yuichibow’s blog

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 2/14

米国小型機航空会社、前方オフィス専門係、裕坊といいます。こんにちは。

 

裕坊が勤める小型機専門の航空会社の本社であるミネソタ州ミネアポリスへと火曜日からお出かけし、昨日木曜日に3日間の訓練を終えて、我が家のあるデトロイトまで帰ってきました。

先週ほどの大きさではなかったものの、寒気団が入り込んでいて、最低気温がマイナス16度を記録していたミネアポリス………

 

訓練が終わって、空港内へと入ってやれやれ………

3日目の昨日木曜日は、トレーニングセンターへの出勤時刻5時………

 

ホテルを出発するシャトルは、4時半発………

起きたの2時30分…………徹夜やん…………

それでも、3日目のフライト試験、無事合格…………

 

 

たまには、自分にご褒美でもせんといかん…………

 

 

というわけで…………

 

気になっていたミネアポリス国際空港のメインフードコートに位置するお寿司屋さんで、お寿司購入………中央部に大きく構えているので、探すのに苦労をすることはありません……

ポケ丼がとても気になっていたのですが、めちゃお腹も空いていたし、ポケ丼を作っているのを待つほどの余裕なし………

 

ということで、オーソドックスに普通のお寿司………

大きなサーモンが入った巻き物が4切れで、お値段9ドル………

 

どのような流通手段でお魚類を仕入れているのかは分かりませんが、ネタは新鮮です。ただ昼食、夜食でお腹を満たしたいなら2パックは必要かも………

 

飛行機の座席に座った途端、完全に夢の中へと入り込んでおりました……

 

デトロイトでも、ちょっと雪が降っとったんやね……

 

 

 

こちらが火曜日から木曜日まで3日間、1日当たり4時間を過ごしたシミュレーター。昨年までは2日間だった年次訓練。

昨年4月に新たな項目が加わることになり、1日増えてそれ以降は3日間に渡る訓練となっています。

 

ただ自宅で少しでも多く時間を過ごし、勤務先での時間は1分といえども減らしたいアメリカ人の意向に合わせて、スケジュールは超過密……

 

初日が、午後12時半から夜7時まで。

2日目が午前8時から午後3時過ぎまで。

そしてフライト試験となる3日目は…………

 

 

午前5時から午前11時まで………

 

ただ新しく加わった訓練項目自体は…………

 

 

受けてよかった、と素直に言い切れるものでした。

 

 

新しく加わった項目というのは、先日お亡くなりになってしまった野村克也さんの名言のうちの1つをお借りして表現すると、

『「失敗」と書いて、「せいちょう」と読む』

を、連邦航空局がまさに体現したもの。

 

具体的には、2つの航空事故の教訓を生かして、それを将来に渡る航空安全に繋げる、というものでした。

 

 

まず1つ目の事故とは、ナイアガラの滝に程近い、ニューヨーク州バッファロー空港近辺に於いて起きた、コンチネンタル3407便墜落事故。運航していたのは、現在は我が社エンデバー航空の一部にもなった、当時のコルガン航空。機体はターボプロップ旅客機、ダッシュ8−400型。

 

事故を起こした機体は滑走路へとアプローチ中。速度が極端に低下し、主翼上面では滑らかだったはずの気流が乱れ始めていて、失速に近づいていました。

正常な揚力(機体を空気中に浮かせるのに必要な力)を回復させるには、操縦桿を若干前へと押すことにより、機首下げを行なって、主翼上面の空気の流れを正常な状態に戻す必要があるのですが、

 

その便の機長は逆に、操縦桿を目一杯引いてしまい………

機首は大きく上へと向いてしまい、機体は完全失速。コントロールを失った機体は地上へと叩きつけられ、大破…………

 

乗客乗員の方49名に、地上にいた方1名の尊い命を失う惨事となりました………

パイロットとして覚えておかなくてはならないのが、たとえ滑走路に近い低空といえども、失速状態からの回復には、機首下げが必要だということ。

 

かつての年次飛行訓練、フライト試験では、失速状態、あるいはそれに近い状態に入った時、その状態のまま高度を落とさず保てなければ試験失格にすらなっていたのですが、却ってそれは失速からの回復を奨励せず、失速状態を助長するだけだった、と連邦航空局も過去の過ちを素直に認めています。少なくとも我が社の試験項目からは、失速状態での高度維持の条項は完全に消え去り、高度を落としてでも失速からの完全回復を訓練に盛り込むように、はっきりと指示するようになりました。

 

 

そして連邦航空局が、もう1つの教訓としたのが、エールフランス447便。

事故を起こした機体と同型機の、エアバス330−200型機。リオデジャネイロを出発して、パリへと向かう途中の大西洋上での巡航中に、コルガン3407便と同じく失速状態に陥り、パイロットがこれまた同じように操縦桿を引いてしまい…

