yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 10/20

アメリカの地方路線を中心に、小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

今日火曜日は、2日間のお休みをいただいたあとの、5日間に渡るフライトの初日でした。

 

10月18日(日)には、全米の各旅客空港の保安検査場を通過した人の数の合計が、コロナ禍の後としては、初めて100万人に到達(103万1,505名)。昨年の同じ曜日は260万人ほどでしたので、対昨年比でおよそ4割。アメリカの国内線に限ってみると、まずまずの戻りといえます。ただコロナウィルスの感染も再拡大していますので、医療施設の病床数の空き具合によっては、またも一部で経済封鎖などもあるかも知れません…綱引きがしばらくは続くことになるでしょう……

 

フライトは日帰りで、午前10時ごろに裕坊が拠点としているデトロイトを出発して、コネチカット州ハートフォード往復便を担当でした。

 

出発ゲートは、マクナマラ・ターミナルのほぼ北端に位置するA67から。

 

火曜日は元々平常時でも乗客の方の数がかなり落ち着くので、ターミナルの端の方まで歩いていくと、さすがに今日はガラガラ…

ちなみに、デトロイト空港内を走る電車は、今も運休したままになっています。階上に赤い車体の電車が、止まったになったままになっているのが見えます。

 

今朝の出発ゲート。

 

ボストンからもほど近い、コネチカット州ハートフォード空港までやってきて…

消毒作業を済ませた上で、1時間ほどで折り返し、

 

そこで目にしたものといえば、

アマゾン・エアのボーイング737型機。尾翼のロゴのマークは、アマゾン社のもの。かつてはアマゾン社の貨物用航空機には、プライム・エアという名前が使われていましたので、その名残で機体には今も「Prime Air」と入っています。ただ「プライム・エア」の商標は、宅配に使われるドローン用のサービス部門で使われることになり、貨物機航空部門は「アマゾン・エア」と変更になりました。

 

火曜日に、ハートフォード空港で見かけていたのは、契約委託先のサンカントリー航空(本社:ミネソタ州ミネアポリス)。

アマゾン社は、2020年10月現在5社との委託契約があり、サンカントリー航空との契約はすべてボーイング737型機で、10機分の契約になっています。

 

サンカントリー航空自体は、旅客型ボーイング737型機を保有する格安航空会社。

旅客型は31機だけを保有し、本社があるミネアポリスを中心に各リゾート地へ運航する小規模の航空会社で、アメリカ人でも航空業界に勤めている人を除くとあまり馴染みがなく、就航都市もかなり絞られています。

 

かつては3つのエンジンを擁したダグラスDC−10型機も保有していましたが、現在では保有機材は全てボーイング737型機に統一されました。

 

旅客型の機体は、サウスウエスト航空を思い起こさせるような、鮮やかな濃紺の塗装になっているのが特徴。

ちなみにミネアポリス空港では、デルタ航空の発着がある第1ターミナルではなく、サウスウエスト航空も運用している第2ターミナルビルからの発着になっています。

 

 

そのミネアポリス……

 

 

今日火曜日は実は雪が降ったらしいです……

どうやら積雪が予報以上になったらしく、一時は滑走路が除雪のために閉鎖にまでなる事態……

 

こちらは実際の積雪の情報……

ミネアポリス国際空港では、積雪が7.4インチ、ほぼ20センチ近い積雪だったそうな……

 

実際にこんな感じになっていたらしいです…

 

ちなみに飛行機は、機体の移動には地上にいる時でもエンジンからの推力を使うので、10センチくらいの積雪であれば理論上はエンジン出力を上げれば動くことは可能…

ただ滑走路に積雪があると制動性が極端に悪くなりますし、方向性も安定しなくなるので、滑走路だけは数センチの積雪といえども、除雪隊が出動して雪かきをしてくれます。

 

アメリカの空港は、定期便の就航がある空港ですと、滑走路に刻み線が入っていて水捌けが良くなるので、降雨時にはそれがすごく役に立つのですが……雪の時はそれもすっぽりと覆われてしまうので、除雪が必要……

地方空港だと離着陸便の合間を縫って、主要空港だと積雪の速さに応じて時々滑走路を閉鎖しながら、除雪隊が出動してくれます。

 

着陸後の減速は、まずは逆噴射装置で一定の速度にまで落とすところから始めます。ただ時速100キロ以下になると、タイヤのグリップとブレーキが頼り。この原理は車と全く同じ…

滑走路に積雪がある時などは、着陸に必要な滑走距離と実際の滑走路の長さを比較して、着陸が可能かどうかを運航課とともに判断。もし滑走路が滑りやすい状態だと、長い滑走路を持つ他の空港へと行き先を変えることもしばしば……

 

着陸後に滑走路上で減速しきれないまま、滑走路を逸脱する事故も過去には起きています。

こちらは2005年12月の、サウスウエスト航空によるシカゴ・ミッドウェイ空港で起きた滑走路逸脱事故……

 

我がエンデバー航空でも、トロント・ピアソン国際空港で誘導路踏み外しということがありました……

実は裕坊自身も、これまで冬の滑走路、誘導路で何度か危ない思いを経験しているので、これらの事故も全然他人事ではないです。

 

 

さらに冬の風物詩といえば…

除雪車に加えて、

 

こんなトラックなども……航空機の除雪、除氷をしてくれるトラックで、グリコールを主成分とする融氷剤などを機体にかけてくれます。

航空機の場合、緻密な航空力学的な計算とデザインによって主翼はできているので、雪や氷などの類が付着したままだと、計算上必要な揚力を得られなくなってしまうので、

 

なので雪や氷などが付着している場合は、離陸前にそれをまずは除去してから出発。

町の雪かきなどとともに、航空業界の冬の風物詩。

 

寒の入りがちょっと例年より早く感じられる2020年の冬。

今年は冬がちょっと長くなるかも知れません……

 

 

明日水曜日は、夕方ゆっくりの出勤です。

 

 

 

 

 

 

 

10月20日の担当便

デルタ4636便(EDV 4636)デトロイト(DTW) ー ハートフォード(BDL)

デルタ4636便(EDV 4636)ハートフォード(BDL) ー デトロイト(DTW)