yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/6

米国航空会社で副操縦士を務める、裕坊です。

 

暖冬で記録的に雪が少なかった今年のミシガン州。まだひんやり感が残ってはいるものの、クラブアップルと呼ばれるリンゴの木もしっかりと花を咲かせて、やっと本格的な春になりました。

桜の木によく似た性質を持っていて、花が咲くのはおよそ1週間ほど。

 

4月の後半がミシガン州では1番見頃の時期になります。

 

そして5月に入ると……

裕坊は半年に一度の航空身体検査。

 

アメリカの航空身体検査は、健康優良児でいる限りそれほど緻密にはなりません…

 

尿検査に始まり、血圧、脈拍、あとは視力検査など。 今月54歳になる裕坊は、やや老眼が進行中…

小さい文字を識別するのにちょっと苦労…

 

ただ最近ユーチューブなどで紹介されている老眼トレーニングをしていたおかげか、何とか今回も裸眼のまま乗り切りました…

40歳を超えると課されるのが年に一度の心電図。

 

そちらも問題がなければあとは聴診器を何度か当てて、 異常がなければ身体検査証が発行されます。早ければ10分とかからないアメリカの航空身体検査。

基本診察料に加えて、心電図に別途料金が課されるので、支払いは275ドルでした…

 

 

ちなみに自費です……

 

 

そして毎年必ず1度はやってくる、パイロットの年次更新研修。パイロットの技量や知識を一定以上に保つための研修なのですが、内容や頻度は各航空会社が連邦航空局の地方事務局と折衝した上で決められます。機種によって若干異なりますが、デルタ航空の場合は3ヶ月ごとに座学を受講、そして9ヶ月おきに実技訓練。

各社ともタブレットを使ったオンライン講習の導入が本格的になり、実地での座学を受けることはほとんどなくなりました。

 

裕坊が乗務するボーイング717型機の場合、研修項目は13。オンラインで先月全て受講完了…

そして昨年9月の研修終了からほぼ9月が経過し、やってくるのが実技訓練。

 

裕坊の場合6月が研修月に相当するのですが、1ヶ月前倒しするのも1ヶ月遅らせるのも、我が社の場合本人の自由。

裕坊は敢えて1ヶ月前倒しして、5月末に訓練を受講することを選択しました。

 

本社第3ビル内はほとんどが実技訓練用のシミュレーターで占められていて、実技訓練はこのシミュレーターを使って行われます。本社アトランタ以外にも施設があり、一部はマイアミにて実施。

 

裕坊が乗務するボーイング717型機は、3基のシミュレーターがアトランタにあります。

 

研修受講時は操縦実技だけでなく、緊急用装備品の扱いもおさらい。

 

対象項目になるのは消火器、酸素マスク、救命胴衣、搭乗口や非常口の扱いなど…

 

そして裕坊がもう1つ始めるのが、飛行教官の更新研修。こちらもオンラインによる自主学習が主流になってきました。

アメリカでは航空会社のラインパイロットとして採用される条件の1つに、総飛行時間というのがあります。多くのところでは1,500時間…その飛行時間を取得する手段として多いのが、飛行教官として軽飛行機に乗りながら学生を教授し、自らも飛行時間を稼ぐという方法。

 

裕坊はフロリダ州のフライトスクールで、約15名の学生に携わってきました。

通常のパイロットライセンスには期限がないのですが、飛行教官の場合その職業柄、2年ごとの更新が義務付けられます。

 

航空会社のラインパイロットとして乗務するようになると、学生相手の教官としての機会はほとんどなくなります。そんな時によく使われるのが、パイロット用の教材を発行する会社や、フライトスクールによるオンライン講習。

こちらはコロナ禍前から既に広く普及しています。

 

裕坊もこのやり方で17年間更新し続けてきました。8月の期限までに、こちらも13項目で構成される自主学習をこなします。

 

パソコンやタブレットさえあれば、どこでも学習可能なのは助かるのですが、

 

航空界全般に項目が分散するので、中身が濃い……

 