 

大西洋上に墜落……

写真は、機体の破片の一部。

 

原因となったのは、実は洋上飛行中に発生していたある装置の氷結。

その装置とは、機体から前方に向かって飛び出ている、恐らく誰もが一度は耳にしたことがあるピトー管。これが氷結していたのです。

 

ピトー感とは、機体の前面が直接受けている空気の圧力を測定する装置。これに外気温であったり、外気圧などの要素を加味することによって、空気中での移動速度(対気速度と呼ばれます)を測定することができます。それに風の方角、速度を加味すると、地球上に対する移動速度も測定可能(対地速度)。これが氷結してしまうと、空気圧は当然測定できなくなります。

 

事故直前、飛行機はピトー管の凍結によって、計器上の速度が不安定になっていたのですが、残念なことにパイロットは機体が失速状態に近いことを把握できていませんでした。状態が把握できないままパイロットたちは、操縦桿(現在のエアバス機は、ほとんどが操縦席横にあるサイドスティックを採用しています)を引いてしまい、機体は完全に失速状態へと入ることに………

 

さらに悪いことには、ピトー管の氷結が一定の条件で起こると、上昇時に計器上の速度が速くなり、下降時には逆に計器上の速度が低下するといったことが起こります。この時も計器上では高度計が上昇を示し、それに合わせて本来なら下がるはずの速度計までが同時に上昇していたのです。最後まで機体の状態の把握ができなかったパイロットは、機体を失速から回復させることができないまま………エアバス機はそのまま大西洋へと墜落しました。

 

座学の上では理解できていても、現場に出た時にすぐそれが応用できるかとなると、それはまた別の話。その状態を的確に視認できるようになるためには、飛行訓練中による経験が航空安全への不可欠条件として、2013年11月に米国連邦航空局によって新たな訓練項目に加えたそうです。

 

ただシミュレーターのプログラムの書き加え、シミュレーターの負荷耐性の承認などに時間がかかり、実現には6年の歳月を要することになりました。

 

航空技術がこれだけ発展した現代でも起こり得るこれらの事象。航空安全の追求は、航空界には永遠の課題であることを痛感した3日間でした。

 

 

息子の剣道大会などが週末に入るため、休日返上などのフライトは入れず、月曜日までお休みをいただく予定です。

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/10

米国小型機専門航空会社、操縦担当、裕坊と申します。こんにちは。

先週は実質飛んだのが3日間だけだったにもかかわらず、中西部から東海岸を通っていた悪天候の影響にさらされ続けた4日間のフライト……

 

2日目の最終便などは目的地に到着できず、出発していた空港へと引き返すなどのとんだハプニングもありました……

悪天候は広範囲に影響していて、雨氷(英語でフリージングレインと呼ばれる現象)も降るなどの悪条件……雪なら対処できる豪雪地方の除雪隊といえども、雨氷となると対処しきれないことも………滑走路の状態を回復させることができず、その夜は裕坊のフライトが着陸を諦めた後、結局空港そのものが閉鎖されることになり、あとで調べたところ、翌日金曜日はデルタのみならず、他社の便も全便が欠航……

 

雨氷、おそるべしです………

 

気流も安定しなかった水曜日と木曜日……

巡航中の揺れもひどくて、客室乗務員もずっと着席させたままの状態……

 

最終日4日目となった土曜日はお天気は快晴………ところが、乗客の皆さまを乗せてやってくるはずの連絡バスが姿を見せず……

待ちぼうけ………

 

その間、国際線の大型機材が入ってくるのを、ずっと眺めることになるテイタラク……

とんだ4日間のフライトでした……

 

日曜日と月曜日は、ゆっくりとお休みをいただき……

月曜日は、息子くんの検診を済ませて……

 

明日火曜日からは、1年に一度課されるフライトトレーニングへと出発。本社のあるミネソタ州ミネアポリスに向けて、朝方出発の予定……

もちろん実機を使うことはなく、シミュレーターを使うことによって、実機では再現できない緊急事態の対処法などをおさらいします。

 

今年度から変わったことといえば……

ここ数年2日間だけだった年次飛行訓練が、3日間へと変わったこと……

 

毎年、連邦航空局による最低必須項目とされる内容は変わっていて、昨年途中から航空力学的学習要素を大いに盛り込むことになりました。

どんなに航空機の自動化が進もうとも、航空力学的に飛行原理そのものが変わることはありません。これは手動で飛んでいる場合でも、自動操縦で飛んでいる場合でも同じこと。

 

