yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 9/2

アメリカで76名仕様の、リージョナル航空機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

4日間続いたフライトを終えて先日月曜日に帰宅し、今週は金曜日まで4日間のお休みをいただいています。

 

昨日は我が社でも大幅な配置換えの発表があったばかり。全社で1,900名強在籍しているパイロットのうち、700名が所属し最大の拠点となっているニューヨークの大幅縮小が決定。需要が回復せず、増便を計画しては結局は撤回、の繰り返し。ケネディ空港もラガーディア空港も、リージョナルジェット機による運航が、毎日1桁台の往復に留まったままになっています…

そのため運航便数の回復が比較的進んでいるデトロイト空港、アトランタ空港に集中的に乗務員を配置することが決まりました。 エンデバー航空の、乗務員の拠点の縮小が決まったニューヨーク。そのニューヨークのラガーディア空港では、数年前から改装工事が始まっておりました。

 

建物の老朽化が激しく、全てのターミナルビルの建て替えが進んでいます。

内装も外装も、一目見ただけでも耐用年数を超えて運用していたのが分かる傷み具合……5年ほど前から、やっと本格的な建て替え工事が始まっていました。

 

運用中のターミナルビルの一部を閉鎖しながら、順次建て替えを進める計画だったのですが、利用客がかなり少なく、大部分を閉鎖しても空港運営への影響が少ないことから、急ピッチで改装工事が進んでいるらしいです。

閉鎖された部分を、壁で塞いで建物の取り壊しを進めながら、運航便数は一定数確保する、というのが当初の計画…

 

リージョナルジェット機を利用するフライトでは、一部の出発ゲートで、

 

飛行機備え付けの階段を使って、乗り降りする計画まで本格的に進んでおりました……

裕坊が乗務するCRJシリーズは、元々は社用機、あるいは少人数用のチャーター機として開発された機体ですので、乗降は階段を使うというのが前提。ボーディングブリッジがなくても、階段での乗り降りが可能なので、それを利用するというのが当初の目論見でした。

 

それがコロナウィルスの爆発的な感染で、需要は「蒸発」して9割以上の便が欠航する異常事態……

ニューヨークでは工事関係者にも感染が広がっていたらしく、工事作業員が確保できずに、一時は建て替え工事も完全に頓挫していたらしいです。その後はクオモ州知事の必死の努力の甲斐もあって、コロナ感染状況は大幅に改善。6月以降になって工事も本格的に再開し、かなり前倒しした上で急ピッチで進行中とのこと。 ただ裕坊自身は、3月以降一度もニューヨークに行っておりませんので、実際にどれくらい進んでいるのかは、全く分からないです。今まで長期休暇取得時以外で、ニューヨークに一度も行かなかった月は皆無でしたので、まさか半年もご無沙汰になるとは、想像もしませんでした……

 

普段は、高速道路も一般道路も大渋滞…

 

タクシー乗り場もいつも長蛇の列……

 

ニューヨークにて宿泊滞在が入った時には、宿泊先のホテルの送迎サービスが終了していて、

 

ウーバーなどの配車アプリを使って、ホテルへと急いだこともありました……

 

現在のラガーディア空港が、どんな状況になっているのかは、想像に任せるより方法がありませんが、

恐らくこんな状況になっていることでしょう……

 

ちなみに一部では、コロナ禍の前に既に建て替え工事が終わって、開業しているターミナルもあります。

こちらは昨年11月に新装オープンとなった、D90番台のゲート。空港の敷地の南東の隅に作られた建物で、小型機専用の出発ゲートになっています。

 

これは新装オープン時の画像。

 

従来のニューヨークの空港のターミナルの待合スペースからすると、ゆったりとしている、というのが当時の印象でした。

 

出発便の案内をする掲示板も、液晶式でとても見やすくなっています。

 

レストランや売店なども、数が多くないゲートのターミナルの割には、充実しているという印象でした。

 

ちなみに、D90番台のゲートへと入る入口には、デルタ航空の大きなロゴがお出迎えしてくれます。

 

建て替え工事は、出発ゲートC15からC28があったCターミナル南側で、本格的に進行中。

この地図でいうと、ちょうど赤で囲んだ付近になります。

 

この図ですと、ほぼ中央、左から2番目の建物に当たる部分。

 

ここが完全に閉鎖されて、CコンコースとDコンコースの間を歩いては通れなくなりましたので、 またもこちらのシャトルバスが、活躍の場を得ることになりました。

 

Cコンコースの北の端になるC42番ゲートを出発して、まずはDコンコースの北側にあるD5を経由。そしてお隣D98ゲートを通って、再びC42ゲートへと戻るルートになるそうです。ちなみに、逆回りのバスはなく、このパターンのみになるらしいです。

一周してC42へと戻ってきた時に、消毒作業も行われるとのことでした。

 

発着便過多の状況が続いて、ボーディングブリッジ付きの発着ゲートが使えない時に、よく飛行機備え付けの階段でお客様をお迎えしていたのですが、

 

そんな時に活躍をしていたのが、このシャトルバス。 段差のない低床バスで、しかもこう見えて収容人員50名というスグレモノ。

建て替え工事が完了するまでの間、まだまだ活躍する場面が見られそうです。ちなみに裕坊には、今月もニューヨークへのフライトは、1便たりとも入っておりません。ニューヨークの建て替え工事の進捗状況を自らの目で確かめられるのは、しばらく先のことになりそうです。

 

 

もう2日、お休みをいただいています。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 9/1

アメリカの小型機専門航空会社に勤める、裕坊といいます。こんにちは。

昨日月曜日4日間のフライトから帰宅して、4日間のお休みをいただいています。通常、裕坊が乗務するような小型機専門で、担当がほぼアメリカ国内線のみの会社の場合、勤務パターンは4日連続、もしくは5日連続でフライトをこなして、その後3日ほど休日をもらうのが一般的。