本業ももちろんこなさなくてはいけません…

 

先日の勤務では、かつて勤めた地域航空会社の本社があるミネアポリスも訪問しました。

 

ミネアポリスは真冬になるとマイナス30度を記録することもある極寒の世界とあって、ビル間を外の縛られるような低音に晒されることなく移動できるように、スカイウェイと呼ばれる渡り廊下が至る所に張り巡らされています。

 

霧の中のフライトも多いのが、この時期の特徴…

 

最終日は定時での終了でした。

 

 

 

 

しばらくお休みをいただき、友人を訪ねて西海岸へと訪れる予定にしています。

裕坊パイロット日記 4/21

米国航空会社で、国内線をほぼ専門に飛んでいる、裕坊です。

 

デトロイト空港を拠点にして航空会社に勤めること、以前勤務していた会社から通算して今年で17年になりました。最初はファーストフードのハンバーガー屋さんでアルバイトでもしないととても食べていけないという、雀の涙ほどのお給料から始まって(一時は親の仕送りを必要としたほどでした…)、それでも頑張って機長昇格を果たして一軒家なども購入。

2011年の現在の住まいに入居して、およそ12年が経ちました。我が家は1979年建築なので、今年で築44年…

 

本格的に暑い夏がやってくる前に、故障していたエアコンを修理。業者さんによると、室外機は既に20年以上を経過した旧式の型で、部品はもう手に入らないとのこと…

ミシガン州の一軒家はほとんどの場合、屋外のクーラー室外機と、屋内地下にある暖房設備とが管で繋がれます。実をいうと地下にある暖房器も、どんなに少なく見積もっても20年は軽く経過していたのでそちらも同時に交換することに…

 

業者さんが大がかりな部品を次々に持ち込んで、2日かけての大がかりな作業を頑張ってくれました。

 

我が家の地下にある暖房設備。冷房器からの管と共に地下で繋がれ、家じゅうに張り巡らされた管に空気が送り込まれます。

 

暖房器に使うガス線は、実はミシガン州の一軒家では温水器と共用していることがほとんど。温水器もかなり調子が悪くなっていたので、ついでに取り替えてもらいました。

工事が終わったあと小切手で一括で支払ったのですが、その金額12,000ドル……

 

 

 

休日を返上してでもフライトを入れて、少しでも多く稼ぎたい……

 

 

 

我が社デルタ航空の場合、以前勤めていた地域航空会社と大きく違って、比較的乗務員数は潤沢。休日を返上してフライトを入れると、会社側に経費の余分な負担が発生するので、休日に入れられるフライトは人材が極端に不足した時のみ……繁忙期であればともかく、閑散期になると簡単には休日返上でのフライトが入れることができない仕組みになっています。

 

 

 

今月4月はフライトは前半にほとんどが集中していました。前回の5日勤務は、レッドアイではない通常のフライトでありながら夜11時台の出発という、国内線ではほとんど例がない1便で勤務が始まり、まずはバージニア州リッチモンドへと出発。

 

リッチモンドといえば、アメリカの南北戦争時の南軍の初代首都があった都市で、今でも遺跡が多く残されています。

 

奴隷解放という大義名分で始まっていた南北戦争

 

多くの武器など必要な道具を揃えるために鉄の鋳造が行われたのが、リッチモンドから程近いトリデガー鋳造所。 当時の煉瓦建ての建築がそのままアメリ南北戦争博物館になっています。

 

建物の中にまで、その面影がしっかりと残されていました。

 

鋳造のための動力を得るために使われていた水車も、当時のまま。

 

北軍の進攻に耐えきれず、南軍は1865年の敗走時に街に火をつけて焼き払い、同時に近くを流れるジェイムス川に建設されていた石橋まで叩き壊したそうなのですが、その面影もそのまま残されています。

 

バージニア州の州都でもあるリッチモンドでは、この時30時間の宿泊滞在。

 

一緒に同行してくれていた愛妻ちゃんと、レストランでのお食事でした。

 

30時間滞在の後は、一切の例外がなく滞在先の空港から始発便を担当します。

 

