yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/6

米国小型機専門旅客航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

5日間のフライトを終えて、昨日火曜日のお昼過ぎに帰宅しました。

 

全米で2兆ドルを超える規模になるコロナウィルス支援の緊急助成金(CARES Act:Coronavirus Aid Relief and Economic Act)のうち、およそ3%に相当する610億ドル(日本円でおよそ6兆7千億円)が航空業界全体への支援用。裕坊が勤める地域航空会社の親会社であるデルタ航空もその助成金を受け取っていて、受け取りの際の条件の1つに、一定数の運航便を保つことというのがあります。 デルタ航空に限らず、ユナイテッド航空アメリカン航空とも同様に助成金は受け取っていますので、ほんのごく一部の例外を除いて、どの都市でも1日1便まで減便させてでも、運航は継続しているところがほとんど。(写真は、ミネアポリス空港Aコンコース)

もちろん空港内を見渡しても、まだ乗客の方の姿はほとんど見かけません……

 

コロナ渦前の当初の予定からすると、ほぼ70%の便の欠航が決定していますので、各乗務員のフライトスケジュールも大幅に減っているのが現状……(写真は、シンシナティ空港の地下通路)

 

各航空会社とも、手持ちの現金をどこまで維持できるかに会社存続の命運がかかっていますので、連邦政府の指示通り最小限の旅客便を維持しつつ、あとは需要が回復するのを待つことになりそうです。(写真は、デトロイト空港Bコンコース)

裕坊も今日から自宅待機の日を含めて、1週間以上のお休みになりました。

 

アメリカでは州によっては(ジョージア州など)徐々に規制を緩和しつつありますが、ここは見極めが本当に難しいところ…… 経済が回らなくなるのは確かに致命的……ただその判断は見極めが大事……

 

ここ最近の各州における外出規制の緩和に伴い、ワシントン大学では感染拡大が広がるものと予測し、全米における死者数が13万人を超える、と予測を上方修正してしまいました……

 

アメリカにおける食肉工場の実態を見ていると、都市封鎖政策というのは、感染拡大防止の観点からすると、よく機能しているのが理解できます。例えば、食肉工場大手JBS(本社ブラジル)のコロラド州工場(コロラド州グリーリー)の場合、

100名以上の感染者を出して、約2週間に渡って操業を停止していたのですが、連邦政府からの半ば命令を受ける形で先月末(4月24日)に操業を再開しました。4月26日まで120名だった感染者数、29日夕方までの間に245名の従業員への感染が確認されたそうです。

 

アメリカには、1950年に成立していた「国防生産法」という法律が存在し、緊急時に連邦政府が特定品目の生産を直接指示できるという、連邦政府の権利拡大の法律が存在するのですが、今回はそれが発動される形となりました。今年の場合は、コロナウィルス渦に対応するために、マスクと防護服生産を目的とした適用するという方針だったのですが……

これは大統領の判断で、発動時には民間企業全企業が対象になります。食肉産業にこの度それが発動されることになり、コロナウィルス感染拡大の懸念を押し切って、食肉工場が再開されることになったのですが……

 

案の定、そこで拡大が一気に拡大……

 

同じく食肉加工業最大手の「タイソン・フーズ」(本社:アーカンソー州スプリングデール)では、インディアナ州にあるローガンズポートの工場において、

 

2,200名いる従業員のうち、4割以上に上る890人の従業員がコロナウィルスに感染していたそうです。

その影響で、このインディアナ工場の操業は停止中……現在、事業再開に向けた計画策定を、政府当局者と進めているところなのだそうです。

 

ただ感染拡大防止の点だけを考慮して操業を完全に停止してしまうと、食の供給側では別のところで影響が出てきます。

 

感染拡大による食肉加工工場における従業員不足から、食肉処理能力が激減。食肉用養鶏業者が育てている養鶏が、鶏舎の能力を遥かに上回るほどの数で溢れ返ることになり、養鶏業者の中には鶏を殺処分せざるを得なくなるところも……

 

デルマーバ・ポールトリー社(デラウェア州ジョージタウン)では、養鶏場で飼育していた鶏のうち、200万羽を殺処分せざるを得なくなってしまったそうです。

鶏肉の加工量が激減し、別の養鶏場で加工することや、飼料にするなどあらゆる選択肢を考慮した上での、苦肉の選択だったのだとか……

 

操業をしては感染が広がり、止めては他の供給ラインに影響……コロナウィルスの影響はこんなところにまで及び、食の供給ラインまでが崩壊の危機に至っています……緊急時の舵取りの難しさを如実に物語っています。

 

 

裕坊一家は、今朝は気温一桁台とちょっと冷え込んだものの、午後にはお天気もよくなってきたので、ちょっとお散歩……函館市とほぼ同緯度のデトロイト近辺でも、ようやく春の訪れを告げるかのように、リンゴの木や桜の木に満開の花が咲くようになってきました。

 

ご近所さんの桜の木も、ちょうど今が見頃。

 

我が家の近くには、敷地がとても広い小学校があり、そこからさらに歩いていくと大きな公園もあるのですが、

 

鮮やかな緑色の芝生が、先週から広がってきています。

 

公園を反対側まで抜けて、

 

こちらは、リンゴの木。英語でクラブアップル(Crab Apple)と呼ばれる、アメリカ中西部でよく見かける桜によく似た種類の木。

 

そしてやってきたのがアイスクリーム屋さん。

ここの敷地内には、お店が数軒並んでいるのですが、今も開いているのは数えるほど。

 

サンドイッチ屋さんも営業していて、芝生にそれが宣伝されておりました。

 

ただ衛生上まだお店に入ることはできないので、電話注文をして……

 

外まで運んできてもらいます。

 

散歩のついでのおやつをいただいて、 今日は都合1時間ほどの散歩でした。

 

 

裕坊、次のフライトまで、しばらくお休みです。