yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/17

米国リージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

昨日木曜日、4日間のフライトから帰宅し、今日からしばらく自宅待機となりました。アメリカにてコロナウィルスの影響が出始めた3月中旬ごろから、各乗務員ともスケジュールは大幅に変わり、今も減便措置が続いています。今月の残りのうち、今のところ入っている予定は2便だけ……会社全体で見ても、今月はほぼ9割が欠航……

 

国際線に至っては今も運航が続いているのは、デトロイトからですとソウル仁川空港行きと、隔日で運航されるアムステルダム行きくらいのもの……

国際線の大型機材は、ほとんどが停泊したままの状態になっています……

 

従業員も相当数が給与なしの一時帰休(一時解雇状態と同じ扱い)を取得し、ほとんどが自宅で過ごして外出は自粛。従業員駐車場を結ぶシャトルバスも、今はほとんどガラガラ……

昨日も乗っていたのは、裕坊1人だけでした……

 

我が社でも給与なしの一時帰休を募集して、客室乗務員は6割以上が取得したらしいです。ミシガン州在住ですと、一時帰休が認められると失業者と同じ扱いになり、普段のお給料のほぼ半額を失業保険の保証として受け取ることができ、さらに1週間あたり600ドルがコロナウィルスによる緊急助成金として給付されますので(原則7月末まで)、そのお金を当てにして帰休した人も多かったのでしょう…

 

 

コロナウィルスは、飛沫感染することが分かってきていますので、社会的距離(6フィート、およそ1メートル80センチ)を他の人と取るように言われて久しいですが、

この施策も、かなり板についてきました。

 

空港ターミナルでは、定期的に社会的距離を置くようアドバイスする放送が流され、 スーパーなどに行くと、

レジに並ぶときに、ほぼ2メートル間隔で並ぶように、床に線が引かれ……

 

お客さんも、間隔を開けて並ぶのが日常になってきました。

さらに変わったことといえば……

 

アメリカでもマスクをするのが、日常になってきたこと……

昨日帰宅した後、食料品を買いにスーパーへと出かけのですが、逆にマスクをしていない買い物客を見つける方が稀、といった具合……今までですとアメリカでは日常生活で、医療従事者以外にマスクをする人など見かけることはまずなかったのですが、その概念をも一気に変えてしまいました……

 

本来であれば、今週の日曜日(4/12)はイースターキリスト教におけるイエス・キリストの復活を記念する祝日で、平常時であれば特別な礼拝が行われ、宗派によってはクリスマスよりも重要な意味を持つ日になるそうなのですが、今年はほとんどの教会が礼拝を自粛せざるを得なかったのだとか……

 

そのため、イースターのシンボルであるイースターエッグも、今年は大々的にお店に飾られることなく、地味に終わってしまいました……

幼稚園もお休みが続き、各イベントも中止の中では、仕方ありません……

 

 

そんな中、今も医療現場では、医師や看護師を始めとする医療関係者の方達が戦場のような惨状で疲労困憊の状況の中、治療に救命活動に奔走されていらっしゃいます。その画像はこの世のものとは思えない、想像を絶するものばかり………

 

特に感染の震源地となっているニューヨーク州では、まだ感染も死者数も横這いになる様子がなく、統計方法を変えた4月17日(金)には死者数が一気に増えてしまいました。現在の医療現場は相当混乱が続いている状態………

正確な状態を把握するのは、ほとんど不可能でしょう……

 

次々と呼吸困難を抱えた方が運ばれてきて、病院が扱える患者数を完全にオーバー……

 

通常の病室だけではとても間に合いませんので、

 

廊下にもベッドを簡易に設置するなどして、病床をなんとか確保しているのが現実……

 

それでも足りず、ニューヨークでは本来であれば憩いの場所であるはずのセントラルパークなどにも、簡易の病床施設などが立てられ、

患者の治療に当たっているそうです………

 

治療が間に合わず、亡くなる方の数も夥しいのが悲しい現実……

遺体安置の場所ですら確保できなくなるほど、次々に患者さんが命を落としてしまっているそうです……

 

それでも亡くなる方が後を絶たず….…

 

次々と遺体が運び出されます……

そしてそれが運ばれる先というのが…….

 

冷凍機能を持つ、大型のトラック……

 

ニューヨークでは、遺体安置の場所を確保できなくなった病院に、トラックが横付けされ……

 

そこに次々と遺体が運ばれて、一時的にそこで保管をしておくのだとか……

これがニューヨークの医療現場の実態………それでもまだ現場での格闘は続いています。

 

ニューヨークの場合、感染者が出始めた後も、一般の労働者が(大抵の方が、州の定める最低賃金で働いている方だったそうです)仕事を休むことを職場には許してもらえず、いつも通りの日常を続け、満員状態の地下鉄で通勤を続けていたのだとか。最近の研究で、ニューヨークの感染爆発は、いつも満員になっていた地下鉄だった可能性が高いことが分かってきているそうです。

それに対して早くから感染者を出し、死者の数も多くなっていた西海岸のカリフォルニア州とシアトルのあるワシントン州。早くから外出規制をかけるなど、対策を早めに打っていたことから、一時は爆発的に増え始めていた死者数を、なんとか押し留めています。4月17日現在、ニューヨーク州の死者数が17,000名を超えたのに対し、カリフォルニア州は1,132名、ワシントン州では610名。もちろん決して少ない数ではありませんが、外出規制の効果は如実に現れていると言って、いいのではないでしょうか。

 

自営業者、中小企業の経営者、あるいは一般のサラリーマンの方にとって、収入減は喫緊の問題であることは、裕坊もよく理解できます。裕坊自身、いつ職を失うかも知れないという厳しい立場に立たされているのが現実。しかしそれでもまずはここは人命を優先して、不必要な接触を減らしてウィルスの蔓延を少しでも抑え、感染者の増加を少しでも抑え込んで、いざ治療が必要になった時の病院の許容量を残しておきましょう。

 

日本でも全国に緊急事態宣言が出され、外出規制の風潮が高くなってきました。でもここはガマンのしどころ。企業も人も、経済的に瀕死の状態にあることは、痛いほど理解できます。しかし経済が回るのは、健康体の人間がいてこそ。人が皆命を落としてしまっては、経済そのものがそもそも存在しようがないのですから。例えどんな意見があろうとも、人命と経済のどちらを優先にするのか、と問われれば、裕坊は迷いなく人命を取ります。裕坊自身の中で、そこは揺らぐことは決してありません。

 

緊急事態宣言が日本全国に拡大され、一時金が一律10万円給付されることも決まりました。

もちろんこれでは十分な金額とは言えないかもしれませんが、なんとか凌ぎながらここを乗り切って、まずは各自が健康体を保つこと。1人でも多くの人が、健康体を保ってコロナウィルスの蔓延の時期を乗り切りましょう、に一票です。