リッチモンドを出発していたのが3日目で、 4日目、5日目とも早朝5時台の空港出勤でした。

 

ホテルの中庭も出発時は4時台ということもあって、人影はなし…

 

裕坊が乗務しているボーイング717型機。

油圧式による操舵翼制御システムが全盛の中にあって、実はマクドネル・ダグラス社が元々開発したこのナローボディ旅客機は、操舵翼は昔ながらのケーブル式になっています。

 

そのため油圧システム全体の圧力はやや弱め。

 

夜間停泊が長引くと、補助翼も垂れ下がってきてしまい、 出発前の外部点検をしていると、ダラリと下がってしまっていることもしばしば…

 

規定の補助翼角度を、実はこの時は超えてしまっていました…

 

そんな早朝シフトをこなし終えたのは、4月19日(水)。

今月の勤務が、全て終わってしまいました。

 

 

 

 

現在、休日返上でのフライトを会社に申請中です…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/15

アメリカ国内を、小型旅客機にて飛んでいる裕坊です。

 

先週半ばから気温が真夏並みに上がっている中西部。この日記を書いている時点での、デトロイト地方の気温は27度になっています。

春の訪れが遅いミシガン州でも、そろそろ庭の手入れの時期。芝生の栄養剤を蒔いたり種を蒔いたりしないといけません…

 

暖冬だった中西部でしたが氷点付近をウロウロだった日も多く、降水時は雨氷を多く降らせて木の枝があちこちで折れる事態にもなりました。

こちらは我が家の裏庭にある松の木…

 

そのうちの直径30センチはあろうかという枝がポッキリと折れてしまって…

裏のお家のフェンスを直撃したりなども…

 

伐採業者さんを呼んで、枝の伐採の交渉などを進めました。

 

先週火曜日に1日の休暇を挟んだ10日連続勤務が終わっていたのですが、水曜日は快晴で最高気温27度のお天気。

来週はやや気温も下がるようなのですが、中西部といえども夏はエアコンなしでは過ごせなくなります…

 

我が家の、長らく交換をしていない室外機。

点検記録などを見ていると、最低でも20年は経過している室外機で、

 

一部で錆びたりなど交換が必要…

こちらも業者さんとの交渉…

 

10日勤務が終わった後の3日の休暇の1日目は、業者さんとの交渉で1日を過ごしておりました。

実はこの3日の休暇には愛妻ちゃんの誕生日も絡んでいて、

 

カフェなどを訪れて、誕生日のお祝いなども…

 

カフェではラッテにカプチーノ

 

ホテル内のレストランでは、

 

オニオンスープに、ルーベンサンドイッチなどをいただき、

このルーベンサンドイッチは、なかなかの当たりでした。

 

 

 

バタバタとしているうちに、3日間の休暇はあっという間にオシマイ。日記を書き終わって直後の土曜日の夜には、今月の締めになる5日勤務へと出勤します。

 

 

 

先週の勤務では、以前勤めていた地域航空会社所属時代によく訪れていた地方都市への就航などもありました。

メイヨークリニックで有名なミネソタ州ローチェスターを訪れ、

 

直後には同じミネソタ州の地方都市ダルースで宿泊滞在。200年以上の歴史を持つスーペリア湖沿いに位置する都市ダルースで有名なのは、昇開橋と呼ばれる構造を持つエアリアル橋。大型船の通過とともに橋桁が上下します。

橋の昇降もかなり迫力ものですが、ライトアップされる夜の光景もなかなか。

 

ダルースからの移動は、16年間乗務していたリージョナルジェット機の客席への搭乗でした。

 

エコノミークラスは、通路を挟んで両側とも2列ずつの客席配置。中央座席がないので、ゆったりと座っての移動でした。

到着はミネアポリスで、リージョナルジェット機専用のAコンコースへの到着。

 

かつて見慣れていた光景を久しぶりに拝みました。

 

ミネアポリス空港では、愛妻ちゃんと合流。

そこから向かったのは、

 

