アメリカ南部に本社を置く航空会社に勤務する、裕坊といいます。
3日勤務を終えて帰宅、1日の束の間のお休みをいただいています。
こちらの写真は、3日目最終日、デトロイトに帰ってきた時の空港内。
既に11時を回っていて、出発便は一部を除いて全て出発済み…それでもなぜか賑わいを見せているマクナマラターミナル…
当日はシカゴ・オヘア空港から3便を担当でした。
出勤時の様子。
シカゴではダウンダウンのホテルに滞在しているので、送迎シャトルには空港出勤時刻の1時間前に乗っています。
渋滞さえなければスイスイで、空港までに要する時間は20分。
渋滞に引っ掛かると、1時間…
昨年11月にデルタ航空は、中央ターミナルから国際線ターミナルへと発着ターミナルが移転しました。
保安検査場を通ると、国際線主体の旅客ターミナルらしく、免税店の横を通ります。
最後に残っていた敷地に半ば無理やり建設したターミナルということで、縦長に建設せざるを得なかったMコンコース…
ターミナルの周りを一周する航空機用の誘導路と、ターミナル間を結ぶ鉄道の間に建設されているので、電車が窓のすぐ横を通り過ぎて行きます。
駐機場の敷地も極端なまでに狭く、飛行機を押し下げるとすぐ横には航空機用の誘導路があり、主翼先端を気にしないといけない立地。
そんな中をほぼ定刻に出発し、
一旦デトロイトを経由して次に向かったのが、
ハドソン川を挟んでニューヨークのすぐ西、ニュージャージー州にあるニューアーク空港。
お天気が下り坂だったとあって、1時間半遅延での到着でした…
ニューアークから各地に向かう便も、機材の到着遅れで大幅遅延…
開港当時のターミナルがそのまま残るBターミナル内。
既に午後9時を回っていたのですが、出発便待ちの乗客の皆さんで、ごった返しておりました。
この時の日付は1月12日(木)。
その前日の1月11日(水)の朝、日本でもニュースになったアメリカの航空業界の話題といえば…
航空管制による航空安全情報(NOTAM(Notice to Airmen))の発信障害が原因になって起こった、航空機離陸停止措置…
安全情報発信障害は2時間ほど続き、早朝便を中心に欠航が出て、午後にまで影響が続くことになりました。
デトロイト空港でも早朝2便のアトランタ行きが10時まで出発できず、しばらく足止めになったらしいです。
この影響で全米で1,343便が欠航、10,103便が遅延する事態になりました。
昨年末のクリスマス休暇時には、吹雪が原因で各社遅延が相次ぎ、
中でもサウスウェスト航空に至っては、ほぼ1週間で16,000便もの欠航便を出し、
米国運輸局長官ピート・ブティジェッジ氏が、サウスウェスト航空の運航管理体制の監査を始める、とまで言い始める始末…
ところが、今度は自らが指揮する組織の手違いが災いして、国全体の航空管制業務に支障を来たす事態に発展し…
自らが批判に晒されることに……
ただこのブティジェッジ氏、2021年2月にバイデン大統領によって運輸長官に正式に任命されてから、連邦航空局が管轄する安全に関する情報の刷新に尽力してきた人物でもあります。
その努力が結実するか、ブティジェッジ氏の腕前やいかに……
ところで、そもそも航空安全情報、NOTAM(Notice to Airmen)ってなんぞや?
これは定期的に発行される空港情報、空域情報を補完する情報のことで、定期発行の情報と同じく連邦航空局が管轄します。
定期発行で発信される情報は2週間おき、もしくは4週間おき。
例えば上の図は、定期的に発行されるデトロイト空港の案内図。滑走路や誘導路、旅客ターミナルの位置までが掲載されていて、こちらは4週間おきの発行になります。
NOTAMは、滑走路や誘導路などが閉鎖された時に、案内図を補完する目的で発行されます。書式はほぼ例外なく文面式…
どうやら職員の1人が情報を管理するコンピューターの立ち上げの手順を間違ってしまって、システム障害に陥り、航空機の運航に大きな支障を来たしてしまった、ということでした。
コンピューターが古く情報許容量が限界に近づいていた、ということだったようですが、
パイロットの立場で言わせてもらえるなら、告知方式そのものも改善して欲しい、という本音を抱えています。
文面のみでの告知になり、しかも通常の運航には全く支障がない情報までが溢れかえるので、ニューヨークやシカゴの大規模な空港での発着便にもなると、出発前の書類も膨大なもの…
情報そのものが大切だとは分かっていても、量があまりにも多すぎると見逃してしまう…
ブティジェッジ氏はこの仕組みも改善したい、とのことですので、ちょっと期待しています。
束の間の1日のお休みもそろそろ終わり。次の3日勤務へ出勤です。