飛行機が飛ぶ元々の原理とは、主翼上面がなだらかな曲面を描いていて、その上面を空気が流れると主翼上の空気の流れがやや速くなり、その反作用として上面の気圧が下がって、主翼が引き上げられる(正確には吊り上げられるような感じ)というものなのですが……

主翼主翼の空気の流れの角度が一定を超える(一般的には、平均で16度)と、空気の流れが主翼上面で乱されてしまうという特徴も併せ持っています。

 

この一定の角度を超えた状態が、航空力学でいう失速(英語ではストール(stall)と呼ばれます)状態で、当然飛行に必要な揚力を得られず、飛行機を持ち上げることはできなくなりますから、当然高度も下がることに。

こんな時は機首をやや下げて、空気の流れの角度を変えて(角度を少なくする必要があります)失速状態からの回復をしないといけません。

 

離陸、着陸時は高度も低く、機首下げにはやや勇気がいりますし、高度1万メートルを超えるような高高度ですと空気が薄く、失速状態からの回復には敢えて意図的に高度を下げる必要もあります。

他にもいくつか学習要項はあるようですが、この部分にかなり重点が置かれているのが、今年度の訓練の特徴。

 

3日間の訓練、3日目はトレーニングセンターに午前5時のショーアップ………

頑張ってまいります……

 

 

ところで、野村克也さんがお亡くなりになってしまいましたね……

妻の沙知代さんがお亡くなりになってからというもの、かなり憔悴されてらっしゃった様子が、画像からもかなりヒシヒシと伝わってきておりました。車椅子に押されながらも、あちこちに顔出しはされていたようですが、孤独感がつきまとっていたようですね……ノムさんならではの野球感、いつ聞いていても納得させられるものがありました。もっとボヤキを聞きたかったです……

 

心からご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/8

アメリカの航空会社の小型機操縦室で、外が寒い中を暖房をしっかりと効かせてぬくぬくと過ごしている、裕坊と申します。こんにちは。

先週は水曜日から4日間のフライトへと出かけていた裕坊。例年に見ない暖冬で、フライトに遅延がほとんどないという珍しい冬を過ごしておりましたが、

 

今週になって本格的な冬の天候へと様変わり……

日本でも北日本を中心に大雪が降ったと聞きましたが、

 

それに歩調を合わせるかのように、木曜日は雪が雨氷があちこちで観測される大荒れの天気に見舞われる形になり、フライトにも大きく影響………

普段は冬でもなかなかお目にかかることがない、雨氷(英語ではフリージングレインと呼ばれる現象)にまで見舞われることになり……

 

木曜日の最終便では、目的地に到着できず、出発した空港へと引き返すことになりました。

本来はバーモント州バーリントンへと着くはずだったフライト……出発地だったニューヨーク・ケネディ空港には日付が変わった深夜2時の到着…

 

木曜日の夜から金曜日にかけて、さらにお天気が下り坂になっていたバーリントンには結局向かうことができず、そのまま欠航…… (ちなみに、金曜日はバーリントンは1日雪が降り続いて、バーリントン発着便は金曜日は全便欠航となっておりました……)

 

木曜日から2夜連続で、裕坊はニューヨークへと滞在……金曜日は元々担当便が入っておらず、ホテルの部屋でほぼ1日この状態………

 

お腹もそれなりには空いてきていたのですが……

泊まっていたのは、自腹で泊まることは未来永劫ない高級ホテル。

 

レストランにでも行って、ステーキでも食べようか、と値段を調べてみると……

ヒレステーキ、60ドル…………

 

1食くらいは、ガマン…………

カバンの中に、非常用にとサバの缶詰とお味噌汁の素とを入れておりましたので、

 

そちらで何とかお腹を満たして…………

 

翌日は早朝にショーアップして、ケネディ空港からシンシナティへのフライトが1本だけ……

 

大荒れの天気が過ぎ去ったニューヨーク地方。最終日となった土曜日は、朝から気持ちがいい快晴のお天気……

 

ニューヨーク・ケネディ空港では、デルタ航空とデルタコネクションによる運航便は、第2ターミナルと第4ターミナルを兼用……

こちらは第2ターミナル。どちらからでもチェックインは可能。ただデルタ航空を利用される場合は、チェックイン、セキュリティーとも第2ターミナルがとても空いているので、第2ターミナルの方が、普段はとても便利です。

 

今日土曜日はたまたま第4ターミナルのセキュリティーを通ってすぐのゲートからの出発でしたので、

朝焼けがターミナルの窓を通して見えるなかなかの景色の中を、第4ターミナルへとやってきました。

 

ターミナルに入っても、窓からこぼれる朝焼けがとてもきれい………

4日間のフライトの締めには、もってこいの縁起のいい朝…………

 

 

のはず………………………………

 

 