アメリカ建国直後に、国の首都として機能したフィラデルフィア。しかも30時間滞在…

フィラデルフィアでは裕坊が乗務するボーイング717型機での就航が日中でも多く、30時間滞在は極めて稀なのですが、1日ゆっくりする時間に恵まれる事になりました。

 

お役所としても機能するシティホールをまずは訪れ、

 

シティホールはほぼ同じ形をした4面の建物が中央の庭を囲むように建設されていて、

中には八重桜なども植えられておりました。

 

目抜き通りになるマーケット通りを、ひたすら東へと練り歩いていくと…

 

かつて市の中心部を走り抜けた鉄道駅の駅舎跡などもあります。

 

さらに東へと歩いていくと、アメリカ合衆国独立時の歴史を彷彿とさせる歴史的建造物などを見ることができます。

こちらは独立宣言の採択書を、3代目大統領トーマス・ジェファーソンが書き上げた当時のジェファーソン家。

 

そしてその採択書を基に独立宣言が実際になされたのがこちら、当時のペンシルベニア州議事堂。現在では独立記念館となってユネスコ世界遺産としても登録されました。

 

やや北へと行くと、リバティーベルセンターもあり、

 

自由の鐘も、当時の姿そのままに展示されています。

 

さらに北東へと歩いていくと、歴史的な住宅地がそのまま博物館としても保存されているエルフレスの通り(Elfreth's Alley)などもあります。

ただほぼ20ブロックを練り歩いていたとあって、愛妻ちゃんも裕坊もちょっとヘトヘト…

 

そこからは地下鉄で、西へと戻りました…ただニューヨークやワシントンDCなどと違い、観光客が気軽に使える雰囲気でないのが、やや残念…

 

そしてやってきたのが、駅舎跡を利用したレディング・ターミナル・マーケット。

 

横幅が広く、お店の数はニューヨークのチェルシーマーケットと比較してもおよそ3倍の数を誇るんだそうです。

訪れていたのは月曜日。平日のお昼下がりだったにも関わらず、観光客で溢れたマーケット内は活気に溢れておりました。

 

フィラデルフィアといえば、フィリーズチーズステーキ。

 

チーズステーキとはいっても実際にはサンドイッチで、薄切り牛肉をさらに細かく砕いて、チーズと共に焼き上げてパンの間に挟み込みます。

 

注文をするとトランプのカードを一枚渡されて、10分ほど出来上がりを待ちます。

 

カード番号を呼ばれて、

 

30センチ大のサンドイッチをいただきました。

 

実はこの10日勤務の最終日となった火曜日には、エピソードがさらに1つ加わることに…

 

当日の出勤時刻は午前5時で、午前4時30分のシャトルに乗り込み、 デトロイトへと着いてみると…

なんと地域航空会社勤務時に同僚だった、元客室乗務員の方とバッタリ遭遇。懐かしの話を咲かせながらの朝食でした。

 

 

 

 

土曜日は午後11時発のバージニア州リッチモンド行きを担当です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/4

米国国内専用小型旅客機で、副操縦士を務める裕坊です。

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4月2日(日)から始まった1日のお休みを挟んでの10連勤。実はそのうち日帰り勤務が1日入っているのでそこを他の日に振り替えたいのですが、なかなか希望が通らずにずっと待ちぼうけになっています……救いは30時間の宿泊滞在が、2回入ること…

 

今日4月4日(火)はメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)で知られるミネソタ州の地方都市ローチェスターで、担当便が入らない1日を過ごしています。ちなみにメイヨー・クリニックとはその名から小さな規模の町のお医者さんなどを想像してしまいますが、実際には大規模の総合病院。

 

ミネソタ州は先週大きな吹雪があったばかりで、今日はその名残を留めるかのようなお天気。気温は4月に入ったというのにまだ一桁台でした。

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写真はホテルの部屋から見える景色です。ダウンタウンのほぼ中心部にあるホテルで周りにはレストランなどもあるのですが、外の気温は3度でしかも小雨がパラつくあいにくのお天気……歩いている人の気配もない……明日の空港への送迎シャトルのお迎えの時間が午前3時50分と強烈な早さなので、まだ夕方5時だというのに既に寝支度を整えてしまいました。