 

で、お休み1日目は大抵動けません……

裕坊自身が50代ということもあり、余程大切な用事がある時以外は、休日1日目はソファの上でゴロンと転がったまま、寝たり起きたり……することがあるとすれば、フライトから持ち帰った着替えを洗濯するくらい…

 

社歴が長い順に自らの希望を入力して、各月ごとのスケジュールが決まるのが、アメリカの航空会社のやり方。これをアメリカの航空業界では、シニオリティ(Seniority)と呼びます。社歴が長い人がシニア(Senior)で、逆に入社したてだとジュニア(Junior)。ちなみにこのシニオリティというシステム、希望する機種であったり、機長か副操縦士かなどの選択、他にも所属する空港、有給休暇の日程など、ほぼ全ての領域に影響してきます。

社歴が長ければ長いほど、全ての領域において自由が効くようになるのがアメリカ流。ただ会社が保有する機種の選別をしたり、保有機数などを調整したり、機材の各空港への割り振りなどを決めたりするのは、あくまでも会社側。裕坊のような小型機専門の会社の場合、親会社であったり、提携先となる大手の航空会社のマーケティングに左右されるので、保有機数などの調整はそれにも影響を受けます。 さらには旅客航空需要は、景気による影響を受けますし、地域による上下動なども発生して、人員の割り振りがそれに影響を受けることも少なくなく、今日改めて異動の発表がありました。

 

裕坊が勤めるエンデバー航空(本社、ミネアポリス)の基点は、全部で5箇所。その中でニューヨークが社内では1番規模が大きかったのですが、コロナウィルスの感染拡大とともにニューヨーク発着便の需要は激減。ニューヨークでは3月中旬以降、感染爆発が起きて、医療機関は大パニック……死者数が激増して遺体安置が追い付かず、一時的に遺体を保管するための冷凍トラックが病院に横付けされるなど、一時はパニックを極めました…

現在ではニューヨークでの感染は、ひと頃に比べて落ち着きを見せ、フロリダ州テキサス州カリフォルニア州などの感染拡大が続いている地域から空路ニューヨーク入りした場合などに、2週間の強制隔離が課せられたりするなど、他州との立場はむしろ逆転しましたが、航空需要はまだまだかなり弱含み……尋常ではない感染爆発を経験した地域ですので、移動に対する警戒心が植え付けられてしまったかも知れません。ちなみに今では広く浸透したアメリカ国内でのマスク着用、ニューヨーク州ニュージャージー州における定着は、他州に比べて非常に早かったそうです。

 

小型機を専門に扱う我が社の旅客便でも、需要はほとんど回復しておらず……9月1日(火)の運航状況を見ても、その弱含みの需要に呼応するように便数は極端に少なく、ケネディ空港からの発着で合計9往復。ラガーディア空港に至っては、4往復のみ……一時はアメリカの東半分の各都市からの就航便が一斉に集まっていたラガーディア空港。多い時は、1日で150往復もの便が発着する日もありました。今はすっかり閑古鳥が鳴く空港になってしまっています。裕坊自身、ニューヨークは3月下旬以来、一度も行っておりません…

 

就航便数がめっきり減った基点に、会社としても乗務員を置いておくわけには行かず、この度異動が発表になりました。9月1日付発表で異動が発効するのは11月1日。ニューヨークに所属しているパイロットが合計で120名異動になります。ここ最近、運航便が集中しているデトロイトアトランタに大半が転籍し、しばらく基点規模が縮小する一方だったミネアポリスにも、若干名が異動することが決まりました。

ちなみに我が社のパイロットは1,927名。そのうちニューヨークに所属しているのが、およそ700名。50名仕様のCRJ−200型機は、ニューヨークを近日中に全機引き払うことが決定していて、200型機乗務の90名と合わせると、合計で210名が異動することになり、全社で1割が異動となる事態になっています。

 

 

航空会社各社では、人員調整も始まっており、現在適用になっているコロナウィルス対策緊急助成金の延長が実現しないとなると、各社ともかなりの一時雇用凍結をせざるを得ない状況になっていますが、我が社にもその波がとうとうやってきたかも知れません……

 

 

まだ会社からは、『一時雇用凍結』を示唆する文章の発表こそないものの、コスト削減策の一環として、一時帰休の募集が上記の移動とともに発表されることになりました。募集人員は、今のところ180名。全社のほぼ1割。

もしこの一時帰休を取得すると、パイロット契約の規定上、1年復帰できなくなるので、今のままでは会社の希望する人数が応募するかどうかは、流動的……ただもし応募人数が少ないとなると、一部での強制的な一時解雇措置は避けられなくなりそうです。 この時の一時解雇の対象となるのは、社歴が浅いパイロットたち……こんな時でも、アメリカの航空業界でのシニオリティは影響することになります……

 

先日ユナイテッド航空、元最高経営責任者であるオスカー・ミュノス氏(現会長)が、今後航空会社の需要は以前の半分ほどに落ち着く可能性がある、と言っていましたが、

問題なのは、現在の航空会社はビジネス利用が極端に減っていること……航空会社の利益の根幹は、特に大手の航空会社であれば、ビジネス利用であることが多く、ビジネス利用が少ない現在では需要減以上に収入減の影響が出ていて、ユナイテッド航空では現在でも1日あたりの赤字額が40億円ほどになっているそうです。

 

然るに、コスト削減は避けられません……ただこのままでは、需要は減る一方。ここから新たな需要をどのように喚起するのか、旅客航空各社は、今こそ知恵を出し合う時期に差し掛かっています。

