yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 9/20

米国航空会社に勤務する副操縦士、裕坊です。

写真はニューヨークのタイムズスクエアにあるレリックシアター。ブロードウェイ主催のハリーポッターの劇版が上演されています。

 

アメリカの中西部は秋の装い。半袖で過ごすにはちょっと肌寒いことも多くなり、朝晩の気温は10度前後にまで下がるようになりました。

 

出発前の外部点検で駐機場へと降りる時も、気持ちがいい日が多い今日この頃。

 

秋になると中西部の各地域では地方都市が開催するイベント類も多くなり、人口数千人規模の小さな町が賑わいを見せるようになります。

こちらはデトロイト空港から北へと車でおよそ1時間の距離にある、ロイヤルオーク市。

 

アーツビーツイーツ(Arts Beats and Eats)と呼ばれるイベントが開催され、夏休み最後となる労働者の日(Labor Day)には多くの人で賑わっていました。

9月第1週の週末が明けると、アメリカでは多くのところで新学年。我が息子くんも大学生。親元を離れての新生活も始まって、3週間が経っています。

 

夏の旅行シーズンが終わって、航空旅客数が落ち着く9月。旅客機の運用も夏の最盛期に比べると減り、裕坊の勤務中の長時間滞在の機会も増えてきます。

裕坊が乗務するボーイング717型機は機体設計が古く(1960年代)、現在運用中の64機の平均機齢はおよそ16年。

 

エンジン等の故障は今もほとんど優れた機体ではあるのですが、経年劣化による細かい部品の不具合は避けられないのも現実…

 

先日も地上で停泊中の電源供給、さらにはエアコンへの供給が可能な空調施設の役割を担う第3エンジンが故障…

通常はその第3エンジンから供給される圧縮空気を使って、主エンジンを立ち上げるのですが、第3エンジンが使えない場合は外部から高圧空気を送り込んで立ち上げます。こちらは高圧空気の取り入れ口。

 

接続されるのは写真の高圧空気供給機。発動の際は独特の音がするので航空界に長く勤めていると、その音だけで何が起こっているのか分かってしまいます。

空調用の空気供給機と違い、圧縮空気を高圧のまま送り込む必要があるので、ホース半径が小さいのが特徴。庭に水を撒くとき、ホースの先端を摘むとホースの水が勢いよく押し出される原理を使うので、ホースが細い方がエンジンへ送り込まれる空気の圧力も高く保たれるというカラクリ。

 

第3エンジンの不具合は通常の飛行には影響がないので、遅延の対象になることはまずないのですが、油圧系統など重要装備品に不具合が生じた場合は、機体の乗り換えは必至…

夜遅くまで、使用可能な機材の到着を待ったことなどもありました…

 

この時はたまたま空きの飛行機が見つかって、乗り換えて夜遅くなりながらも到着した当日。

 

ニューアーク空港へと辿り着いて… ニューヨークのマンハッタンでの連泊が入った日などもありました。

ちなみにボーイング717型機は、最新航法装置を必要とするラガーディア空港、ケネディ国際空港への就航が現在はなく、ニューヨーク地区では3空港のうちニューアーク空港のみの就航となっています。

 

ニューアーク空港では、デルタ航空は新Aターミナルへの完全移転が終了しています。

 

建て替えが進むラガーディア空港に外装も内装もかなり似通っていて、天井は高くなり、間接照明が効果的に使用され、建物内の雰囲気がとても明るくなりました。

 

ただ到着後の出口通過は、二重ドア方式でしばらく順番を待たなければならず、深夜といえども長い時は10分待ち…

 

狭い敷地に半ば無理やり建設されたようなターミナルなので敷地面積も大きくはなく、お迎えにやってくる車も深夜というのに大渋滞…

時間に余裕がある時は問題ないでしょうが、ミーティングの時間が迫っていたりすると、焦ってしまうかも知れません…

 

さらに早朝深夜は並行誘導路のうちの1つが駐機場がわりに使用されるので、早朝6時前後にプッシュバックしようとする時などは、他の出発便といつも競争…

プッシュバックのタイミングが少しでも遅れると、しばらく待たされるハメになります…

 

前回のマンハッタンでの長時間滞在では、幸運なことに週日の昼間にもかかわらず、ブロードウェイの公演があり、

 

ハリーポッターの劇の上演に訪れることができました。

 

ホグワーツの学校を思い起こさせるような造りのレリックシアター内。

 

ブロードウェイというとミュージカルを思い浮かべてしまい、裕坊自身ミュージカルの観劇と思い込んでいたのですが、

実際は劇の上演でした。週日の昼間の公演ですと、チケットも1枚あたり100ドル前後で買えてしまうので、ハリーポッターのファンの方は狙い目かもです。

 

当日は観劇後はタイムズスクエアの雑踏の中を歩いて、

 

豚骨ラーメン専門店の一蘭で、腹ごしらえ。

 

各テーブルがブース式になっていて、

 

注文用紙を係員に手渡しすると暖簾が下ろされ、

 

ラーメンができると、開いた暖簾からラーメンが渡されるという面白い仕組みのお店でした。

ラーメン一杯が、具材最小限でも22ドル。やや高め…たださすがに味は間違いないです。

 

店内には昭和の世代の人には懐かしい、赤色の郵便受け、

 

さらには赤色のコイン式公衆電話などが設置されておりました。

 

最近ではめっきり数が少なくなったT字型の尾翼を取り付けた旅客機による裕坊の冒険、もうしばらく続きます。