 

ローチェスター行きはミネアポリスからの出発になります。直線距離でおよそ120キロほどにしかならないので、飛行機だとあっという間。ちなみに昨日の離陸から着陸までの飛行時間は20分でした。地域航空会社時代はよく訪れていた典型的な地方都市の1つで、旅客ターミナルは基本平屋建て。

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最近は大手航空会社、貨物航空会社、格安航空会社も挙って競うようにパイロットを雇っているので、労働条件で劣る地域航空会社からは人材が流出しがち……地域航空会社での人材不足が深刻になる中、大手航空会社による地方都市への就航便もここ最近では多くなりました。

 

 

そのミネアポリスからやってくる前に、実はちょっとしたハプニング…シカゴからのミネアポリス行きを担当していた便のことなのですが、着陸後ゲート入りするまでの間に、30分ほどの足止め…

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その理由とは、この方の訪問があったから…バイデン大統領が、ミネソタ州に本拠を置く発電機制作会社を訪問していたということでした。クリーンエネルギーを創出に力を入れているというバイデンさん。先週から3週間に渡って、米国内での雇用創出も含めて精力的に全米を回っているということらしいです。

 

そして米国大統領が公用で各地を訪問する時に使用される機材がこちら…

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大統領が搭乗する時は、航空無線では『エアフォースワン』の扱いになり、航空業界では俗に『VIP』とも呼ばれます。実は「エアフォースワン」が飛来する時は、保安上の理由から民間の航空機は旅客機といえども全て足止めになるという、航空界の掟というものも存在します。

 

ミネアポリスでの訪問を終えて、次の訪問先へと向かうのにバイデン大統領だ一旦「エアフォースワン」に搭乗すると、離陸して滑走路を飛び立つまでは旅客機は一切の例外なく足止め……昨日はミネアポリス空港着陸の後、滑走路横にある駐機場でしばらく待ちぼうけでした…

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これがゲート到着後の、操縦室内搭載のコンピューターの写真。2143とあるのが着陸時刻。世界標準時を表示しているので、実際の現地時刻は午後4時43分。2221Zとあるのがゲート到着時刻で、現地時刻では5時21分。ミネアポリスでは着陸してからのゲート到着は国際空港としてはかなり短く、通常時は5分とかからないのですが、この便ではほぼ40分という異例の長さでした…

 

旅客航空会社ならではのあるあるです。

 

 

 

明日は恐怖の午前3時50分のホテル出発です…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/2

米国内の国内線を小型旅客機にて担当する、裕坊です。

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9日間の休暇が終わり、4月2日(日)から1日の休暇を挟んで10連勤の始まりです。

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月の前半にしっかりと勤務を集中させて後半まとめてお休みをいただくという、アメリカの航空会社の乗務員が挙って好む典型的なパターンの1つが始まります。裕坊自身はどちらかというと、4日勤務の後3日休暇のパターンの方が好みだったのですが、先月に続いてこのシフトになりました。

 

 

なぜこのようなシフトを好む乗務員が多いかと言うと、実は州外からの通勤をする者が多いから…

 

 

アメリカの航空会社に勤務する乗務員の通勤方法は、半分ほどが車で半分ほどは航空機。航空機といっても自家用機などを保有して通勤するのではなく、福利厚生の一部でもある無償搭乗を使っての通勤というパターン。航空会社の社員には、空席さえあれば家族も利用が可能な自社便への無償搭乗が可能な福利厚生制度があり、通勤の際にも利用可能になるのでそれを使って州外から通勤します。デトロイトに所属する乗務員の場合だと、シカゴからだったりインディアナポリスからだったり…

 

業界ではこれを『コミュート(Commute)』と呼びます。Commuteとは、英語での本来の意味は『通勤』。ところが各所属先とも半分ほどは自社機を使って州外から通勤をするので、その人たちを指していつの間にか州外通勤を指す言葉として『コミュート』という言葉が使われるようになりました。

