に狭く、待合のスペースが限られるのが難点。セキュリティーを一旦通ると、トイレの数も極端に限られます…

 

こちらはピッツバーグ空港(ペンシルベニア州)。

放射場に4つのコンコースが伸びる巨大なターミナルを抱え、かつては大手航空会社の基幹空港として機能した時期もありました。現在はピッツバーグから行き来をする乗客がほとんど…

 

ターミナルの中央には、大きなクリスマスツリーが飾られています。

 

そして3日目の夜は、アメリカ第3代大統領、トーマス・ジェファーソンのゆかりの地、シャーロッツビル空港(バージニア州)まで。

 

到着後、送迎シャトルへと向かう道すがら、何の気なしにメールを開けてみると…

パイロット組合から、号外版とすら言えそうな大々的な表題をつけたメールが入っていて…

 

どうやら大幅に長引いていたデルタ航空におけるパイロット契約更改交渉、基本合意に至ったらしいです。

 

2019年4月に始まっていた交渉。コロナ禍の影響もあってしばらく中断。

そして急激な旅客数回復の中にあって、2022年第二四半期には利益も記録した米系の各大手航空会社。

 

契約更改交渉に積極的に応じようとしない会社経営陣の姿勢にパイロットたちが噛みつき、社内規定で定められている制服帽を脱いだ上に、基幹空港での抗議活動を次々に実施、ストライキを巡る投票では、ほぼ全員と言って差し支えない数のパイロットたちがストライキを承認。

米国内ニュースの一面を飾るほどにまでなりました。

 

12月6日時点での現在地は、あくまでも基本合意…

各項目の詳細の本当の煮詰めはこれからになります…

 

契約内容を各条項、項目まで細部の細部に至るまで暗記している従業員も多い、アメリカの職場。日本のサラリーマン経験がある裕坊の感覚とほぼ正反対と言えます。

アメリカの会社は、契約内容には至って忠実。従業員も経営側も締結された契約内容を元に勤務体系なども全て変わる仕組みになっているので、契約内容は従業員にとっては、命の次に大切なバイブル…

 

基本合意事項を文章として記載する詰めの作業では、部屋中に緊張感が充満します。

一言一句、お互い気を抜くことなど有り得ません…

 

その間パイロット組合は、契約交渉担当者が仮契約内容を持ち帰った上で、組合の各役員を集めて概要の確認を行い、

 

まずは組合役員会による投票。

 

過半数で可決されると、 いよいよ最前線のラインパイロットたちへの詳細の伝達が始まります。

 

大抵はメールにて通達されるのですが、 所属先がある空港内のクルーラウンジに組合役員が滞在するので、都合さえ合えば直接組合員に質疑応答。

通常1ヶ月ほどを費やして質疑応答を随所に行い、いよいよパイロット間投票。過半数の賛成を以って契約内容施行という運びになります。

 

ただこの過程が一筋縄に行かないのが、契約社会ならではのアメリカ型儀式…

 

インターネットでは合意内容の一部が組合から各パイロットたちへと伝えられてはいるのですが…

既にFacebook上のページなどでは、議論が飛び交いまくって大炎上状態…

 

近々デトロイト支部では、アイスホッケー観戦を兼ねた組合主催の親睦会が開催されるのですが、

 

多分、こんな感じになるんやろな……

 

ただ契約締結が持つ重み、恩恵は裕坊も以前勤務した会社でずっと経験してきたことなので、契約内容はしっかり吟味しておきます。

早ければ1月中にも新契約締結の運びなのでしょうが、しばらく荒波に揉まれることになりそうです。平坦な道のりにならないことだけは、疑いの余地がありません…

 

 

サッカー日本代表、決勝トーナメント、クロアチア戦、最後はPK戦で力尽きてしまいましたが、今の日本代表が持てる戦力を最大限活かしきった大善戦。

 

ドイツ、スペインとワールドカップ優勝経験がある強豪を相手に、森保監督の知恵をフルに発揮しての両国撃破は本当に見応えがありました。日本代表の皆さん、本当にお疲れ様でした。