yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊 2/24

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

2日間のお休みをもらいました。しっかりお昼寝もしました。早朝の出勤。今日も6時に家を出て車の中で半目のままキーボードを叩く裕坊。ここ最近のデトロイトはずっと氷点下を行ったり来たり、氷点下10度以下の天気に慣れていた体には暖かくすら感じてしまいます。慣れとは怖いです。これが日本なら間違いなくコート羽織って毛糸の帽子かぶってマフラーグルグル巻きにして震え上がっています。

これから向かうのはアトランタ。1人の乗客として客席に座り、次の目的地へと向かいます。自分では操縦桿を握りません。業界用語でデッドヘッドと呼びます。英語の綴りも見たままdeadhead。直訳するなら死んだ頭。乗客として搭乗、フライトにはクルーとして直接は関わらないので頭を使う必要がない、ということでこの呼び名が定着したのでしょう。乗っている間は本を読んでいようと、サンドイッチを食べていようと、寝ていようと文句を言われることはありません。扱いも一般乗客と同じ。搭乗券を手にして、一般乗客と同じタイミングで搭乗します。

今月の裕坊は既に今月、来月の担当便が確定済み。会社としてもクルーとして飛んでもらった方がコスパは上がるので、デッドヘッドの数は当然少なめ。それに反してリザーブ、スタンバイ状態だとこのデッドヘッドの数は必然的に多くなります。リザーブとは様々な理由でクルーが足りなくなったときの穴埋めをするのが主な役割。急に機長や副操縦士などが足りなくなると、会社の乗務員配置担当がリザーブのクルーのケータイを鳴らして呼び出します。

例えばシカゴからボストンへ飛ぶ機長が急な病欠で飛べなくなったとします。我が航空会社にはシカゴにはクルーの配属先がないので、まずはどこかからクルーをシカゴへと移動させなければいけません。そこへデトロイトにいい具合に1人のリザーブの空きがありました。本社にある乗務員配置係が1人分の座席を確保し、そのリザーブクルーを移動させます。デッドヘッドで送り込むわけです。

おかげでその便はちょっと遅れながらもボストンまで飛ぶことができました。ところがその便がボストンへと向かう間に、他で遅延が発生していました。ワシントンからインディアナポリスへ飛ぶフライトが遅れて、その便のクルーが拘束規定時間を超えてしまいました。このままだと欠航になってしまいます。

そこでボストンへと到着したリザーブクルーをまたデッドヘッドで移動させます。乗務員配置係が時刻表を調べます。ところがボストンからワシントンへはあいにく直行便がありません。そこで本社はボストンからワシントンへの移動手段を検討します。ニューヨーク経由だと何とか3時間ほどで着けそうです。そこでまた座席が各便1席ずつ確保されます。ボストンまで飛んだクルーは再びデッドヘッドでニューヨーク経由でワシントンへと向かい、インディアナポリスまでお客さんを運びます。

この例でいうとそのリザーブクルーはデッドヘッド3便、担当便2便。もしインディアナポリスにそのまま宿泊して次の日デトロイトに戻るとなると、恐らくその便はデッドヘッド。直行便がないときは必然的にどこかを経由します。するとデッドヘッド2便。合計で見ると担当便2便でデッドヘッドが5便なんてことも。週末は便数も減るので本来直行便が出ている路線で2便を乗り継がないといけない場合もあります。お客さんとして乗る機会の方が必然的に増えてしまいます。

数ヶ月前までリザーブだった裕坊も、何度もデッドヘッドをこなしました。今日朝一はデッドヘッド。一旦アトランタに着いたら、ひたすらアトランタを行ったり来たりの4日間の始まりです。

 

裕坊