 

かくいう裕坊自身も、かつては『コミュート』組の1人。デルタ航空の子会社エンデバー航空という地域航空会社に勤務していた当時、ニューヨークのケネディ空港に所属すること、およそ2年3ヶ月。当時会社が破産法下に置かれていたこともあり、裕坊に選択肢はなくその2年間は強制配置。子会社に勤めながらもデルタ航空便であれば全便利用は可能でしたので、無償搭乗を利用して「コミュート」をしていたのですが、無償搭乗の権利とは「あくまで空席がある場合に限り、使える権利」というのがミソ…

 

当時は今ほど直行便の座席数がなく満席になることも多かったために、直行便を諦めて経由便を利用して通勤したこともよくありました。ワシントン経由だったり、ピッツバーグ経由だったり、やや遠回りしてノースカロライナ州のローリーを経由したりしたことも……1月から3月は搭乗率がやや落ち着くので空席を見つけるのはさほど難しいことではないのですが、これが夏休みの時期だったりクリスマス前後のホリデーシーズンだったりするとほぼ全便が満席になり、コミュートする者が乗れないなんてことは日常茶飯事…

 

そんな「コミュート」する者にとって、通勤回数が減らせるのはとても助かります。勤務時はフライトが詰め込まれ勤務が全て終わる頃には気力も体力も消耗しきってしまうことも少なくはないのですが、月間の通勤回数が減らせられれば減らせられるほど助かると考える乗務員も少なくなく、各月のスケジュール編成に当たってこちらから特別な希望を提出しない限りは、このようなパターンが組まれることが多くなりました。

 

 

12連休が入ったのはいいけど、プライベートの時間をどう過ごそうか……

 

 

日本でサラリーマンをしていた当時から、あまりプライベートの時間の使い方が上手ではない裕坊。カレンダーを見てもフライト以外に今月の裕坊自身の予定というのが、連休が続くところでは今のところ1つも入っていない……家の修繕をしないといけないので、そちらに時間を割くことはできるのですが……

 

エアラインパイロット生活はどれほど健康に勤め上げたとしても、今年の5月に54歳になる裕坊には残り11年。11年といえば長いようにも聞こえますが、恐らく経ってしまえばあっという間。今のままだと引退後の潰しも利かない……プライベートで気軽に時間を潰せる趣味も探さないと……

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サラリーマン時代からよく耳にしていたのが、趣味を持たなかったが故に引退後に時間を持て余してしまうという悩み。特にキャリアを目指して管理職にまで上り詰めた挙句、退職後に全ての肩書を失うことになって人が離れていってしまったというエピソードは、裕坊の耳にはとても痛いです。

 

今こうして同じような悩みを抱えつつある裕坊。とりあえず視野に入れているのが、大学時代にハマっていたビリヤード。

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我が家には地下があるので、こんな風に改装してみたいと思ってはいるのですが…

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理想ばかり追求してなかなか実現に至らないのが、裕坊の悪い癖…

 

 

 

 

夢を抱きつつ、明日は午後1時の出勤です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 3/30

米国航空会社で、社内で1番小さな旅客機に乗っている裕坊です。

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3月は23日(木)が最後の勤務日で、それ以降はずっとお休みをいただいています。アメリカの航空会社の勤務スケジュールは、全て入札制。社内の在籍歴によって、所属先に担当機種、有給休暇の日程などが入札で決まります、勤務シフトも例外ではなく入札制。

 

裕坊は子会社から親会社への転籍組の1人。従業員番号は昨年の3月1日にいただき、その日から従業員扱いになっていたこともあり、実際に研修が始まった昨年6月7日には、既に在籍歴が3ヶ月を超えておりました。日本国籍のまま永住権保持者としてアメリカに在住している裕坊の場合、運輸庁による過去経歴審査が課されるのですが、かかる期間はおよそ2ヶ月でしばらく自宅待機。6月の研修同期生が次々にシミュレーターによる飛行訓練を終わるのを見届けている間も在籍歴だけは積み重なって、訓練が終わった9月末には既に在籍歴7ヶ月経過になっていました。