出発ゲートは、ゲートというより、駐機場へのシャトルバスが出る、地上階のバスのりば………

 

ケネディ空港で、出発ゲートがB18と表示されていた場合は、使用機材までは連絡バスでのご案内になりますので、

ゲートへはお早目にお越しいただくことをオススメします………

 

出発の準備を早めにしなくてはいけないので、客室乗務員が1人姿を見せたところで、2人でクルー送迎専用のワゴンに乗り込んで、飛行機へと向かいました……

 

途中、乗客の皆さん方を飛行機へとご案内する連絡バスの横を通って… ……

 

今日使用する機材へと到着……

 

雲一つない、快晴のお天気……

いい1日になる……………………………

 

 

はず…………………………

 

 

駐機場は、海外からの大型国際線機材との共用…

ちょうどすぐ横には、エジプトのエルアル航空のドリームライナー(ボーイング787型機)も止まっておりました。こんな写真が撮れるのも、兼用駐機場からの出発時の特典………

 

 

ところが……………………

 

 

乗客の皆さまを乗せたバスが、やってこない…………

 

プッシュバックをする係員たちも、姿を見せない…………

 

どうなっとるんやろ…………???

 

その間にも、次々に国際線の機材が、次々に出入りして行っておりました……

こちらは、南米チリとブラジルを中心に運航する、LATAMグループのボーイング787型機。

 

そして皆さんもよくご存知の、エミレーツ航空エアバス380型機。

エミレーツといえば、世界で唯一の総二階建て式旅客機、エアバス380型機を最大数保有している航空会社でございます。

 

こちらはLAN航空。現在では、LATAMグループの一部に。チリのサンティアゴに本社があります。

こんな機体がたくさん眺めることができるのも、ケネディ空港ならではの特典……

 

全日空ボーイング777型機の姿も。日本航空共々、東京から1日2便ずつが運航されているようです。

これらの飛行機が入れ替わり立ち替わり往来するのを見届けた上で、待ちに待った挙句、1時間遅れとなるご愛敬……

 

それでも無事、お客様をシンシナティまでお届けしました……

 

よく頑張った自分への、ささやかなご褒美……

 

デトロイトへと帰ってきたのは、午後3時ごろ……

 

雪が少し降っていたらしいのですが、

さすがはデトロイトの除雪隊………雪をほとんど残さないあたりは、さすが………

 

帰宅後の今日の裕坊…………

今週は、我ながらよく頑張った……

 

 

2日お休みをいただいて、年次研修へと出発。シミュレーターを使ったフライトトレーニングです。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/7

小型機で、普段から強風に木の葉のように揺すられる、裕坊と申します。こんにちは。

今週火曜日から4日間のフライトへと出かけていた裕坊。近年稀に見る暖冬はアメリカにも広がっておりましたが、今週後半に入って、久々にちょっと冬型のお天気……

 

デトロイト地方にも積雪の予報は出ておりましたが、除雪のプロが待ち構えるデトロイト付近では、数センチの雪などではビクともせず、

ほんのちょっとしか雪が積もらなかったデトロイト地方、休校はほとんどゼロ……(それでも北の方では、若干の休校が出てはおりましたが……)、

 

 

積雪の予報がある時には、休校情報のチェックに余念がない愛妻ちゃん。子どもを愛して止まず、幼稚園の子どもの面倒を見るのが普段から楽しみで仕方がない愛妻ちゃん、きっとホッとした様子で出かけて行っていたことでしょう………

 

 

片や裕坊、デトロイト地方を初めとする中西部では、水曜日の午後から少しずつ雪が降り始めて、まずはインディアナポリスを出発する時に、飛行機に積もった雪の除雪作業……

航空力学的に雪が主翼に積もった状態ですと、飛行に必要な揚力を得ることはできませんから、降雪がある時はほぼ例外なく離陸前に除雪の作業を行います。除氷液を積んだトラックがやってきて、ホースでそれを機体全体に振りかけて、氷や霜、雪などを全部払い落とす仕組み……

 

2日目の木曜日は、ニューヨーク・ケネディ空港から、

 

ナイアガラの滝に程近い、ニューヨーク州の西端に位置するバッファロー空港を往復…

ニューヨーク州バッファローは、五大湖のうちのエリー湖オンタリオ湖にすぐ南に面しているので、普段から湿度が高く降水量も他の都市に比べて多め……木曜日も若干の積雪……

 

ただ雪だとなんとか対処法があります。除雪のプロにかかれば、数十センチにもなるような豪雪でも、30分ほどであっという間に雪をかき分けてしまいます……

大型の除雪トラックが何台も連なって、雪を振り飛ばしていく様子を観察するのは、圧巻そのもの………

 