 

 

裕坊、あと3日ほどお休みをいただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 8/31

アメリカの国内線を小型機で飛び回る、裕坊と申します。こんにちは。

今日月曜日は、先週金曜日から始まっていた4日間のフライトの4日目。2夜続けて宿泊していたニューヨーク州北西部にあるエルマイラから、1便だけを担当。

 

エルマイラは、小高い山に囲まれた、人口3万人ほどののどかな町。

宿泊していたホテルは、空港から約10分ほどの道のりなのですが、実は立地は空港のすぐ東側。

 

ホテルを出て2分も走ると、

 

空港の敷地も目に入ってきて、

 

その空港の外周をグルリと回るように、空港へと向かいます。

 

道沿いにまばらに立っている民家が見えてきて、

 

左折。

 

空港近くには、民家が立ち並んでいる地域もありました。

飛んでいる飛行機の数が少ない上に、大型機の発着が全くないので、騒音も気にならないのでしょうか。

 

その住宅地を抜けると、すぐ空港のターミナルが視界に入ってきて、

 

到着。

 

建物の入り口には、『トム・ソーヤーの冒険』の作者で知られる、マーク・トウェイン銅像もあります。

作家はよく自分の執筆活動の場を選んでいるようですが、ここエルマイラにはマーク・トウェインを惹きつける何かがあったのでしょう。夏の間はほぼ毎年にように訪れていたらしいです。

 

一昨年11月に大改装工事が終わったという、エルマイラ・コーニング・リージョナル空港。

立派な内装をしながら、現在の就航便数は1日2便だけ。我がエンデバー航空によるデトロイト行き2便だけになっています。本日の搭乗客は28名。そのうち客席搭乗の乗務員が2名でしたので、実質の乗客の方は26名。ファーストクラスはほぼガラ空きでした。

 

ただ今後在宅勤務が『新常態』となり、遠隔勤務が主流になってくると、住環境がとてもいいエルマイラなどのような地方都市に、陽が当たる日がひょっとすると来るかも知れません。出勤は1ヶ月に一度だけでいい、或いは1年に一度だけ、というのが常態化すれば、地方都市が注目を集める時がくるかも……

 

裕坊の勝手な想像でしかないですが、こういった地方都市の今後の推移に、1人勝手に注目していたりします。

 

 

出発の時は、どんより曇り空…

 

デトロイトに着く頃には、雲も切れ始めて、

 

着いてみると、気温25度。とても気持ちのいい昼下がりのデトロイトでした。

 

ただ到着便も出発便も少ない時間帯だったせいか、空港内はちょっと閑散…

ここ最近は、大きな人の波を見たり、かと思えばシーンとしていたり、の繰り返し。

 

全米で新学年となる9月を過ぎてからは、また需要は落ち着くことになりそうです。ただでさえ、損益分岐点への回帰が果たせていない、老舗の米系航空会社。8月26日(水)の全米での旅客航空利用者の総合計は、540,043名。需要が回復基調にあった6月末のピーク時の1日あたり70万人と比較すると、2割以上の利用客数減。昨年度比で、8割前後の需要減は今も続いています。大半の会社では、毎日赤字が続いている状態ですので、各社の現金が底をついてくると、航空会社の新たな再編に繋がることになるかも知れません…

 

いよいよこれから秋の季節。コロナウィルスそのものも秋以降、新たな影響が出てくるかも知れませんし、裕坊も用心に用心を重ねます。

 

 

ところで先日、7年8ヶ月という歴代最長政権を実現した安倍首相が辞任を発表されました。ここ数ヶ月、急に公の場に姿を見せる回数が減ってきていたので、やっぱりそうだったのか、という印象でした。

裕坊の中では、本当にお疲れ様でした、というのが率直な感想です。「アベノミクス」という単語が一時は世の中を席巻しましたし、最近では首相を揶揄する言葉として「アベノマスク」という言葉も日本中を駆け巡りました。

 

でも裕坊が真っ先に思い浮かべる安倍首相のイメージといえば、『日本の顔』。この方ほど、アメリカ人にも馴染みがあり、顔も名前も浸透している政治家は、唯一無二なのではないかと思います。そして、恐らくとても気遣いのできる、「バランスの取れた方」なのだろうとも想像します。日本の将来についても、真剣に考えていただいてたことは、想像に難くありません。

 

トランプ大統領就任の際には、他国に先駆けて祝電を打ち、その後自らアメリカを訪問して、トランプ大統領として初めての首脳会談の取り付けに成功。

実は大統領選当選が決まった直後にも、自ら訪米して「次期大統領」となるトランプ氏を祝福するなど、大統領就任前から強固な関係を築いて、日米関係を強く保ってきていました。

 

極め付けがこちら。

既にゴルフを4度も一緒に共にする間柄。心からトランプ大統領が、安倍首相とのゴルフを楽しんでいるのが分かる象徴的な写真です。

 

トランプ大統領も安倍首相に、全幅の信頼を置いていたのでしょう。安倍首相の辞任に当たって、自ら電話会談。トランプ大統領曰く「非常に残念」。外務省幹部によると、大統領はとても感傷的になり、本当に残念がっていたと言いますから、これは心底本音だったと思います。

 

しかしながら裕坊的に、安倍首相による『大ホームラン』といえば、2015年の米議会上下両院合同委員会での演説。

当時の韓国大統領だった朴槿恵氏による、歴史認識を巡っての「告げ口外交」に対する、アメリカ議会での安倍首相による「希望の同盟へ」の演説では、500人もの聴衆が議事堂を埋め尽くす中での、英語での堂々たるスピーチを行いました。

 