 

8機種からなるデルタ航空で1番不人気のボーイング717型機が担当の裕坊。しかもデトロイトは、ニューヨークに次ぐ不人気の所属先。多くの新人が挙って集められるデトロイト所属のB717副操縦士だと、在籍歴1年未満でも勤務シフトの優先順位が上がるのは早く、裕坊は実質的にまだ入社後1年を経過していないにも関わらず、既に180名中の80位。勤務シフトの希望は聞いてもらいやすい立場になっています。

 

そこで毎月、月全体に勤務が散らばるようなシフトを希望するのですが、アメリカ人は月の半分に仕事を詰めて、残り半分に1週間連続、運が良ければ半月を丸々お休みしてしまうというパターンが大好き…その典型的シフトのお鉢が回ってきて、3月の24日から4月の1日まで、9日間が連続で休暇となりました。4月も似たようなスケジュールで、月の後半には、なんと12日連続もの休暇を取得……その分、勤務中は怒涛のスケジュールになるのですが…

 

 

家の修理をするには、ちょうどいい……

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我が家は2階建ての中古物件。購入したのは12年前の2011年なのですが、建築は1979年で既に築40年を超えています。あちこちにガタが来ていて、エアコンの室外機が故障していて冷風が出てこなかったり、温水器も実は調子があまり良くない……この1週間にどちらとも修理をしておきたかったのですが、結局は先送りになりそうな気配…

 

アメリカンドリームという言葉が示すように、アメリカとは夢を叶えるべく世界中から人が集まる国ですが、そのアメリカンドリームとは、ご存知の通り『お金を稼ぐ』こと。ただお金を稼ぐこと、すなわち『量』にばかり意識が行き過ぎる傾向があり、いつも『質』が置き去りになるのが難点……家の修繕1つとっても、約束の日時に作業担当の人が姿を見せない、なんていうのはよくある話で、事実フロリダ州からミシガン州への引っ越しの時などは、引っ越し業者がいつまで経っても姿を見せず、入金済みの頭金を失った上で、急遽別会社に依頼して引っ越しに漕ぎ着けた、なんてこともありました…

 

 

今となっては、それもいい経験…

 

 

この休暇も交渉だけで9日間を過ごすことになり、しかもどれ1つとっても契約締結には至らず……家の修繕は全く進まなかったものの、課金が発生しなかっただけ良しとしよう…何事もなかなか思うようには、進まない。アメリカあるあるの1つです。

 

 

そんな中、大リーグもプロ野球もとうとうシーズン開幕。我が贔屓のデトロイト・タイガースは開幕戦、完封負け…期待を裏切らないです…方やニューヨーク・ヤンキースは、というと…

 

昨年、アメリカンリーグの最多本塁打記録を更新してMVPを獲得したアーロン・ジャッジ選手が、早くも開幕戦で今季1号本塁打。エースのゲリット・コール投手は11奪三振で6イニングを零封して貫禄の今季初勝利。この2人の選手がWBCに出場していたら、間違いなく侍Japanには大きな壁となって立ちはだかっていた…

 

野球小僧としては、この2人が先発出場選手に名を連ねる全米代表に、侍Japanがどこまで挑めるのかを見てみたい…

 

今年もいよいよ血が騒ぐ季節になってしまいました。

 

休日が多くなったこともあり、体を鍛え直すことを決断して、こんなものまで買ってしまった裕坊。

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次回の出勤は4月2日(日)。そこからは1日の休日を挟んで、怒涛の10日連勤です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 3/27

米国国内線を中心に、小型旅客機に乗る裕坊です。

 

3月もいよいよ最終週。アメリカのミシガン州を始めとする中西部では、寒の戻りでかなり肌寒い日が続いています。

そんな中で、3月28日(火)には太陽系の惑星のうち5つの惑星が一堂に会する惑星直列という天体ショーが見られる夜になるそうです。なんでも地平線近くに木星、彗星、金星、天王星、火星が集まるのだとか…日没直後に見えるそうですので、当日はダウンジャケットを羽織って、近くの公園にでも行ってみるかな…

