米国航空会社に副操縦士として勤務する、裕坊です。
ここ最近活動が活発化している太陽。およそ11年の周期で活発になったり低調になったりを繰り返すそうですが、2025年7月ごろに極大期を迎えると予測されていた太陽は、どうやら昨年ごろには入っていたということのようです。今月になって米航空宇宙局(NASA)から発表になりました。
大規模な太陽表面における爆発現象(通称フレアと呼ばれる現象)も起きているようで、最近になって北米の各地でもオーロラを観測。
太陽の黒点活動が激しくなると起こるのが、磁気嵐。オーロラの発生源にもなります。電波通信の障害の原因にもなりやすく、人口衛星からの電波を頼りに位置情報を算出する仕組みを持つGPSも、影響を受けやすくなります。
航空通信、航法装置など、航空機にはあらゆる通信機能が搭載されていますが、磁気嵐による影響は現在のところは最小限に留まっているせいか、社内における通知などは発令されていません…
航空機が運航に影響を大きく受けるのは、雨風を伴う気象現象…暴風雨を伴う気象現象は飛行機にとっては大敵で、ハリケーン等が内陸部に上陸するとなると、経路に該当する空港発着便は、例外なく全便が欠航になります。
ハリケーンの強度を示す指標の中でも最大とされるカテゴリー5にまで発達し、
フロリダ州西岸のタンパに本拠地を持つタンパベイ・レイズの本拠地球場、トロピカーナフィールドでは屋根の一部が欠落…
骨組みが完全に晒け出される無惨な姿へと変貌してしまいました…
下からの空気による吹上げ式ではなく骨組で屋根を支えているため、東京ドームとは屋根の構造は違いますが、白色の幕自体は実は東京ドームと同じ。
そのため外野席から内野を眺めていると、なんとなく東京ドームを思わせるところがあり、好きな球場の1つだったのですが、野球の試合の開催に支障を来すことになりました。(ただレイズの野球場の建て替え自体は決まっていて、早ければ2028年にも新球場へ移転する予定になっています)
フロリダ行きの全便が欠航になったサウスウェスト航空。使用しない機材が駐機場でしばらく停泊状態になっておりました。
お天気の影響は航空会社では無視はできませんから、ハリケーン発生時には会社から逐一最新の情報が送信されてきます。毎日更新、上陸時には数時間おきの自動受信。
受信先は各パイロットに会社から支給されているタブレット。デルタ航空では、iPad Proの第3世代の11インチ版が支給になっています。
空港ごとのレイアウト表だったり、出発経路、到着経路表、滑走路へのアプローチの情報なども入っていますので、操縦室内でも使用します。
客室乗務員には客室内での作業効率を考慮して、iPhoneが支給されています。
担当便の各座席の予約状況までが一目で表示されるスグレモノ。 情報網が発達し、個人がスマホやタブレットなどでお互いの情報交換を気軽に行えるようになった時代。航空会社もその波に乗るかのように、情報網で会社と各従業員を結ぶようになりました。
かつて裕坊が地域航空会社へと就職した当時(2006年)は、出勤日初日には空港内の乗務員用のラウンジへと出勤して、ラウンジ内のみに設置されるコンピューターで出勤を報告していましたが、
現在は各個人のタブレットにて報告。スケジュールの閲覧用アプリは各個人のスマホにまでダウンロードが可能になっているので、そちらで出勤を報告することも可能になりました。
現在も各航空会社の基点空港には、乗務員専用のラウンジがありますが、
空港に着くと同時に、担当便の出発ゲートへと直接向かうことも珍しくなくなった時代。
乗務員専用ラウンジに立ち寄ることも減って、ラウンジは閑散としていることも多くなっています。
こちらは入社以来、今も担当機種としているボーイング717型機。
座席配置はファーストクラスが通路を挟んで両側2席ずつ。エコノミークラスは通路の左側が2席で右側が3席の仕様。
エンジンが後方についていることもあり、他機種と比較するとまずまず静寂ということで、
実はヘッドセットを通してのパイロット同士の会話ができない仕組みになっていたのですが、 この度連邦航空局からのお墨付きを得て、ヘッドセットを通じてのパイロット同士の会話が可能になる装備が許可されることになりました。
常にマイクがオンになっているので、ホットマイク、もしくはインターコムと呼ばれています。
エアバス機では全機採用になっていて、我が社ではボーイング737型機にも採用されているインターコム。
各機体とも重整備を利用して、通信用調節装置を刷新という流れになるでしょうが、
現在デルタ航空で稼働中の88機に、2025年末までには装着を目指しているようです。
また11月にお目にかかります。