yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 8/30

アメリカで、小型旅客機でほぼ国内線だけを担当している、裕坊と申します。こんにちは。

先週の金曜日に出発して、今日は4日間のフライトのうちの3日目。のっけから2時間半遅れました……どうやらデルタ航空本社のフライト管理用のコンピューターがダウンしてしまったらしいです。 国内線だけでも旅客便が膨大になるアメリカ老舗の大手航空会社。

 

数年前にも同じようなことを経験したことがありました……

デルタ航空の子会社で、76名仕様のとても小さなリージョナルジェット機に乗っていますが、我がエンデバー航空は完全子会社。本社ミネアポリスで運航課によって入力されるデータは、全てアトランタにある親会社のデルタ航空のコンピューターによって管理される仕組みになっているので、デルタがコケるとエンデバーもコケる仕組み……

 

今日はしっかりとコケて、合計で668便が組まれていたところ、162便が欠航にまでなることに……

夏休みもほとんど終わって、多くの家族連れがUターンで飛行機に乗ってくる中、ご迷惑をおかけすることに……申し訳なかったです……

 

 

今日はニューヨーク州のエルマイラという、アメリカ人ですら知らないようなのどかな田舎町からの出発。

ターミナルもこじんまり……

 

こちらは建て替え工事が終わったばかりの、旅客ターミナル。2018年11月に改装工事が完了。4000万ドル(日本円でおよそ43億円)をかけてのプロジェクトだったそうです。

実は、ここエルマイラは、裕坊にとって、50名仕様のCRJ−200型機担当だった頃以来で、なんともう7年ぶり。

 

正直古いターミナルだった頃の記憶は、全く残ってないです……

 

待ち合いのスペースも広くゆったりと取られて、出発待ちも全く苦にならないゆとりを持てるようになりました。

 

中庭もあり、待っている間、外の空気を吸うことだって可能。

 

家族連れがゆったりとお散歩しておりました。

 

ただ定期便の数は極端に少なく、現在1日2便だけの運航。

定期便として就航しているのはデルタだけで、機材は全てリージョナルジェット機。

 

あとはレジャー地へと飛んでいく格安航空アレジアント航空のみ。ただしアレジアントはかなり不定期で、行き先もまちまち。あくまでレジャー用ですので、ビジネスでの利用にはちょっと不向きかも知れません…

搭乗手続きカウンターも、2社のみ……かつてはユナイテッド航空も就航していたそうですが、数年ほど前に引き払ってしまったようです。

 

定期便の数が少ないため、保安検査場もいつも開いているわけではないらしく、

 

今日は午後の便が遅れたとあって、 出発直前まで、保安検査場も閉まったまま……

 

足止めされて、1時間ほどコーヒー片手に待ちぼうけ……

 

3時ごろになってやっと飛行機が入ってくる目処が立ち、

保安検査場を通過……デトロイト行きの出発は、2時間半の遅れ…

 

 

ホテルからの道のりは、本当にのどかでした。

目に入ってくるのは、見渡す限りの山と田園風景。

 

小高い山に囲まれている風景は、山の風景を見慣れて育った裕坊には、親近感がありました。

 

もみの木が広がる風景を目にすると、

 

少し開けた丘が広がって、

 

民家がいくつか立ち並んでいたり、

 

学校も当然のように平屋建て。

 

空港に近いても、急に大きく開けるという印象はなく……

 

のどかな田園の中に広がっていたのが、たまたま滑走路だった、という印象。

規模の小さな空港だと、近くには宿泊の需要がないことが多いので、ホテルからの道のりは普通長くなるのですが、

 

ここだと10分ほどの道のり……

しかも空港の敷地の反対側に来ただけなので、自転車でも十分来れてしまう距離にホテルがあったのが、意外でした。

 

人口は市内でおよそ3万人。一時は5万人ほどまで増えた時期もあったそうですが、ラストベルトと呼ばれる地域の中にも入るエルマイラ、工場の閉鎖や移転などが影響して、ピークだった1950年代からすると、4割も減ってしまっているそうです。

何度か竜巻などの自然災害などにも見舞われ、人口の減少にも拍車をかけてしまいました。

 

エルマイラに由来がある有名人を調べてみると、真っ先に上がってくるのが、マーク・トウェイン

日本でもお馴染みの『トム・ソーヤーの冒険』の作者であるマーク・トウェインは、ここエルマイラで夏の間を過ごしていたそうです。空港ターミナル入口にも、その銅像が「ベンチに座って」おりました。

 

ダウンタウンから近くにある、マーク・トウェインが過ごしていたという書斎も残っています。

トム・ソーヤーの冒険』はここで書かれた作品なのだとか。

 

1874年に建てられた、このトウェイン専用の書斎、1952年にはエルマイラ大学に寄贈されて、キャンパスの一部になりました。

 

 

今日はデトロイトからやってくる便、3時間遅れることになり……

 

やっと飛行機が到着……

バタバタと準備を始めます。

 

ただしここ最近は、各便出発前に消毒作業をしなくてはいけないので、

折り返しはどんなに頑張っても40分かかります……

 

デトロイト到着は、2時間10分の遅れでした。

 

しばらくサンドイッチを食べたりしながら、時間つぶし…

夏休みもいよいよ最終章。家路を急ぐ家族連れなどで、今日日曜日はかなり混雑している印象を受けました。この人の波を見ていると、コロナによる影響が続いているのを忘れてしまいます。

 

実は今日日曜日は、昨夜と同じ便の担当で、再びエルマイラまで。

地上係員が姿を見せず、ゲート係員がボーディングブリッジを動かせないため、備え付けの電話で応援を呼んで、ギリギリ定刻の出発…

 

お昼過ぎに見たばかりの光景の中に、再び戻ってきました。

 

70名仕様で座席が他の同型機種より少ない、最新版の機内。

 

お客様をお見送りして、荷物をまとめて、 出口へ。

最近は保安官の監視が必要ない新しいタイプの出口を採用する空港が多くなり、ここエルマイラ空港でも取り入れられていました。

 

 

明日はお昼過ぎに1便だけ担当して、帰宅の日です。