朴槿恵元大統領による「歴史修正主義」のレッテルを、見事な「逆転ホームラン」で胸をすくまでに吹き飛ばし、アメリカの信頼をとても強固なものにしたのは、安倍首相の功績と存在感を示す、象徴的な出来事だったと、裕坊は今でも思っています。

 

ただ、元々の持病である「潰瘍性大腸炎」が、さすがに悲鳴を上げてしまっていたようです。「コロナウィルス」対策をめぐって、日本じゅうから批判を浴びてしまい、間違いなく大きな精神的負担になっていたことでしょう。特に「アベノマスク」を初めとする、様々なコロナウィルス対策では、施策を打つたびに批判の声が上がり、安倍首相自身は「なぜなんだ、なぜ批判の声が上がるんだ」と嘆いていたと言いますから、心労のほどや如何に、と想像してしまいます。

 

今後は菅義偉官房長官が、首相職を引き継ぐ情勢になっていて、裕坊も概ねその流れには同意。ただ将来的には、ジョージタウン大学への留学経験があり、外国への発信力が自民党内でも極めて高い河野太郎氏(現防衛大臣)に、首相職を務めていただくのが、裕坊的には理想です。ただ首相には、ブレインとなる参謀役が必要。持病が治癒した暁には、安倍首相には政治の場に戻ってきていただいて、いずれ実現するであろう「河野首相」を、大いに支えていただきたいです。

 

 

裕坊、4日間のお休みをいただくことになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 8/30

アメリカで、小型旅客機でほぼ国内線だけを担当している、裕坊と申します。こんにちは。

先週の金曜日に出発して、今日は4日間のフライトのうちの3日目。のっけから2時間半遅れました……どうやらデルタ航空本社のフライト管理用のコンピューターがダウンしてしまったらしいです。 国内線だけでも旅客便が膨大になるアメリカ老舗の大手航空会社。

 

数年前にも同じようなことを経験したことがありました……

デルタ航空の子会社で、76名仕様のとても小さなリージョナルジェット機に乗っていますが、我がエンデバー航空は完全子会社。本社ミネアポリスで運航課によって入力されるデータは、全てアトランタにある親会社のデルタ航空のコンピューターによって管理される仕組みになっているので、デルタがコケるとエンデバーもコケる仕組み……

 

今日はしっかりとコケて、合計で668便が組まれていたところ、162便が欠航にまでなることに……

夏休みもほとんど終わって、多くの家族連れがUターンで飛行機に乗ってくる中、ご迷惑をおかけすることに……申し訳なかったです……

 

 

今日はニューヨーク州のエルマイラという、アメリカ人ですら知らないようなのどかな田舎町からの出発。

ターミナルもこじんまり……

 

こちらは建て替え工事が終わったばかりの、旅客ターミナル。2018年11月に改装工事が完了。4000万ドル(日本円でおよそ43億円)をかけてのプロジェクトだったそうです。

実は、ここエルマイラは、裕坊にとって、50名仕様のCRJ−200型機担当だった頃以来で、なんともう7年ぶり。

 

正直古いターミナルだった頃の記憶は、全く残ってないです……

 

待ち合いのスペースも広くゆったりと取られて、出発待ちも全く苦にならないゆとりを持てるようになりました。

 

中庭もあり、待っている間、外の空気を吸うことだって可能。

 

家族連れがゆったりとお散歩しておりました。

 

ただ定期便の数は極端に少なく、現在1日2便だけの運航。

定期便として就航しているのはデルタだけで、機材は全てリージョナルジェット機。

 

あとはレジャー地へと飛んでいく格安航空アレジアント航空のみ。ただしアレジアントはかなり不定期で、行き先もまちまち。あくまでレジャー用ですので、ビジネスでの利用にはちょっと不向きかも知れません…

搭乗手続きカウンターも、2社のみ……かつてはユナイテッド航空も就航していたそうですが、数年ほど前に引き払ってしまったようです。

 

定期便の数が少ないため、保安検査場もいつも開いているわけではないらしく、

 

今日は午後の便が遅れたとあって、 出発直前まで、保安検査場も閉まったまま……

 

足止めされて、1時間ほどコーヒー片手に待ちぼうけ……

 

3時ごろになってやっと飛行機が入ってくる目処が立ち、

保安検査場を通過……デトロイト行きの出発は、2時間半の遅れ…

 

 

ホテルからの道のりは、本当にのどかでした。

目に入ってくるのは、見渡す限りの山と田園風景。

 

小高い山に囲まれている風景は、山の風景を見慣れて育った裕坊には、親近感がありました。

 

もみの木が広がる風景を目にすると、

 

少し開けた丘が広がって、

 

民家がいくつか立ち並んでいたり、

 

学校も当然のように平屋建て。

 

空港に近いても、急に大きく開けるという印象はなく……

 

のどかな田園の中に広がっていたのが、たまたま滑走路だった、という印象。

規模の小さな空港だと、近くには宿泊の需要がないことが多いので、ホテルからの道のりは普通長くなるのですが、

 

ここだと10分ほどの道のり……

しかも空港の敷地の反対側に来ただけなので、自転車でも十分来れてしまう距離にホテルがあったのが、意外でした。

 

人口は市内でおよそ3万人。一時は5万人ほどまで増えた時期もあったそうですが、ラストベルトと呼ばれる地域の中にも入るエルマイラ、工場の閉鎖や移転などが影響して、ピークだった1950年代からすると、4割も減ってしまっているそうです。

何度か竜巻などの自然災害などにも見舞われ、人口の減少にも拍車をかけてしまいました。

 

