yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/29

米国リージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

1週間のお休みを終えて、4日間へのフライトへと出発しました。コロナウィルス渦の影響を各航空会社とも多大に受けていて、旅客便は大幅減。元々は10便を担当する予定だったのですが、全便欠航になり、他の便が1つだけ割り当てられて、結局担当便は1便だけになりました…… 1日目も2日目も、客席の乗っての移動が入るだけ……

 

乗務員管理課もあまりの欠航便の多さに、乗務員1人1人のスケジュールの詳細などを確認する余裕などはなかったのでしょう……

こちらが、航空会社の乗務員スケジュール管理。自動化が少し加えられて、人手の数も裕坊が入社の頃に比べると、3割ほど減っています。常時スケジュールを管理しているのは、我が社の場合、合計で6名。客室乗務員のスケジュール管理に3人、パイロット用に3人。この6名体制で2,000名の客室乗務員、2,000名のパイロットのスケジュールを管理します。想像しただけでも膨大な量……ただ月間のスケジュールの各乗務員への割り当てなどは、他の課が担当するので、平常時ですとそこまで忙しくはありません。

 

ただ悪天候などが発生した場合などは、急なスケジュール変更の対応に追われます……例えばニューヨークなどで悪天候が発生した場合など……航空管制側の調整によって出発遅延が3時間や4時間にも及ぶこともあり、そんな時は会社が航空管制と相談した上で、出発便数を調整。それによって欠航便が発生したりすることがあります。

そんな時は非常時の宣言を社内で発令して、各乗務員のスケジュールを全て手作業にて変更。残念ながら、未だにスケジュールの変更作業には、自動化は採用されていません……1日で最大200便前後の欠航による調整を余儀なくされることも稀ではなく、そんな時は数時間単位の作業。ただ変更になったスケジュールの通知は、アプリを通して自動的に送信されるようになりましたので、担当者の電話連絡の手間が省けるようになり、通知までの時間は以前と比べると、大幅に短縮しました。

 

こちらがそのアプリの初期画面……

ELPは、このアプリを開発した会社ELPアビエーションという会社の名前。カンザス州のコンウェイスプリングスに本社があります。

 

ログインしてみると、 こんな画面が出てきて、

1ヶ月の概略のスケジュールの閲覧が可能。これは裕坊の実際の5月のスケジュール。前回のフライトが5月20日に終わっていて、今日29日より4日間の勤務。ちなみに来月が薄緑の線になっているのは、来月がスタンバイシフトのためで、6月2日(火)から6月17日(水)まで、連続でスタンバイが入っています。

 

今日のスケジュールを開けてみると、

今日は3つある線のうちの真ん中だけが実務でした。デトロイトからミネアポリスまでのデッドヘッド。客席に乗っての移動です。便名は859便……線の下にFとあり、デッドヘッドの場合、我が社では便宣上Fの記号を使っています。 その上下のラインには両方とも本来の便名のところに、AVLと入っていて、これはAvailableの略。早い話、勤務可能状態を保っておきなさいという、会社からの指示。元々は旅客便を担当する予定だった時間で、その便が欠航になった際に、電話待機を課せられる時間に相当します。実際には、フライトが新たに入ったケースは、今までほとんどありませんが……

 

悪天候時のスケジュールの調整などは、多い時でも数日に跨ること合計300便程度。数人がかりでこなせばこなせない量ではないのですが………

 

 

コロナウィルスによる影響の場合…………………

 

 

需要減が半端ではなかっただけに、航空会社の側では緊急な対応を迫られました。その作業量も甚大ではなく、1日当たりの欠航便が平均で我が社だけでも600便前後にもなり、しかもそれが数ヶ月間もの間、途切れることなく続きましたので、その入力情報量は半端ではなかったらしいです。乗務員のスケジュール管理に少しでも経験がある者が挙って駆り出されることになり、スケジュールの調整はほぼ3ヶ月続きました……

 

裕坊の今日からの4日間のフライトは、到底効率的とは言い難いものですが、この状況で乗務員スケジュール管理担当者に、スケジュールの効率を見ろ、というのは酷というもの………こればっかりは致し方ないです……

 

 

本来であれば、今日はまずはお昼過ぎの出勤の予定だったのですが、結局空港にやってきたのは夕方……

デトロイト空港の従業員証発行の事務所は、3月以降閉鎖になっていて、しばらく従業員証も更新できていなかったのですが、その事務所もやっとのことで5月26日(火)から再開になりました。ただ従業員用駐車場を見る限り、まだ従業員の車は疎ら……

 

スケジュールの調整はほとんど終わったので、出発便案内板を見ていても、欠航便の表示を見ることはほとんどなくなりました。

ただ昨年同時期と比べると、運航便数は全体で8割減……まだ空港内は閑散としています……

 

今日はA24ゲートからの出発。乗ってきた乗客の2割ほどは、航空会社の乗務員といった印象でした。

搭乗パターンは従来とちょっと違っていて、ファーストクラスを除くと、客席後方を優先して搭乗させるようになっています。

 

デルタ航空では、3人がけ座席の場合は、真ん中の座席を空席にしておく処置を徹底しているので、お隣に他のお客さんが乗ってくるケースはほとんどありません。

また最後部列の通路側座席も、客室乗務員と乗客の方の距離を保つために、座席指定をしばらく中止するそうです。社会的距離措置を遵守するためとのこと。 搭乗率自体は、見た限りおよそ半分ほどでした。3月下旬のコロナウィルス感染拡大時に比べると、徐々にお客さんも戻ってきている印象は受けます。

 

ただ今日の目的地であるミネアポリスへと到着すると、空港はまだまだ閑散……

 

ミネアポリス空港では、Gコンコースが国際線発着の役割を担うのですが……

 

利用客が激減して、こちらは一時的に閉鎖……

 

どうやら改装工事も若干施されることになるらしいです。

Gコンコースへと続く通路が、既に塞がれて通れなくなっていました。

 

地上階の到着ロビーの荷物受け取りカウンター。

こちらもしばらく改装になるようです。

 

ミネアポリスでの定宿。モールオブアメリカのすぐ近くにあり、近くには路面電車の線路もあり、普段はほぼ5分間隔で走っているのですが、

路面電車は、運行を中止しているらしいです。調べたところでは、運行中止の予定は5月31日(日)までとのこと。それ以降運行を再開するかどうかについては、5月31日(日)、中部時間で8時に発表になるそうです。ただターミナル1とターミナル2を結ぶブルーラインだけは、現在でも運行しているのだとか…

 

今日のホテルは、階の一番端……

普段は入ったことがない広めのお部屋を提供していただき、

 

窓からは湖が見える、絶景のお部屋でした。

 

 

明日も今のところは、客席に乗っての移動だけで、オハイオ州のコロンバスへ移動の予定です。