yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 6/22

アメリカの小型旅客機、操縦担当の裕坊と申します。こんにちは。

まだコロナウィルスの感染が落ち着かない中、需要が回復基調にあるアメリカの航空業界。この月曜日からもフライトが入って、お昼すぎに出勤。4日間のフライトをこなすことになりました。ただ未だに総運航数が少ない中でのフライトですので、4日間の合計の担当便は、今のところ5便。スケジュールを見ている限り、これまで1日1往復だったのが2往復に回復した行き先がリストを連ねることになった、という感じでした。

 

先週金曜日にほぼ1ヶ月ぶりのフライトをこなしたばかりですので、なんとなく現在の空港の様子などは把握しておりましたが、今日またほんのちょっとではありますが、営業を再開したところが目に受けられました。

保安検査場を通り過ぎると、すぐに出てくる免税店。

 

こちらはほとんど閉めることなく営業を続けておりましたが、 その向かいにあるトラベル用品のお店も、今日は開店。

 

さらに先まで歩くと正面に見えるコーヒーショップ。

先週の金曜日にフライトが入った時は夕方遅くの出発でしたので、時間的にも閉店の時間だったのですが、今日は開店しているのを確認。

 

レストランも一軒、今日までに再開しておりました。店内で座っての飲食も可能なようです。

 

まず向かったのはミネアポリスだったのですが、

 

搭乗前にはそこそこの数の乗客も姿を見せるようになり、

 

3人がけの真ん中の座席以外がほぼ埋まる状態。

130名仕様の機体に、恐らく120名ほどの乗客がいたように見受けられました。

 

1時間半ほどで、ミネアポリスに到着。

 

こちらでは、全米で人気のチキンバーガー屋さんが、再開していました。

 

保安検査場から、Cコンコース、さらにA、Bコンコースを結ぶ電車はまだ運休中。

 

Cコンコース内のフードコートも変わらず、まだ全く開いておりません……

 

旅客便の出発掲示板……

 

先月にも一度ミネアポリスにまでは来ていたものの、コックピットからのこの景色を見るのは、本当に約1ヶ月半ぶりでした……

座席こそ76名分あるものの、42名にまで定員を制限していて、今日は42名が搭乗。現在の基準では満席。活気は少しずつ戻ってきているような感覚を覚えます。

 

夜遅くになって着いたのは、オハイオ州の州都、コロンバス。

 

ただ、まだまだ最盛期からすると旅客航空需要は7割減。裕坊が勤める航空会社も、親会社であるデルタ航空も、日計算で見るとまだ赤字……アメリカの航空業界は、昨年過去最高益を出したような状態にまで需要が回復するには、3年程度を見込んでいるようです。

 

アメリカン航空は、先日の発表で担保付き上位債と転換社債をそれぞれ7.5億ドルずつ発行するなどして、合計で35億ドルの新規資金が調達できたのだそうですが、

償還期限が2025年となっていましたので、多くの航空会社が需要の本格回復に対して、同様の見込みを立てているのでしょう。アメリカの航空会社は、次々に資金調達の手立てを構築していますので、ほぼ全社とも来年の春まで耐えられるだけの体力は身に付けつつあるようです。

 

デルタ航空の先日の発表では、来年春には損益分岐点まで需要も回復するとの言及までがありましたが………

 

それはちょっと……そう簡単に行くかな〜〜〜……

このまま順調に需要が回復すれば、7月と8月は現在予定している運航便に加えて、最大で1,000便を追加する方針らしいですが…あとは第2波、第3波をどこまで最小限に食い止めることができるか………このまま感染者数が押さえ込まれて、新規に入院する人の数が少なくなれば、兆しは見えるのでしょうが………

 

 

現実を見ると現時点ですらそれとは裏腹に、新規に陽性と診断される方が後を絶たず………

 

 

一部のアップルストアではそれに呼応するように、一度は再開した店舗を、再び閉鎖せざるを得ない羽目になってしまいました…フロリダ州サウスカロライナ州ノースカロライナ州アリゾナ州での合計11店舗が、再度閉店することが決まっています。

恐らく一進一退が今後2年ほどは続くのは避けられないだろう、に一票。

 

今の南半球を見ていると、ブラジルだけでなく、チリも悲惨なことになっていますし、

 

そのチリは、緊急事態宣言をさらに上回るような言葉の響きがある、大災害事態宣言までをも発令し、さらにはそれを先日更新することにまでなってしまいました……

チリでは、首都のサンティアゴで完全な都市封鎖宣言がなされた他、食料供給などの基本的なサービスを、政府が請け負うことになるそうです。大災害事態宣言下の元では、軍による隔離措置までが行われているのだとか……

 

 

これを見るにつけ、アメリカでも秋以降に同様のことが起こる可能性は否定できない……というよりも、見切り発車的な経済再開を進めていったとすると、空気が乾燥し、気温が下がって相対的に人が持つ免疫力が下がってくると………

 

 

あまりにも分かりやすいシナリオ……

 

 

今のコロナウィルス対策として、最も有効なのは、まずは『「コロナウィルス増殖の連鎖」を断ち切ること』のような気がするのですが………「マスク着用」はそれに一役買うと裕坊は思うのですが、ここに来て空港内の乗客たちも、平常を完全に取り戻したかのように、あるいはコロナウィルス禍など初めから存在しなかったかのように、マスクを外している姿を見せつけて、カウボーイ的な振る舞い………

アメリカは、コロナウィルス禍を抜け出すのに、ちょっと時間がかかるかも知れません………