yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 12/12

米国航空会社に勤める副操縦士、裕坊といいます。

 

国際線用の大型機種を含むデルタ航空機材の中にあって、裕坊が乗務するのは、一番最小の機種、ボーイング717型機。

2世代ほど遡るグラスコックピットが、操縦席の前に広がります。

 

手動操作を今も数多く必要とする、頭上パネルとスイッチ類。

エンジンを立ち上げる操作も、最新型の旅客機と比較すると、ほぼ倍の手順が必要になります。そのパネル操作もやっと板についてきました。

 

前回の3日勤務の際には、タイヤの空気圧などを調整し、来る怒涛の12月のスケジュールに備え、

お昼過ぎの出勤…

 

デトロイト空港では、空港敷地南側にある従業員専用駐車場からシャトルバスに乗って、

国際線到着がある1階へと到着します。

 

搭乗手続きカウンターがある出発階…

 

空港内には、感謝祭以降はクリスマスツリーやリースがあちこち飾られます。

 

離陸後の飛行時間が1時間半ほどの短距離路線が多いB717による運航便は、ほとんどがAコンコース南半分から発着。

空港内を走る電車で移動し、

 

待合の座席に落ち着いて機体が来るのを待つのが、最近の裕坊の典型的な出勤パターンになっています。

かつては出勤時には空港内の事務所へと赴くのが通常でしたが、最近ではタブレットスマホでも出勤の報告ができるようになりました。上司との面談など特に用事がない限り、出発ゲートへ直接出向くことが多くなっています。

 

副操縦士の出勤後の1番のお仕事は、大抵担当機材の出発前外部点検。

前回の3日勤務はナイアガラの滝の程近く、バッファローニューヨーク州)への往復便からでした。

 

往復ともに飛行時間はおよそ40分ほど…

 

日暮れの頃にデトロイトに戻ってきて、 スケジュール上では、飛行機を降りることなくそのまま乗り継いで、ウィスコンシン州のマディソンへと向かうはずだったのですが…

操縦室内の、通信機能を備えた機械から……

 

 

 

チーン……(本当にこんな音が鳴ります)

 

 

 

開けてみると……

スケジュール変更の告知…(ちなみに、我が社ではリルート(Reroute)と呼んでいます)

 

お客様をお見送りしてから…

荷物をまとめて…

 

飛行機乗り換え……

デッドヘッドと呼ばれる客席に着席しての、ミネアポリスへの移動でした。

 

デトロイト空港着陸後、ゲート到着直前の予定変更だったとあって、希望する座席に空きなどあるはずもなく…

3人がけの列の真ん中に、大柄の男性2人に取り囲まれるように肩身を狭くして着席…

 

ミネアポリス到着後は、またも荷物をまとめて次のゲートへと急ぎます…

F13から、C4への移動でした。

 

急な予定変更の理由とは、

ミネアポリスを覆っていた積雪だった、ということらしいです。

 

積雪を主翼上に残しておくと計算上の揚力が生み出せなくなるので、降雪時は必ず除氷液を散布して主翼などはクリーンな状態にしておきます。

 

作業に要する時間は、降雪が激しくなればなるほど長くなり、

 

散布する量が増えると、トラック積載の液体補充の回数も多くなって、作業効率は落ちる一方…

 

それが積み重なると、乗務員たちの拘束時間が法律の規定を超過することに…

元々運航予定だったクルーは案の定時間切れになり…

 

裕坊たちにお呼びがかかった、という次第でした。

ではなんでミネアポリス発のフライトを、デトロイト所属の裕坊たちが担当することになったのか……

 

そこにはデルタ航空が運営するパイロット所属先と、配属機種のカラクリがありました。

現在運営されている所属先は、7地域、9空港(ニューヨークが3空港)、

 

そのうちボーイング717型機の所属先はアトランタデトロイトの2空港のみ…

かつてはニューヨークとミネアポリスにもあったのですが、コロナ禍が原因で現在は閉鎖…

 

B717を使用するミネアポリス発の便でパイロットが足りなくなった場合、デトロイトアトランタからの客席移動にて補充する以外には方法がなかった、というのが真相でした。

デッドヘッドのフライトからC4ゲートへと向かう途中の、ミネアポリス空港、中央コンコースでの1コマ…

 

お客様を3時間待たせた上での出発。雪こそ既に止んではいたものの、機体は着氷であちこち氷だらけ…

しかも作業中に除氷用トラックが故障し、離陸までに1時間を要する、というオマケ付きでした…

 

除氷が一旦片付いたら、迷うことなく即離陸…

 

巡航中は、有無を言わさずフルスロットル…

 

それでも目的地のノースカロライナ州シャーロットに着いたのは、現地時刻、夜中1時32分…

 

誰もいなくなったひっそりとしたターミナルを、ホテルへと向かうの巻…

 

それなのに、3日目はシカゴ・オヘア空港にて朝5時台に出勤するスケジュールをこなしておりました…

 

勤務を終えて、帰ってきた時の裕坊…

大手航空会社も人手不足は同じ……エンデバー航空時代で経験したことがなかったような、過酷なスケジュール変更でした…

 

そんな時は、エネルギーを補給するに限る…

愛妻ちゃんがケーキ教室で作ったものを、持って帰ってきてくれました。

 

 

 

 

 

間髪置かずに、次の3日勤務に出勤です。