yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 8/27

米国の小型旅客機で、短距離路線を中心に飛んでいる、裕坊といいます。こんにちは。

 

明日から裕坊は、今月最後の4日間のフライト。大抵フライトを控えた日は、制服のシャツにアイロンを当てて、荷造りをします。

こちらにもクリーニング屋さんはあるのですが、実は一度も利用したことがありません……

 

カバンに詰めるのは、着替えがほとんど。お天気などが原因で最後の日に帰宅できないこともたまにあるので、大抵2日分の余裕を持たせます。4日間のフライトへ出る時なら、6日分。

これを金属のフレームでできたカバンに詰め込みます。頑丈なのはいいのですが、重いです……

 

裕坊は通常のサイズよりやや大きめの物を使っているので、6日分の着替えを詰めると、重さ25キロ……

これを1日に2度3度上げたり下ろしたりすると、それだけでもけっこうな運動量になります。

 

以前ですと、紙に印刷されたマニュアル類などを入れた専用のカバンなども引っ張っていたのですが、

そちらは全てタブレットに置き換わりました。

 

大抵余分にもう1つのカバンを持って歩きます。

中身は、ほぼ100%の確率で、食料。

 

フルーツや野菜を持ち歩く者もいれば、

パンやジャムなどを持ち歩く人も。裕坊はといえば、大抵即席のお味噌汁に、レンジで炊けるご飯、そして魚の缶詰など……

 

 

ただ、この生活、いつまで続けられるのかなぁ〜〜………

 

 

新型コロナウィルスによって、旅客航空需要は激減……今も需要減の影響は続いています。アメリカでは9月末までは、政府による支援給付金(CAREs Act:Coronavirus Aid Relief and Economic Security Act)によって航空会社への財政支援が行われて、各航空会社は急場を凌いできました。その給付支援の条件に、自己退職、自己休職以外では、会社の都合による解雇、一時解雇ができないという条項まで添付されていて、従業員たちも現在は一息ついている状態……

 

蛇足になりますが、実はアメリカの大手航空会社は、こぞって2010年代に航空自由化協定を振りかざして、飛躍的な躍進を遂げた中東の航空会社(エミレーツやエティハド、カタール航空など)を相手に、訴訟寸前の圧力をかけ続けた時期がありました。政府による資金的支援を受けながらの企業成長は、航空自由化協定に反する、というのが当時のタテマエ……ところがコロナ禍をきっかけに、今度は自らが政府支援をしきりに求めざるを得なくなるという皮肉……

 

話を元に戻して、政府支援の期限となる9月末が近づいても、まだ支援延長は閣議決定されておらず、各大手航空会社では一時的な解雇措置を匂わせる報道が相次ぐようになりました。裕坊の場合も、親会社であるデルタ航空が1割強の乗務員に一時解雇を示唆しており、そうなると子会社に勤める裕坊たちにも影響は必至……

在宅勤務やオンライン交渉などが常態化し、出張や移動を伴う会議などが減って老舗の航空会社の利益を支えてきたビジネス移動の需要が激減……

 

ただこれが今後V字型の回復軌道を辿るのか、といえば、裕坊は懐疑的……

 

裕坊の身近に1人、米系大手自動車会社に勤める友人がいるのですが、現在は1週間のうち、在宅勤務が週3日で、出社は2日だけ。移動に費やす時間を仕事に当てることができる上、出社による無駄が省けることで、却って生産性が上がっているそうです……

 

 

そうなんや……

 

 

そこで裕坊、自らの日本での製薬会社勤務時代を振り返ってみました。営業として勤務していた当時は、朝礼がある月曜日以外は、基本直行直帰。まだインターネットなどなかった時代でしたので、月曜日以外は、たまに提出する書類がある時などに会社へ赴く程度……これなど今なら、zoomミーティングなどを使って朝礼をし、必要書類はメールにファイルなどを添付するなり、会社専用のアプリやソフトで必要事項を記入して、送信ボタンを押せば済んでしまう話……

 

実務では、車に乗って各得意先へと移動しておりました。カバンを下げては病院、薬局、卸売事業所などを回り、大手の取引先ではアポを取った上で待ち合わせ。工事や事故などの渋滞に引っかかって、冷や汗をかいたことも……逆に到着が早すぎた時には、近くのレストランや喫茶店などで時間を潰してみたり……これも今なら、Googleやzoomなどのアプリを通せば、簡単な手続きでどこからでもオンラインで対面でき、契約の煮詰めの計算などはコンピューターで正確に弾き出され、移動の時間が節約できる分、プレゼン用の書類の作成にもっと時間を割くことだってできる……

メリットは多いです。この動きが世界でも広がっているとしたら、或いは今後の新しい『新常態』となっていくのだとしたら、ビジネス移動の需要は、回復しても恐らく昨年の半分規模がやっと……

 

今後、航空会社が生き延びていくための最善の方法を探るとなると、あくまで裕坊個人の想像の域を出ませんが、『旅客業界』全体が大きくタイアップして、『移動の手助けをするプロ』の一員として、『航空部門』が存在する、という形が最も現実的なのでは、と思っています。「デルタ航空」単体として存在するのではなく、「デルタ・トラベル」という企業の中に、航空部門として「デルタ航空事業所」が存在し、他にホテル事業所、レンタカー事業所、タクシー事業所なども存在する、といった感じでしょうか。

 

 

ビジネスモデルとして、貨物航空会社を取り上げてみるのもいいでしょう。例えば、世界最大手の貨物航空会社フェデックス』の場合、

 

航空部門となるのは、「フェデックス・エクスプレス」

パイロットの管理から、航空機の整備に至るまでの、航空部門の全てを司ります。世界最大の貨物航空会社といえども、あくまで「フェデックス」社の子会社。

 

他にも一般の貨物集配などを担う、「フェデックス・オフィス」があったり、

 

直接、事業所などへ荷物を運んだり、回収したりするのは地上部門で「フェデックス・グラウンド」。

 

大型トラックを使って、州を跨がる長距離運送を担う長距離トラック部門を扱うのは、「フェデックス・フレイト」。

 

大規模の工場などの需要に呼応して、パーツを一時的に保管して、工場の稼働具合に応じて必要部品を供給する「フェデックスサプライチェーン」なども存在します。

これらの会社は、皆子会社。各企業が大きな企業集団を形成して「荷物配達のプロ」となり、集配から配達までの全てを担います。

 

旅客部門でも、家を出発する時から、家に到着するまでの面倒を見る企業が形成されていい、そういった企業が出現があってもいいのではないか、と裕坊は考えます。 既に「ワーケーション」に生き残りの戦術を見出した鉄道会社や旅行会社の一部では、そのような動きも始まりました。JR西日本が、多拠点型コリビングサービスのカブクスタイルと提携を結んでみたり、JTBはハワイでのワーケーションに取り組んでみたり……航空会社でも、同様の動きを模索するのが、今後の生き残りの鍵を握るのではないか、と個人的には思っています。

 

 

明日の午後から、4日間のフライトへ出発です。