問題なのは、英語でフリージングレイン(Freezing Rain)と呼ばれる雨氷があるとき………………………

残念ながら、豪雪に対処する腕っぷしの持ち主といえども、雨氷というのは、実はとても厄介な大敵なのです……

 

この雨氷という現象、地表面よりやや上空の空気の温度が高い、逆転層(英語では、Temperature Inversionと呼ばれます)がある時に起こる特有の現象で…

本来雪の塊で雲から落ちてきた雪の結晶が、やや気温の高い空気層を通る際に、一旦溶けて液体の状態になるのですが、水滴の温度は十分に冷たい状態ですので、地表面に落ちるとあっという間に氷結してしまうのです。

 

寒冷地域で見られる樹氷が見られるのも、この時ならではの現象……

街路樹などについている樹氷を見るのは、とても芸術的で、それはそれはとても絵になるのですが………

 

路面がこうなると、もうどうにもなりません………

 

車に落ちた雨氷も、窓ガラスに張り付くとこの状態………

 

雨氷が降っている状態ですと、滑走路もすぐに氷で覆われてしまい、地表面が滑りやすくなって、ブレーキもほとんど効かなくなってしまいます。

過去にも、何度も滑走路踏み外しの事故の原因になりました……

 

現在では航空機向けには、連邦航空局の協力のもと、過去の事故の教訓から滑走路の路面の状態を測定することによって、ブレーキの効き具合を具体的に係数に換算するようになりました。

係数は7段階に分かれていて、数字が高いほど、ブレーキの効きがいい状態。6だと滑走路面は完全に乾いていて、着地後の減速に全く問題がない状態。0だと全くブレーキが効かない状態…

 

パイロットたちはその係数を基に安全に着陸が可能かどうかを計算します。滑走路を3分割し、着地からすぐの部分、滑走路のほぼ中央の部分、そして着地したのと反対側の部分をそれぞれ係数にて表示。路面が乾いている状態では、大抵(5/5/5)と表示。

雪が降っている時、滑走路を除雪車などで作業をしている時は、大抵(3/3/3)。

 

実は昨日木曜日の晩は、ケネディ空港からバーモント州バーリントンへの最終便を担当。昨夜は遅くから雨氷が降り始めていて……

実際には着陸していないので、どのような状態だったのか、正確には知ることはできませんでしたが………恐らくかなり滑りやすい状態になっていたことだけは、疑いの余地がなく…… 係数を探索してみると、(2/2/2)………

 

それでも着陸は不可能じゃない…………

ただ着陸滑走に使える距離ほぼ2,400メートル(滑走路の全長自体は、2,500メートル)に対して、必要となる滑走路の距離は2,300メートル。ですからあまりマージンはない状態………

そんな中、雲の中で外が全く見えない状態のまま滑走路へのアプローチを始めて、直接除雪作業をしている空港係員の方と直接無線連絡を取ってみると、

 

「今係数を測ってみたけど、1/2/2だったよ」。

 

ということは…………着地点のブレーキがほとんど効かない状態……………

改めて、操縦室のコンピューターで必要な滑走路の距離を計算してみると…………

 

2,800メートル………

 

着陸滑走に使える距離は、2,400メートル…………

 

やむを得ない決断でした……

着陸やり直しから、そのまま上昇。止むなくそのままケネディ空港へと引き返すことに………

 

深夜のケネディ空港到着……

予定外の引き返しでしたので、地上係員の到着にも時間がかかり……

 

到着は、深夜2時……

そのままバーリントン行き最終便は、欠航となってしまいました………

 

長い1日を終え、無言のシャトル内…

週の終わりに差し掛かっての悪天候を見越して、早めの帰宅便を予約していた乗客の方も多く、この時期にしては珍しくほぼ満席の便でしたので、申し訳ない気持ちでいっぱい……

 

ホテル到着は、ほぼ午前3時でした……

 

 

金曜日は担当便はなく、ニューヨークにそのまま2泊滞在。明日土曜日は1便だけを担当して、帰宅です。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/4

国際線大型旅客機の間を、チョロQのように駆け回る、小型機の専門運転手、裕坊と申します。こんにちは。

先日日曜日に出発していた2日間のフライトを終え、昨夜我が家へと帰ってきました。4連休のうちの2日を返上してのフライトでしたので、お休みは火曜日1日だけで、水曜日からはまたも次の4日間のフライト。フルタイムでありながら、時給制の米国のパイロット業界。1時間当たりのお給料で比較すると、大手航空会社の国際線大型旅客機に乗るパイロットに比べると、時給は半分以下なので、これくらいは頑張らないといけません……

 

