yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 9/26

アメリカの地域航空会社で小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

2日間のお休みをいただいて、明日日曜日から次のフライトが始まります。まずは4日間のフライトをこなして一旦水曜日に帰宅。木曜日に日帰りで4本の旅客便をこなして金曜日に1日のお休みをいただき、またその次の土曜日から4日間のフライト。

 

これから10日間のうちに9日分のフライトをこなすという、怒涛のスケジュールになりました…

ありとあらゆる業界でリストラの嵐が吹き荒れ、ここかしこで会社が大規模な赤字を計上し、従業員の強制的解雇に無給休暇といったニュースが流れるご時世の中でいただけるお仕事。本当にありがたい限りです。

 

中国の武漢で端を発したコロナウィルスの、アメリカにおける本格的な感染が記録され始めたのは3月中旬。ほぼ昨年並みに推移していた航空旅客数にも影響が大きく現れ始め、3月17日(火)には総旅客数が100万人を割り込み(95万3千人、ちなみに前年の同じ週の同じ曜日では217万人を超えていました)、4月に入ると5桁を記録する日も出たり………

 

ちなみに最少となったのは、4月14日(火)の87,500名。前年の220万人と比べると98%の旅客数減という、かつてない規模の需要の『蒸発』が起こっておりました。

軒並み欠航便が続出し…

 

空港からは人の姿が消え…

 

見かける人といえば、IDをぶら下げた従業員だけというありさま……

 

各航空会社とも、半数以上にもわたる保有機を保存状態へと置くことに……

 

多くの州で外出制限が課される中、外出の自由を求めてデモ行進が起こり、州議事堂を占拠する一件までありました。

 

マスクの着用を巡っては、『マスクをしない権利と自由』の議論が席巻し、

 

フロリダ州では、マスクの着用を巡って公聴会までが開催され、中には「マスクをしない自由」を延々と述べる人まで……

 

お店への入店時のマスク着用が義務化されたあとも、トラブルは絶えず……

こちらは、コストコでの入店拒否を巡ってのソーシャルネットワーク上での大論争……

 

スタバでも同様のことが起き、コーヒーの提供を拒否された腹いせに、バリスタの写真を自身のインスタグラムに上げた女性がおりました。

女性のアカウントは大炎上。本人は慌てて謝罪文を書いた上で、アカウントはその後削除される事態にまで発展しました。

 

トランプ大統領が、保守層の『マスクをしない者』の旗振り役を長らく務めてきたのですが、

 

最後には病院訪問の際に、自らマスクを着用する姿を披露。その後はマスクの着用を勧めるようにもなって、アメリカではマスク着用はかなり浸透してきています。

 

現在ではアメリカの旅客航空会社は、ほぼ例外なく搭乗の際のマスク着用を義務化していて、航空券購入の際、また搭乗手続きの際にも、マスク着用への同意が必要になりました。

空港内でも、マスク着用率は飛躍的に上がっています。

 

航空需要に着目すると、6月ごろから客足が戻り始めて、今は前年比およそ3割台で推移。全米の実質の夏休み最後の日となった9月7日(月)では、昨年比およそ4割となる93万5千人が航空機を利用。ちなみに昨日9月25日(金)の航空機利用者数は82万6千名。前年の同じ週の金曜日が254万7千名でしたので、昨年比でおよそ3割でした。

 

ただ、今現在に至っても、需要のほとんどは裕坊が見る限り個人利用が大半。中にはスーツ姿やポロシャツ姿の方も見かけますが、リモートワークが世界的に浸透しつつある現在、ビジネス利用が急激に回復するとは想像しにくいので、航空会社を含めた旅行業界全体で需要の喚起、あるいは旅行業界内での業務提携(ホテルやレンタカー会社と航空会社の業務提携、統合など)を考えていく必要がある、と裕坊は考えています。

 

 

8月に入って、やっと下降線を辿りつつあったアメリカにおけるコロナウィルス感染拡大……やれやれと思ったのも束の間、サウスダコタ州ノースダコタ州などで急激に拡大しているらしいのですが、おそらく、というより間違いなく原因はこれやろな……

 

8月中旬にサウスダコタ州のスタージスで開催されていた世界最大のバイク祭り。

 

スタージスという町は、普段は人口7,000人という、とてものどかな田舎町なのですが、

 

毎年夏になると1週間だけ、全く別の町へと豹変してしまいます……

集まってくるのは、ほとんどがハーレー・ダビッドソンの持ち主たち。1週間で約50万人もの人が訪れるという、それはそれは大規模なバイクの祭典。ハーレーに乗る人であればこの祭典を知らない者はおりません。

 

中にはマスクを着用する人もいたらしいのですが、

あくまでごく少数派……

 

筋骨隆々に体を鍛え上げて、タトゥー入りのゴツい腕を袖なし革ジャンに通し、頭にはバンダナを巻くというのがハーレーオーナーの掟。

 

世界一の腕っぷしの強さを自認し、全く怖いもの知らずの彼らの頭に、マスクをするなどという考えがあるはずもなく、

『コロナだろうが何だろうが、かかるものならかかってこい』が彼らの流儀……

 

4人かかればトラックの1台くらいは軽々持ち上げられる彼らなら、「時速320キロで走ってくる16両編成の新幹線止める自信ある?」と聞いても、「それくらい朝飯前さ」という回答が返ってくるでしょう。コロナウィルスなど、ハーレーオーナーにとっては、恐るるに足らず……

 

本当に壮大な社会実験をやってくれました……

今年はコロナウィルスの影響で、参加者は例年の約半分の25万人が見込まれていたのですが……

 

蓋を開けてみると、結局ほぼ例年と同じ水準の、46万人が参加……

 

感染が多いとされるレストランでも、間隔を保つなどという考えはなく…

 

例年とほぼ同じく、ライブミュージックなども開催され……

3密を避けるなどという考えなどは、微塵もなし……

 

その結果………

このイベントに参加していた人の中から、感染が発覚した人の数……

 

 

26万人に及んだそうです………

 

 

やっぱりアメリカはアメリカでございました………

 

 

明日は午後ゆっくりの出勤です。