yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 7/29

米国国内線中心に、小型旅客機に乗る、裕坊と申します。こんにちは。

今晩の裕坊の夕食です。パエリア。レモンをかけて食べると、口当たりもさっぱり。明日から次の4日間のフライトへ出発です。

 

裕坊が勤める航空会社は、最大76名仕様の小型機専門で、親会社はデルタ航空。その親会社のデルタは、先々週の第2四半期の決算で、57億ドル(日本円換算で、およそ6,200億円)の赤字を計上しました。

空旅客需要も軒並み9割から8割減。需要が感染拡大当初と比べて微増になっている現在でも、平常時の3割程度……ただ1便あたりの旅客需要にリージョナルジェット機の客席数が合致しているので、「たまたま裕坊の仕事が増えている」という、一時的な現象が起こっています。それでも需要が完全には安定していないので、明日から始まる4日間のフライトでも、一部の便が出発直前になって欠航、なんてことがあるかも知れません。

 

 

コロナウィルスがアメリカに入ってきて、3月中旬ごろから感染が急拡大してからもう4ヶ月……コロナウィルスのことを忘れたくはなりますが、残念ながら現実からは逃げられないです……

 

 

ちょっと極端な話をしてみます。もし仮に人間が半永久的な命を手に入れたものとして、永遠に地球上で今現在と同じように生活が送れるのか、といえば、これは99%の確率で「ノー」になるでしょう。太陽は核融合とともにエネルギーを放出して、その恩恵を地球上の私たちも享受していますが、核融合とともに生産されるヘリウムによって太陽は膨張を続けていて、将来的には赤色巨星になり、17億5千万年後には、地球上の水が全て蒸発してしまうそうです。その頃には、地球が金星と同じ灼熱の大地になってしまう……(ちなみに金星の地表面温度は460度で、大気圧は地球の約90倍なんだそうです)

 

その時には、地球外で生活ができそうな他の惑星へと移住するか、地球を「総地下化」するなりして、生き伸びる手段を考えなくてはいけません……どんなに声高に「どれだけ地上が熱くなろうとも、今まで通り地表面で生活するのは、俺たちに与えられた自由だ」と叫んだところで、表面温度が6,000度にもなる太陽光線を、至近距離でまともに浴びようものなら、瞬殺されて一環の終わり………

f:id:Yuichibow:20200730130400j:image

もちろん超高輝度の太陽光線とコロナウィルスを同列で語るのは、ちょっと飛躍しすぎていますが(申し訳ありません……)、今置かれている現実を謙虚に受け止めて、それに対処する姿勢がなければ、仮に人類が17億5千万年を生き延びたとしても、その先は生きられなくなってしまいます。その場その場で与えられた条件に対処しながら、最善を尽くす………

 

コロナウィルスの感染速度を遅くしたければ、マスクを着用するだけでも効果が期待できることは分かってきています。布一枚を口元にすればいいだけの話。なんでアメリカの保守の人たちって、こんな単純で簡単なことを頑なに拒否するんやろ…………

 

分からん……………

 

ただ風向きは、徐々に変わってきているようにも感じられるようにはなりました。少なくとも空港内で、マスクを「敢えて外したまま」、ターミナル内を大手を振って闊歩する人の数は、圧倒的に減ってきています。スーパーの中でも、以前ですとマスクなしの人が散見されたのですが、今はガソリンスタンド隣接のコンビニですら、ほとんどの方が最低でも口当てをしてお店に入るようになりました。あくまで裕坊が見ている範囲での話に過ぎないのですが、保守系の方でもマスク着用への抵抗感は薄らぎつつある印象は受けています。

 

先日はテキサス州の「マスク拒否の急先鋒」的な存在だった共和党員、ルイ・ゴーマート下院議員が陽性と診断されました。

ただそのゴーマート議員自身も、先週の下院司法委員会での公聴会では、ちゃんとマスクを着用していたそうです。 保守系の方でも、考え方の主流は変わってきている、と信じたいです。

 

 

裕坊思うに、アメリカでもうちょっと「気軽に」診療を受けられていたとしたら、状況はちょっと違っていたかも、という気がしてなりません……アメリカでの自己破産のうち、およそ半数が法外な医療費請求によるものであることは以前から問題視されていて、風邪のような症状ですら、どうかすると数十万円に相当する医療費の請求が来るので、なかなか気軽には病院にすら行けないのが現状…… その為に発熱や咳、肺炎などの症状が出ていても、病院に行かずに放置していて、その間に家族や仕事場での同僚などにも感染させてしまい、感染拡大初期のニューヨークなどで爆発的感染拡大の一因になった可能性があるのでは、と裕坊は考えています。

3月から4月にかけては、ニューヨークでは病院横に冷凍トラックが横付けされて、病院内で抱えきれなくなった遺体をトラックの荷台で保存するという異常事態……今、テキサスやフロリダなどで、似たような現象が起きているそうです……

 

普段から裕坊がお世話になっているファイナンシャルプランナーの方に、以前法外な医療費の問題を訴えたことがあったのですが、その時の答えは「それはアメリカの医療技術が、世界の最先端を行っているから」……

 

報告されている累計の感染者数が440万人を超え、死者の数でもとうとう15万人を超える有様……これを保守系の同僚などに話すと、中には「交通事故で死亡した人が、たまたまコロナウィルスに感染していたことが分かって、死因をコロナウィルスと診断されたらしいよ」というのもおりました……

 

じゃあ、そういう死因がコロナウィルスの2割を占めていたものと仮定しよう。2割の方が実際にはコロナ以外で亡くなっていたものと仮定して、コロナで亡くなった方の数は、何人になるんや……それでもぶっちぎりで世界ワースト1位やんか………それが「世界で最先端の医療技術を誇る国」が求めている答えなん???………

せめてもうちょっと気軽に病院に行けるようになってたら、ひょっとしたら状況は違ってたんと違う?、と振ってみると、全員それには同意。その意見を否定した同僚は、今まで1人もおりません。

 

医療技術と医療制度は、必ずしも比例するものではない、という現実を、アメリカはコロナウィルスを通してしっかりと示してくれた気がします。テキサス州フロリダ州では、ここ数日1日あたりの死者数が過去最高を更新してしまったそうですが、同時に新規に陽性と診断される方の数も頭打ちになっているそうです。このまま感染の速度が緩くなって、状況が改善しますように。

 

 

明日のお昼過ぎに出発して、次の4日間のフライトです。