月曜日のフライトは、ひたすらニューヨークのラガーディア空港を行ったり来たり……冬の真っ只中になると、小売店もやや売りが落ち着くのと同様、飛行機に乗ってこられるお客さんの数も少し落ち着いて、搭乗率はこの時期は平均で6割ほど。それに合わせるように各航空会社の定期便も便数が減るので、ターミナルの建て替え工事などを進めるにはもってこい……月曜日は、その建て替え工事の次の段階を観察できる1日となりました。

 

こちらは工事第1期の様子。ラガーディア空港の南東の端に位置する、小型機専用のターミナルの新築工事……

 

昨年11月に完成し、 アメリカの感謝祭の休日に間に合わせるかのように、落成式も行われました。

上の写真は、その新しいターミナルをコックピットから撮影した写真……

 

2020年2月現在のアクセスは、Dターミナルからで、渡り廊下を歩いて徒歩で約3分ほど……

その渡り廊下をずっと歩いていくと……

 

デルタ航空の大きなロゴが、新ターミナルの入口で、お出迎え……

 

レストランも充実……

 

待合エリアには、十分な数の椅子もあり、

開放感に溢れて、ゆったりと出発を待つことができます。

 

大きな窓越しには、ニューヨーク・メッツが本拠地としているシティー・フィールドも見えますが……

残念ながら、無料で野球観戦をするのには、ちと遠すぎ…………望遠鏡でもあれば観戦も可能かも知れませんが………

 

野球観戦をするのであれば、チケットを購入して、直接球場まで行った方がよさそうです…

 

まだまだ建て替え工事が続く、ニューヨーク・ラガーディア空港。

病欠をしてしばらくご無沙汰していたこともあり、ラガーディア空港へとやってくるのは、ほぼ2ヶ月ぶりとなりました。

 

第2期工事で進められるのは、Cコンコースの番号が小さい側。Cコンコースの出発ゲートC15からC42のうち、まずはC15からC24のあるCコンコース南側が、建て替えの対象になるらしいです。

 

そのうち2月にまず閉鎖されるのは、C15からC18まで。

既にボーディングブリッジが外され、出発案内用のモニターなども外され、機能が完全に閉鎖になってしまったゲートC17付近。

 

あちこちに工事用の壁が立てかけられ、建物の取り壊しの準備も始まっておりました……

 

この辺りは、かつては売店があった場所……

時期的に航空会社を利用する人が少ないことも手伝って、とてもニューヨークとは思えないほどにひっそり………

 

そのかわりに、昨年末にかけて一時完全に閉鎖になっていた、地上階の出発ゲートが一時的に復活……

昨年まで、この地上階からは、出発機までの連絡バスが出ておりました。

 

工事の期間中、再び利用することに… 2月3日現在は、2機分の駐機スポットが設置されています。

ここからの発着は、例外なくCRJシリーズのリージョナルジェット機。CRJシリーズですと、搭乗用のタラップの据え付けが必要ないので、こんな時はとても便利なのです。

 

かつての連絡バスのりばには、緑色の新しい壁が設置されていて、

 

その間を抜けていくと……

 

ちょっと殺風景………

これが3月末までには、5機分設置されるらしいです。

 

1番奥の駐機場まで歩くとなると、けっこう距離がありますので、地上階出発ゲート(C12かC13と表示されます)からの出発便にご搭乗の場合は、

ちょっと早めに出発ゲートへと、向かっておいた方がいいかも知れません……

 

裕坊が火曜日に担当した便は、この駐機スポットBからの出発……

 

ちょうど入ってきたばかりのようでした…

 

久しぶりに、飛行機備え付けの階段で昇り降り……

 

階段をのぼって、今来たばかりの通路を振り返った光景……

 

これから約2年ほど、第2期工事が一通り落ち着くまでは、この景色をしばらく目にすることになりそうです……

 

そして月曜日の担当便は、こちらニューヨーク・ラガーディア空港から、バージニア州ノーフォークまで。

到着した時の気温、20度でした……

 

なんだか春の陽気………………

 

ただまだ2月には入ったばかりですので、まだまだ注意が必要です……日本にも寒波の予報、アメリカもテキサスから中西部、さらに東海岸にかけての広い範囲で、これから冬型の天気が訪れるようですので、注意をしていた方がいいようです………

 

 

昨夜帰宅して、今日は1日の束の間のお休みでしたが、愛妻ちゃんの検診に付き添い……

ちょっと気になることがあったようでしたので、検診を受けて確かめてみたところ、

 

結果は、陰性…………

 

安心して家路に着くの図………

 