エルマイラに由来がある有名人を調べてみると、真っ先に上がってくるのが、マーク・トウェイン

日本でもお馴染みの『トム・ソーヤーの冒険』の作者であるマーク・トウェインは、ここエルマイラで夏の間を過ごしていたそうです。空港ターミナル入口にも、その銅像が「ベンチに座って」おりました。

 

ダウンタウンから近くにある、マーク・トウェインが過ごしていたという書斎も残っています。

トム・ソーヤーの冒険』はここで書かれた作品なのだとか。

 

1874年に建てられた、このトウェイン専用の書斎、1952年にはエルマイラ大学に寄贈されて、キャンパスの一部になりました。

 

 

今日はデトロイトからやってくる便、3時間遅れることになり……

 

やっと飛行機が到着……

バタバタと準備を始めます。

 

ただしここ最近は、各便出発前に消毒作業をしなくてはいけないので、

折り返しはどんなに頑張っても40分かかります……

 

デトロイト到着は、2時間10分の遅れでした。

 

しばらくサンドイッチを食べたりしながら、時間つぶし…

夏休みもいよいよ最終章。家路を急ぐ家族連れなどで、今日日曜日はかなり混雑している印象を受けました。この人の波を見ていると、コロナによる影響が続いているのを忘れてしまいます。

 

実は今日日曜日は、昨夜と同じ便の担当で、再びエルマイラまで。

地上係員が姿を見せず、ゲート係員がボーディングブリッジを動かせないため、備え付けの電話で応援を呼んで、ギリギリ定刻の出発…

 

お昼過ぎに見たばかりの光景の中に、再び戻ってきました。

 

70名仕様で座席が他の同型機種より少ない、最新版の機内。

 

お客様をお見送りして、荷物をまとめて、 出口へ。

最近は保安官の監視が必要ない新しいタイプの出口を採用する空港が多くなり、ここエルマイラ空港でも取り入れられていました。

 

 

明日はお昼過ぎに1便だけ担当して、帰宅の日です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 8/29

アメリカで、デトロイトを基点に小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

昨日金曜日からフライトを始めて、土曜日の今日、2日目のフライトをこなし終えました。フライトが始まる前日までは、比較的穏やかなお天気が続いて、晴れの日も多かったデトロイト地方……それが一転、金曜日は激しい雨が降ったり止んだりする大荒れのお天気…… 先日水曜日にルイジアナ州テキサス州に上陸していたハリケーン、ローラ。

 

勢力を弱めて、温帯性低気圧にこそなってはいたものの、周辺の地域にかなり影響を与えたようで……

 

金曜日には、デトロイトからクリーブランドピッツバーグにかけて、朝から大荒れのお天気をもたらしていました……

 

金曜日の最初の担当便は、午後3時過ぎに出発して、デトロイトからフィラデルフィアを目指すフライトだったのですが、

滑走路へと近づいて、いざ離陸と思っていたところで、離陸直前に大きな入道雲に行く手を阻まれることになり、

 

しばらく離陸を見合わせます……

そうしているうちに、今度はフィラデルフィア行きが航空管制によって、全便離陸停止………

 

入道雲の中は気流が荒れまくって、とても旅客機は通過することができなくなるので、お天気レーダー画面がこんな風に真っ赤に染まると、航空管制によって離陸が延期されます。

ちなみに、首都ワシントンやボルチモア方面へ向かう航空便も、軒並み離陸停止を課せられて、あちこち誘導路に止まったまま、目的地の天候の回復をひたすら待っておりました…… 裕坊たちに課せられた離陸停止は、最初は1時間……

 

ただ西へ向かう旅客便にはほとんど影響がなかったので、

滑走路の反対側から、次々と離陸していく飛行機をお見送り……

 

裕坊の便には、さらに離陸停止が1時間延長されることになって、生憎ゲートへと一旦引き返すことになりました……

実はアメリカの旅客航空業界には、10年ほど前に運輸省によって導入された『3時間ルール』というのがあり、すぐに離陸できそうにない場合は、ゲート出発後3時間以内に、一度出発ゲートへと引き返さないといけません。中には出発するのを諦めて、出発地にそのまま滞在される方もいらっしゃいます。昨日も1人の方が、飛行機を降りて、そのままデトロイトに滞在することに決めていました。 燃料も、離陸を待っている間にもじわじわと減るので、再給油もついでにしてしまいます……

 

その間にもまた激しく雨が降ってきて、地上係員が建物の中への退避を命ぜられて、また全てがストップしてみたり……

こんなことが立て続けに起こって、フィラデルフィア行きの離陸までに、3時間もかかってしまいました。

 

3本目のフライトが終わる頃には、夜中を過ぎ……

 

ホテルに到着したのは、ほぼ午前1時過ぎでした……

久しぶりの大幅な遅延……さすがに、昨日は疲れました。

 

 

2日目土曜日は、お昼前の出発。

 

2日目の出発は、ナイアガラの滝に程近い、バッファロー空港。

ちなみに、今季のメジャーリーグは、何から何まで通常とは違う開催になっていて、そのうちの1つに、メジャーリーグのチームでありながら、マイナーリーグの球場を今季の本拠地にしているチームが存在する、というのがあります。

 

そのチームが使っている球場があるのが、バッファローダウンタウン。球場名はセーレン・フィールド。

 

チームは、2020年現在唯一カナダに本拠地を置いているトロント・ブルージェイズ。(カナダには、かつてはエクスポズという、モントリオールに本拠を置いていたチームがありました)

アメリカからカナダへ入国するときは、2週間の自己隔離が強制になるのですが、その扱いはメジャーリーグの選手といえども例外扱いにはできないらしく……ブルージェイズの本拠地である、トロントロジャース・センターでの試合が開催できなくって、ボルチモアピッツバーグなど様々な候補地が上がりながら、結局ブルージェイズ傘下、3Aのチームの本拠地で開催することで落ち着きました。

