yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 6/21

米国航空会社、地方路線担当の操縦士、裕坊です。

 

6月後半になりました。アメリカでは6月といえば、学校における年度末。高校や大学での学業を終えた学生たちにとっては、卒業シーズン。我が息子くんもコロナ禍を潜り抜けるという特殊な体験を経ながらの4年間の高校生活に区切りをつけて、6月前半に卒業式を終えました。但し卒業証書の授与は後日…学生数が大学並みに多く、卒業式当日では証書が整理できないなどの事情がどうやらあるようです…

 

卒業式当日はあいにくの雨……ただせっかくのお祝いでしたので、家族でお食事をいただきました。ステーキハウスだったのですが、焼き加減は熱せられた石の上で自ら調節する方式。卒業祝いということで、お店側の配慮でデザートのおまけをしていただきました。

そして卒業式が終わり、各学年の授業も全て終了すると、3ヶ月前後にも及ぶ夏休みが始まります。アメリカの学校の場合、学年度末を皮切りに夏休みが始まるので、宿題等は基本的にはナシ…というよりも普通の学校で、宿題が出ているというのを聞いたことがない…夏の間は、学校がこの世に存在しているという事実が忘れ去られてしまうほどに、裕坊の感覚的には学校の存在感が消えてしまいます…

 

その学生たちを惹きつけてやまない、各地で開催されるイベント。我が家の近くの公園でもサマーフェスティバルなるものが開催されておりました。公園といっても、ディズニーランドがすっぽりと収まってしまうほどの敷地面積を誇り、移動遊園地のアトラクションによる恐怖系の乗り物に、ホットドッグやピザなどを販売するトラックが敷地を埋め尽くして、それはそれは賑わっておりました。

移動遊園地での乗り物といえば、かつては小学生低学年でも無理なく乗れるような緩めのジェットコースターだったりしたのが、最近では本格的遊園地顔負けの絶叫系の乗り物なども登場するようになりました…

 

ちなみにこちらの夏祭りは週末にかけての3日間開催。金曜日の夜には花火も打ち上げられ、愛妻ちゃんは観覧車に乗りながらの花火鑑賞を狙っていたようなのですが、行列があまりにも長すぎ…列に並んでいる間に花火が上がってしまいました…

 

花火の打ち上げはおよそ30分間。夏時間真っ只中で、9時になってもまだ明るさが残る季節にあって、花火のフィナーレが終わったのは10時30分ごろ… 11時には全てのアトラクションの営業が終了と告げられる中、それでも観覧車の列に並び続け……

 

執念の上で、門前払いの直前で乗車に漕ぎ着けました…

 

夏の各種イベントが本格的になる頃には、アメリカでは旅行客の移動も激しくなり、サービス産業全体で見てもフル稼働の時期になります。アメリカの旅客航空会社も各社とも1番便数が増える時期…裕坊は6月は初旬に一時国、そして月末にも1週間ほどの休暇を入れたこともあり、月の中旬はフライトのスケジュールで埋まりました。3日のフライトをこなしては1日お休み、5日勤務をこなしては、また1日のお休みといったパターン……

写真は出発前の外部目視点検時の1コマ……大抵は副操縦士が担当します。

 

夏も初旬ですと天候が安定することが多いのですが、何日も勤務をこなしていると、入道雲が上がる日に遭遇することも珍しいことではありません……

夏によく上がる入道雲、気象用語的には積乱雲とも呼ばれます。上がる時には大きな上昇気流が発生し、雲の中には大量の水蒸気が吸い上げられて大きく成長します。雲の中の氷同士が激しくぶつかり合うことによって発生するのが電気的エネルギー。電荷的な偏りを放出するために電気を雲から放出するのですが、それによって起こるのがいわゆる雷。

 

大量の水分が雲には含まれているので、上昇気流で雨粒等が支えきれなくなると、一気に溜め込んだ水分を放出します。これによって起こるのがゲリラ豪雨……

 

もちろん豪雨の中では外部点検などはできません…雨が一通り止むのを待ってからの出発前点検。場所によっては大きな水たまりができ、深さにして10センチほどになることも珍しくないので、注意しないと靴の中にまで水が入ってしまうことも…

 

そんな中で、この夏はかつて地域航空会社勤務時代に頻繁に担当していた地方都市への就航も増えるようになりました。昨今の地域航空会社における乗務員不足は深刻…地域航空会社によっては、採用数よりも退社する乗務員の方が多いという事情も重なり、大手航空会社本体による地方都市への就航数が増え続けています。 先日訪れていたのは、東海大学の操縦科の学生さんが操縦訓練を行なっていることでも知られるノースダコタ大学があるグランドフォークス。

 

空港を一旦離れると、だだっ広い平原がどこまでも続く風景を拝むことができます。

 

ちなみに翌日の空港への出勤時刻は午前4時……空港ロビーに宿泊客の姿はなく、デルタ航空以外には就航便がない日だったことから、駐機場周辺も閑散とした早朝の出発でした。

裕坊が乗務しているのは、デルタ航空保有する機体の中でも、1番客席数が少ない(110席仕様)のボーイング717型機。先月5月までは64機が現役機として稼働していましたが、長期停泊状態にあった機体もまだ残っていて、実はほぼ全機が重整備点検中……今年末には88機体制で、冬のホリデーシーズンに備える、ということだそうです。

 

 

 

 

 

 

5日間に渡る休暇の前に、5日勤務へと出勤してきます。