明日から、次の4日間のフライトへ出発です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/2

米国小型機専門航空会社の、車窓ならぬ機窓眺め係、裕坊と申します。

昨日1日のお休みをいただいて、休日返上の2日間のフライトを入れていた裕坊。正直言うと、今日は1日家族とともに少しゆっくりしたかったのですが、大手航空会社の下請けの操縦係ともなると、世間一般の方が抱くようなお給料とは程遠い世界に住んでおりますので、チャンスがある時は、休日返上をしてでもお給料を稼がないといけません。 こんな時、外の天気がいいと出勤もラクですので、本当に助かります。今年はアメリカの中西部も、明らかな暖冬。

 

家を出発する時から、この快晴……

ちなみに、今日日曜日のデトロイト地方の最高気温は、7度だったそうです。マイナス7度でも珍しくないこの季節に、プラス7度で、しかもポカポカ陽気……

 

まずは客席に乗ってのシンシナティへの移動…

風がかなり強く、降下の際は、ちょっと揺すられました……

 

ちなみに、今日のシンシナティ地方の最高気温…………………

 

 

13度……………………

あったかいね〜〜……………

思わず、元祖天才バカボンのテーマソングが、頭をよぎってしまった…………

 

 

ラーメン三昧の日が続いておりましたので、お昼にはちょっと「改心」して、お野菜をいただき……

 

担当便は今日は1つだけ……

 

やってきたのは、ノースカロライナ州の州都、ローリー。

外の気温、17度でございます。もう春の陽気やん………

 

一時的なものでしょうが、それでも暖かい……

 

日が落ちかけている時に、ホテルに到着。

 

そして今日は、普段はホテルの部屋ではほとんどつけることがない、テレビの電源を入れております…

 

今日はNFLの事実上の決勝戦スーパーボウル

今年はサンフランシスコ・フォーティーナイナーズカンザスシティ・チーフスによる対戦…

 

ただメジャーリーグのように、各チームの本拠地に合わせて開催地が決まるのに対し、既に前々から開催競技場は決まっていて、今年はマイアミにての開催。野球のワールドシリーズ日本シリーズであれば出場チームの本拠地で行われるのに対して、1試合しか開催されないフットボールならではの措置。本拠地開催によるアドバンテージを、各出場チームに取らせない、なかなかの配慮ですね。

 

ローリーですら、セーターを着てるとうっすら汗をかくほどの陽気でしたので、マイアミだと暑いやろな………

 

1年を通しても、アメリカのスポーツイベントの最上位に位置づけされるスーパーボウル、イベントは試合前からひっきりなし。テレビにもかなり力が入っていて、毎年コマーシャルのスポンサーになる企業も、CMにはかなり熱を入れています。広告費も、想像を超える天文学的に数字になるそうな……

 

ハーフタイムショーも、かなりの熱の入れよう……

毎年大物歌手を招いてのハーフタームショー。

 

今年は、ジェニファー・ロペスが出演しておりました。

アメリカの人気ナンバーワンスポーツといえば、紛れもなくアメリカンフットボール。大学のフットボールにですら、皆没頭してしまうほどの大人気。裕坊はアメフトはプレーしたことはもちろんありませんし、テレビでもたまに見る程度。

 

戦術のことや、細かい反則のことまでは分かりませんが、基本的には理解しやすいスポーツ。ほんのちょっとでもルールを知っていれば、観戦していて楽しめるスポーツです。

 

しかも実は、このアメフト用のボールというのが、ビックリするくらい手に馴染みやすく、とても投げやすい……

現在の会社に入社した当時の研修中、ホテルのルームメイトだったロサンゼルス出身の同期入社が持参していて、お休みの時に時々キャッチボール如きをやっておりました。

 

ラグビーボールと、ほとんど見た目には同じですが…

 

実際にはラグビーボールよりやや小さく、

しかも縫い目がラグビーボールよりしっかりできているので、手に馴染みやすく、ちょっとコツさえ掴めば、野球などの経験があれば、かなりの距離を投げられます。

 

クォーターバックが、何10ヤードにも及ぶタッチダウンパスを通すのも、アメフトならでは……

ボールが使える広場で、フットボールを投げるのは、休日のいい運動になるかも知れません。

 

それに対してラグビーのボールは、その競技の性質から、キックに適しているんだそうです。雑学にはなってしまいますが、ラグビーには前には投げてはいけないというルールがあり、前に投げると「スローフォワード(Throw Forward)」という反則を取られるらしいです。ラグビーの選手が、ほぼ横一列に並んで、次々に横で待ち構えている味方選手に、やや後ろに体を反らすようにパスを繋げているシーンを見かけますが、あれは正確には若干後ろ方向に投げて、反則を防いでるんだとか。

あの横一線に見えるパスって、そういうことやったんやね……

 

 

明日は早朝から3本のフライトを担当して、一旦帰宅の予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 2/1