 

突貫工事を終えてのメジャーリーグの試合開催。

 

スコアボードにもブルージェイズの大きなロゴを入れて、メジャーチームをバッファロー全体で大歓迎……

今日8月29日の試合では、そのセーレンフィールドで、オリオールズ相手に完封勝ち。ここまで17勝14敗でアメリカンリーグ東地区3位と、まずまず健闘しています。

 

ナイアガラの滝を訪れる数の人も限られているので、ちょっと閑散としたバッファロー空港。

 

空港内のレストランも、時間をかなり絞った上での営業になっていて……

 

こんなダミー人形さんが、バーの中でカクテルを作ったりしています。

 

各コンコースも奥の方へ行くと、売店は軒並み閉店中……

 

通常のコンビニですら、今はシャッターを閉めたまま……

 

普段はここバッファロー空港からの行き来が多い、アメリカ国内の格安航空の代表格にまで成長したジェットブルーでさえ、

軒並み飛行機を停泊させたままになっています。

 

現在はなるべく稼働機をエアバス機に絞っているというのもあるのでしょう。

エアバス機とともにジェットブルー保有するエンブラエル190型機。エンジンカバーを取り付けられたまま、行く宛もなく佇んでおりました。

 

 

今日はデトロイトを経由して、

 

ピッツバーグにもやってきたのですが、

こちらも様子はほぼ同じ……

 

利用者が激減して、こちらは化粧室の一部が未だに使えない状態になっています。

 

各コンコースにあるレストランは、今でもほとんどがシャッターを下ろしたまま。

 

出発便もかなり限られていて、出発ゲートもいつも閑散。

 

実はピッツバーグ空港は、ターミナル内のインフラと売店関係に相当の投資がなされた空港の1つでもあり、郵便局まであったりします。

こちらは、時間を制限しての営業は続けているとのことでした。立ち寄ったのは5時過ぎだったので、既にこちらは業務終了…

 

国際線の行き来が多かった時期もあり、

 

免税店も充実しているのですが、こちらも固く閉ざされたままになっています。

 

ブランド物のお店も、ずっと閉業中。

 

辛うじてフードコートのコーナーだけ、人が集まる状態になっています。

 

ちなみにピッツバーグ空港といえば、現在はアメリカン航空の一部になったUSエアウェイズの主要基幹空港の1つでした。

そのためか、稼働停止状態にあるアメリカン航空エアバス機は、たくさんここピッツバーグで停泊しています。

 

エンジンカバーもしっかりと付けられた状態……

しばらく旅客航空会社は、冬の時代を迎えることになりそうです……

 

2日目は、ニューヨークの北西部にあるエルマイラにて終了。

 

明日3日目は、エルマイラを出発して、またここエルマイラに戻ってくるスケジュールになっています。

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 8/27

米国の小型旅客機で、短距離路線を中心に飛んでいる、裕坊といいます。こんにちは。

 

明日から裕坊は、今月最後の4日間のフライト。大抵フライトを控えた日は、制服のシャツにアイロンを当てて、荷造りをします。

こちらにもクリーニング屋さんはあるのですが、実は一度も利用したことがありません……

 

カバンに詰めるのは、着替えがほとんど。お天気などが原因で最後の日に帰宅できないこともたまにあるので、大抵2日分の余裕を持たせます。4日間のフライトへ出る時なら、6日分。

これを金属のフレームでできたカバンに詰め込みます。頑丈なのはいいのですが、重いです……

 

裕坊は通常のサイズよりやや大きめの物を使っているので、6日分の着替えを詰めると、重さ25キロ……

これを1日に2度3度上げたり下ろしたりすると、それだけでもけっこうな運動量になります。

 

以前ですと、紙に印刷されたマニュアル類などを入れた専用のカバンなども引っ張っていたのですが、

そちらは全てタブレットに置き換わりました。

 

大抵余分にもう1つのカバンを持って歩きます。

中身は、ほぼ100%の確率で、食料。

 

フルーツや野菜を持ち歩く者もいれば、

パンやジャムなどを持ち歩く人も。裕坊はといえば、大抵即席のお味噌汁に、レンジで炊けるご飯、そして魚の缶詰など……

 

 

ただ、この生活、いつまで続けられるのかなぁ〜〜………

 

 

新型コロナウィルスによって、旅客航空需要は激減……今も需要減の影響は続いています。アメリカでは9月末までは、政府による支援給付金(CAREs Act:Coronavirus Aid Relief and Economic Security Act)によって航空会社への財政支援が行われて、各航空会社は急場を凌いできました。その給付支援の条件に、自己退職、自己休職以外では、会社の都合による解雇、一時解雇ができないという条項まで添付されていて、従業員たちも現在は一息ついている状態……

 

蛇足になりますが、実はアメリカの大手航空会社は、こぞって2010年代に航空自由化協定を振りかざして、飛躍的な躍進を遂げた中東の航空会社(エミレーツやエティハド、カタール航空など)を相手に、訴訟寸前の圧力をかけ続けた時期がありました。政府による資金的支援を受けながらの企業成長は、航空自由化協定に反する、というのが当時のタテマエ……ところがコロナ禍をきっかけに、今度は自らが政府支援をしきりに求めざるを得なくなるという皮肉……

 

話を元に戻して、政府支援の期限となる9月末が近づいても、まだ支援延長は閣議決定されておらず、各大手航空会社では一時的な解雇措置を匂わせる報道が相次ぐようになりました。裕坊の場合も、親会社であるデルタ航空が1割強の乗務員に一時解雇を示唆しており、そうなると子会社に勤める裕坊たちにも影響は必至……