 

4つの惑星が集まる惑星直列は比較的頻繁に起こる現象のようで、ほぼ毎月の観測が可能なのだそうですが、5つの惑星が集まるとなると、次回に見られるのは2040年9月8日。全ての惑星が同じ側で一堂に会するのは2161年5月19日なのだそうで、その次は2176年11月7日と比較的早くやってくるそうですが、そのさらに次となるとしばらく間を置く形になり、2492年5月6日。

 

太陽系にとってみれば、太陽が一家を支えるお父さんで、周りと回っている各惑星は皆家族のようなもの。惑星直列とは、家族が集まるお正月みたいなものかも知れません。

 

 

我が家は息子くんを含めた3人家族ですが、その息子ももう18歳。4年制の高校の4年生で、今年の6月には卒業も控えています。車の運転免許が高校在学中に可能になるミシガン州の高校生は、3年生にもなると自らハンドルを握って通学することも珍しくなくなります。我が息子も昨年のうちに制限が課されない運転免許を取得し、自ら車に乗っての通学も始め、それまで我々が乗せていっていたピアノやサッカーなどの習い事の送り迎えすることもなくなり、既に親の手からはかなり離れています。

 

 

 

ただ大学に一度入ると、今度は家に本人そのものがいなくなってしまう…

 

 

 

こちらの大学では通学圏内にあっても学生たちは学生寮に入寮することが前提になるところも少なくなく、息子くんが視野に入れている大学の場合は特に、全て学生寮が設置されているところばかり…まだ学生時代であれば、夏休みや冬休みのような長期休暇になれば、我が家にも帰ってきてくれるのでしょうが、一旦社会に出るとなかなか会えなくなるのかもなぁ〜…

 

まぁただ、かくいう裕坊自身も遠く離れた日本の実家にいる母親とは同じような状態ですので、あまり人のことは言えません……

 

 

 

そんな訳で、卒業を控えた我が息子との時間を少しでも多く共有するべく、最近ではお給料を少々犠牲にしてでも休暇を多めに取得して、息子が参加している行事に顔を出すことも多くなりました。先日は息子が参加しているジャズオーケストラの遠征に参加してきたばかり。

会場はオハイオ州の州都のダウンタウンからそれほど遠くない、オハイオ州立大学。

 

息子が所属するオーケストラによる演奏は3曲で、出演はおよそ15分ほど。主催の大学オーケストラ演奏では、プロジャズ歌手(カーメン・ブラッドフォード)の参加もあり、さすがに一味違うジャズの披露でした。

オーケストラの後には、初めて訪れるコロンバス市内の観光。

 

屋外型モールには普段からよくお世話になっている日本食レストランの支店があり、コロンバスを現在は拠点にされているシェフの方との再会までありました。

 

翌日は、そのシェフの方もオススメのドーナツ屋さんを訪れ、

6個入りのドーナツを買ってみたりしました。

 

 

その場でカラッと揚げてくれる揚げたてのドーナツ。トッピングは様々豊富な種類が用意されますが、ドーナツの中身をじっくり味わいたいなら、単純にシナモンパウダーがかかったのが裕坊のオススメ。

 

そしてダウンタウン近郊まで訪れた際には、ノースマーケットも訪れてみることに。

 

中へ入ってみると、様々な食材、食事が出店されていて、日曜日の午後ということもあり、なかなかの賑わいでした。

 

1番奥まで赴いてみると、八王子出身の方が運営するラーメン屋さんも出店されています。

当日は豚骨ラーメンをいただきましたが、東京の方ならお馴染みの油そばもいただくこともできます。

 

火傷を防ぐためにスープをややぬるめにするラーメン屋さんが多くなっているアメリカにあって、久しぶりに本格的なラーメンをいただくことができたのは感動でした。

 

 

 

 

 

お休みは今週の土曜日まで。しばらく朝寝坊の日が続きそうです。