アメリカ国内線小型機担当、裕坊と申します。こんにちは。

昨日金曜日に4日間のフライトを終えて、本来であれば4日間の休日へと入るはずだった裕坊。今年の冬はミシガン州でも平均気温を遥かに上回り、今日土曜日も1日気温は氷点下になることなく、ずっとプラスで一桁台………もちろん、半袖で外を闊歩するようなことはできませんが、手袋や毛糸の帽子がなくても、なんとかなってしまう暖かさ………

 

いつもの年であれば、冬の時期は休日返上でフライトを入れることはあまりしないのですが、今年は例年になく雪も少なく、裕坊が乗るような古い前輪駆動のセダンでも、普通に走れてしまうので、通勤に怖い思いをすることもなく……… ちょっと調子に乗って、日曜日と月曜日とフライトを入れてしまいました…

 

そして本日土曜日は、美味しいラーメン屋さんを見つけたというお友だち家族に誘われて、お昼前からお出かけ………

 

デトロイトからやや北へと行くと、デトロイト動物園があります。

大抵の動物なら揃っていて、広々とした敷地で悠々自適に暮らしている動物たちがいっぱい……息子が小さいときには、何度も訪れておりました。ライオンさんが、ほぼ1日じゅう寝ている様子なども、しっかりと観察できます………

 

オスライオンなどは、1日20時間ほど寝ているのだそうな…………

家でお休みしてる時の、裕坊みたいやな……………ライオンさん、一緒に体動かしますか…………

 

ロイヤルオークという町にあるデトロイト動物園から、車でほんの数分北へと行くと、小さなダウンタウンがあり、

 

その一角にあります。カイゼンラーメン。

 

お店の中の雰囲気は、こちらアメリカによくある、ちょっと暗めの照明の演出。

 

おつまみの定番、鳥の唐揚げ……

タレが裕坊好みでした。

 

裕坊は、ここ最近アメリカでラーメン食べるならコレ、と刷り込まれているせいか……

最近は、超がつく醤油派…………………

 

 

超当たり………………………

 

 

ちなみに、愛妻ちゃんはこちら豚骨ラーメン。こちらも当たりだったようです。

スープを飲み比べてみましたが、やっぱり醤油が美味しい………

 

ちなみに、裕坊たちが着席してから30分ほどして、顔見知りの日本人グループが入ってきたのですが、その方達にも、裕坊は醤油イチオシ………

最近、ミシガン州でも増えてきたラーメン屋さん。ここカイゼンラーメンもかなりイケます。ラーメンの認知度が上がってきたのが嬉しい……

 

せっかくここまで来たからには、とそこから10分ほど西へと走って、やってきてしまったのが……

韓国系のレストラン。ニューソウル・プラザ。

 

焼肉レストランに、通常の韓国系レストランに、カフェと3つのお店が入っていて、

今日立ち寄ったのが、こちらのカフェ。

 

お目当てはカキ氷。ベリーベリーというこちらのカキ氷。ベリー系のフルーツがたっぷり。こちらもイケます。

エネルギー補給、完了……………

 

 

そして今日向かったのは、日本人向け週1日の補修校校舎にて行われる、

道道場……

 

 

といっても、裕坊自身が剣道をやっているわけでは全くなく……

やっているのは、息子くん……

 

 

2週間後の2月16日に、剣道デトロイト大会が開催されるに当たって、練習も熱を帯び、記録係、時計係など様々なボランティアも、この場を通してリハーサル。実践の試合形式による練習を通して、ボランティアも試合の流れなどを掴みます。

日本人だけでなく、地元のアメリカ人の方なども練習に参加されていて、剣道の「礼に始まり、礼に終わる」精神を通じて、日本の敬いの文化が継承されて行くのを見るのは、心から歓迎したいと思う一方で………

 

掛かり稽古で、少年が床に叩きつけられるシーンを目の当たりにすることもあったり…………

同じ少年が、体育館の壁に叩きつけられるシーンなどを見せつけられたり………ちょっと複雑な眼差しで、ボランティアの皆さん方も、ただただ茫然と見守っておりました。

 

 

この練習に、敬いの精神って、あったんやろか???

相手を敬うって、大人だけが対象なん???

子供1人相手といえども、敬いの心を見せるのが、剣道の師匠たるべき姿なんと違うの??

 

 

東南アジア出身のお母様から、これが剣道の精神なのか、と不安な眼差しで質問までされる始末………

もちろん、キッパリと否定しておきました。

 

あの練習スタイル、昭和の頃なら当たり前に見られた光景だったかも知れませんが………

ちょっと違和感ありありです…………

少なくとも、素手で子供を床に叩きつけるのだけは、やめてほしい。それ自体が、剣道では反則行為やん…………

異国の地で、これが剣道の敬いの精神だとは、金輪際思われたくないです。

 

 

 

明日から2日間、フライトに出かけてまいります。