在宅勤務やオンライン交渉などが常態化し、出張や移動を伴う会議などが減って老舗の航空会社の利益を支えてきたビジネス移動の需要が激減……

 

ただこれが今後V字型の回復軌道を辿るのか、といえば、裕坊は懐疑的……

 

裕坊の身近に1人、米系大手自動車会社に勤める友人がいるのですが、現在は1週間のうち、在宅勤務が週3日で、出社は2日だけ。移動に費やす時間を仕事に当てることができる上、出社による無駄が省けることで、却って生産性が上がっているそうです……

 

 

そうなんや……

 

 

そこで裕坊、自らの日本での製薬会社勤務時代を振り返ってみました。営業として勤務していた当時は、朝礼がある月曜日以外は、基本直行直帰。まだインターネットなどなかった時代でしたので、月曜日以外は、たまに提出する書類がある時などに会社へ赴く程度……これなど今なら、zoomミーティングなどを使って朝礼をし、必要書類はメールにファイルなどを添付するなり、会社専用のアプリやソフトで必要事項を記入して、送信ボタンを押せば済んでしまう話……

 

実務では、車に乗って各得意先へと移動しておりました。カバンを下げては病院、薬局、卸売事業所などを回り、大手の取引先ではアポを取った上で待ち合わせ。工事や事故などの渋滞に引っかかって、冷や汗をかいたことも……逆に到着が早すぎた時には、近くのレストランや喫茶店などで時間を潰してみたり……これも今なら、Googleやzoomなどのアプリを通せば、簡単な手続きでどこからでもオンラインで対面でき、契約の煮詰めの計算などはコンピューターで正確に弾き出され、移動の時間が節約できる分、プレゼン用の書類の作成にもっと時間を割くことだってできる……

メリットは多いです。この動きが世界でも広がっているとしたら、或いは今後の新しい『新常態』となっていくのだとしたら、ビジネス移動の需要は、回復しても恐らく昨年の半分規模がやっと……

 

今後、航空会社が生き延びていくための最善の方法を探るとなると、あくまで裕坊個人の想像の域を出ませんが、『旅客業界』全体が大きくタイアップして、『移動の手助けをするプロ』の一員として、『航空部門』が存在する、という形が最も現実的なのでは、と思っています。「デルタ航空」単体として存在するのではなく、「デルタ・トラベル」という企業の中に、航空部門として「デルタ航空事業所」が存在し、他にホテル事業所、レンタカー事業所、タクシー事業所なども存在する、といった感じでしょうか。

 

 

ビジネスモデルとして、貨物航空会社を取り上げてみるのもいいでしょう。例えば、世界最大手の貨物航空会社フェデックス』の場合、

 

航空部門となるのは、「フェデックス・エクスプレス」

パイロットの管理から、航空機の整備に至るまでの、航空部門の全てを司ります。世界最大の貨物航空会社といえども、あくまで「フェデックス」社の子会社。

 

他にも一般の貨物集配などを担う、「フェデックス・オフィス」があったり、

 

直接、事業所などへ荷物を運んだり、回収したりするのは地上部門で「フェデックス・グラウンド」。

 

大型トラックを使って、州を跨がる長距離運送を担う長距離トラック部門を扱うのは、「フェデックス・フレイト」。

 

大規模の工場などの需要に呼応して、パーツを一時的に保管して、工場の稼働具合に応じて必要部品を供給する「フェデックスサプライチェーン」なども存在します。

これらの会社は、皆子会社。各企業が大きな企業集団を形成して「荷物配達のプロ」となり、集配から配達までの全てを担います。

 

旅客部門でも、家を出発する時から、家に到着するまでの面倒を見る企業が形成されていい、そういった企業が出現があってもいいのではないか、と裕坊は考えます。 既に「ワーケーション」に生き残りの戦術を見出した鉄道会社や旅行会社の一部では、そのような動きも始まりました。JR西日本が、多拠点型コリビングサービスのカブクスタイルと提携を結んでみたり、JTBはハワイでのワーケーションに取り組んでみたり……航空会社でも、同様の動きを模索するのが、今後の生き残りの鍵を握るのではないか、と個人的には思っています。

 

 

明日の午後から、4日間のフライトへ出発です。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 8/26

アメリカの小型旅客機の窓から、いつも景色を眺めている、裕坊といいます。こんにちは。

月曜日に4日間のフライトを終えて、3日間のお休みをいただいています。普段の年だと、息子のスケジュールに裕坊自身の体内カレンダーを合わせるのですが、今年は3月中旬には休校が決まって、結局その後学校は再開せず……メリハリのないまま夏も終わりかけて、ミシガン州の空は、もうすっかり秋の気配…

 

秋になると、ミシガン州はすっきりと晴れる日が減って、今朝は朝からどんより曇り空でした。

 

土砂降りの雨まで降ってきて……

 

でも午後になると、カラッと晴れてみたり。

女心と秋の空………

 

本当によく変わ………

 

もとい、午後はとてもカラッとしておりました。

 

ちなみに、長年勤めた幼稚園を退職した愛妻ちゃん、日中の時間に余裕が持てるようになって、最近は花壇に花を植えたりしています。

渡米当初は、裕坊のパイロットのライセンス取得にかかる訓練費用で貯金は完全に底をつき、航空会社に入社後も、お給料は裕坊が製薬会社でサラリーマンをしていた頃の初任給に肩を並べることすらなく……家計は火の車……

 

機長に昇格するまでの間は、貯金はおろか、生活をして行くのもやっとの状況で、愛妻ちゃんもしっかりと家計を支えてくれました。

まだ仕事の意欲自体はあったようですが、コロナ禍をきっかけに、体力的なことを考慮して、退職を決意。

 

現役中は、肺炎まで患うほどの激務をこなしてきたので、結果論ですが、いいきっかけになりました。

そんなわけで、やっと花壇などにも手を付けられるようになったのですが、だからといって家で毎日ゆっくりしていられるか、というと、実はこれがそうでもなく……

 

3日間のお休みの間も、あちこちお出かけ……

息子がここにきて、友人の勧めで急にテニスを始めてみたり、急遽入ってきた音楽会の練習へと赴いたり……今まで先のことには、関心がありながらも朧げなイメージしか抱いていなかった息子、ここに来て具体的に自ら大学への入学の要件を詳しく調べるようになるなど、頼もしくなってきました。

 

大学入学の合否も、裕坊の頃のような一発勝負と違い、高校を通じての学業の成績に加えて、ボランティアなどの様々な活動の内容も評価の対象になるのが、現代のアメリカ流。こちらでは、好印象が残る入学願書を作成するためのビジネスまで存在します。

その息子の希望に応えられるように、親も付き添いで東奔西走……

 

 

まさに初期投資……ただ裕坊の頭をよぎることが1つ……先立つものがなかったとしたら、これ、一体どうなるんやろ……

 

 

フードスタンプと呼ばれる生活保護を受けるような家庭にもなると、普段の生活で手一杯……自己を高めるための資金などはなく、子供たちの学力を高める機会は得られず、スキルは磨けず、ましてや大学へ通う学費などとても捻出できず……アメリカでは機会均等がよく叫ばれますが、資金がなければ大学にすらまともに通えないので、キャリアを積むにも、学歴が重視されるアメリカでは、まずスタート地点にすら立てないです。

裕福になりたかったら、苦労を積み重ねて這い上がればいい、というのは、あくまでタテマエ……奨学金があるじゃないか、とはいっても、そこに到達するまでのプロセスを踏むことすらできないのが現実……貧富の差は広がる一方で、中流階層アメリカではかなり没落……思うに「資本主義」が行き着いた先でもある「金儲け主義」「株主至上主義」をここ20年に渡って貫いてきたアメリカの今の惨状が、ここにあります。一般の労働者の実質賃金は下がる一方で、キャリアを積むのに必要な条件を揃えることが、非常に厳しくなりました。

 

アメリカでは「社会主義」というフレーズに対してアレルギー反応を起こす人が多いのですが、「社会主義的要素」を少しずつでも取り入れてみることを、真剣に検討する時期に来ています。

 

 

まずは、教育と医療からでいいから……

 

 

大学に行くまでの間だけで、ン百万円単位の投資……仮にそれで自分が思う大学への入学の夢を叶えることができたとしても、そこから卒業するまでの間で、学費がさらにン千万円……ここまで達成して、やっとキャリアのスタート地点に立つことができ、そしていざ社会に出たら、またキャリアを積む為に激しい競争の中であくせく…………これが夢の国、アメリカ合衆国という国の今の現実………

 

さらに医療体制を見てみても、先進国であるのなら医療くらい自由に受けられてよさそうなものですが、一般のアメリカ人には気軽に医療は受けられない現実があります。診療報酬制度が導入され、同じ治療内容であれば統一価格になる日本と違い、アメリカでは医療請求額が各医療機関の独断での裁量によるという、言い値による診療制度。コロナによる肺炎の治療で、100万ドル(日本円でおよそ1億円)だって、十分に合法……現実に1億円分の請求は、アメリカでは起こりました。仮に人工肺をつけたって、日本では1億円の医療請求は起こりません……

医療費の請求が怖くて、病院へ訪れる気分になどとてもなれず、結果的にコロナウィルスの症状をこじらせてしまっている人も多いのでしょう……アメリカにおいてコロナが原因で亡くなった方の数、8月26日現在で17万9,708名となってしまいました。

 

 

とても先進国の現状とは思えないです………

 

 

ただ嬉しいことに、次世代の人たちは、アメリカの将来を真剣に見据えています。昨年8月末にハーバード大によって行われた調査で、「企業の存在意義」に対する意見を募ったところ、これまでアメリカが20年間に渡って掲げてきた「企業による株主至上主義」を支持しない傾向が浮き彫りになりました。2000年代に入って成人を迎えたミレニアル世代の労働者間では、51%が「資本主義を支持しない」と回答。3分の1は「社会主義に変わることを望んでいる」と回答しました。2018年ギャラップ社調査でも、「資本主義を肯定的に捉えている」と回答したのは約45%で、2013年調査時の68%からなんと23%も下がっています……

今年の大統領選挙の、民主党候補者選びで、自称「民主社会主義者」を掲げたバーニー・サンダース氏が大躍進した時期がありましたが、30歳未満の有権者のうち8割以上がサンダース氏支持でした。現状に不満を持つアメリカの次世代を担う若い人たちが、しっかりと未来を見据えているのが、数字にも如実に現れています。

 

「企業」だけでなく、「教育機関」や「病院」までが「金儲け」に奔走している、今のアメリカの現状……どこまでその現状に穴を開けることができるのか……自らのキャリアも大切ですが、息子にはもっと視野を広げて、社会に貢献できる一員になってほしい、これが裕坊の息子に対する願いです。

 

その息子、学校は来月の第2週の火曜日から再開になるのですが、当面はオンラインによる授業となりました。1年間全期間、オンラインでの受講ができる選択肢もあり、家族と話し合った上で、息子は1年間(2021年6月まで)の全ての授業をオンラインで受けることを決断。高校や大学クラスになると、インターネットを介した授業を選択するところが増えているようです。

 

 

裕坊はもう1日、お休みをいただいています。