yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 11/11

米系リージョナル航空会社の運転手をしている裕坊です。ようこそ。

昨日は日曜日からの出発となって、5日間のフライトへと出かけ、とりあえずは何事もなく3本のフライトをこなして、訪れていたのは、ミズーリ州カンザスシティー。

地図上で見ても、ほぼアメリカのど真ん中に位置するところから、ついたニックネームが「ハート・オブ・アメリカ」。噴水が至る所にある、きれいな町らしいです。

 

聞いたところによると、なんと市内に200以上もの噴水があるのだとかで。確かにグーグルで探してみると、あちこちの噴水の画像が次々と上がってまいりました。

 

青木選手が所属していたメジャーリーグチームの、カンザスシティー・ロイヤルズの本拠地、カウフマンスタジアムにも外野にも大きな噴水。

 

ここは農業、畜産業が栄えた町でもあり、至る所にバーベキューのお店。そのお店は100軒以上。カンザスシティーでは、なかなか長時間の滞在が入らないのですが、一度試してみんといかん……

 

そのカンザスシティーに2日連続でやってまいりました。とにかくここは風が強いことでも有名。年がら年中、風速10メートルを超える風が、吹き荒れています…… 昨晩もやってきたときには、風速15メートル近くの、「暴風」が吹き荒れておりました………

そして今朝は……………

 

 

雪…………………

 

うっすらではありましたが、雪であることには変わらない………………

 

2019年の立冬は、11月8日。お天道様も、今年は律儀に暦と共にしっかりとお仕事を頑張ってらっしゃいます。寝といてくれて、構わんかったのに………

 

雪道を運転するときの基本は、とにかく「焦らず」「ゆっくり」「急がない」こと。

 

スピードを上げる時も、減速する時でも徐々に「ゆっくり」と。前の車が遠くに離れたからといって「焦らない」、周りが自分より速く走っているからといって「焦らない」……

交差点で曲がる時などは、ほとんど歩く速度くらいになるまで減速して、「急がず」「ゆっくり」ハンドルを切る………

 

雪道ではいくら経験を積んだからといって、過信は禁物。

 

飛行機でも、この基本は一緒。ゲートを出発して、雪の中を滑走路に向かうときは、ソロリソロリ………空港の場合は、滑走路周辺と誘導路は、除雪車が出てきて、派手に融雪剤などを撒いてくれますので、怖い思いをすることは少ないですが、油断は禁物。

 

ただ飛行機の場合、離陸時の速度や着陸時の速度は、基本的には晴天時のそれと同じ。ある一定の速度で羽に風を受けて空中へと浮かぶことができるという航空力学の特性上、雪が降っているからといって、離陸時、着陸時の速度を晴天時より抑えるということができないのです。ですから、雪が残る滑走路で、離陸や着陸をする時は、晴天時にはない注意を払う必要が出てきます。大切なのは、とにかく滑走路を踏み外さないこと……

 

強風が吹き付けている時は、操縦技術も要求されます。特に強い横風が吹いてくると、飛行機は機首がその風に向かって正体しようとする特性があるので(左からの横風の時は、機首が左に向うとする特性)、垂直尾翼に備えられた方向舵で、風によって機首を滑走路の方向を保つようにしないといけません。

 

あとパイロットの立場として、冬場の雪が多い時に気になるのが、着陸時の滑走路の状態。

氷が滑走路にビッシリと張り付いた状態ともなると、着地後も全く減速できませんから、そんなときは着陸を諦めて、代替空港を探す羽目になります…… 滑走路がきれいに除雪されていても、滑りやすい状態にあることには変わらないので、場合に寄っては減速に必要な距離が保てない場合などは、同じように代替空港を探すことになることも………

計算上は減速に必要な滑走路の距離があったとしても、自分が思うような着地点に着陸できなかったり、或いは滑走路の状態が自分が思い描いていたものと違っていたりすると……

 

どうしても、こういうことは起きてしまいます……

 

数年ほど前、追い風の中で着陸したデルタ航空の機体が、バランスを崩して大きく滑走路を踏み外し、

 

あわや大惨事の事故になったこともありました……

 

これからまたやってくるこの季節に備えて、心の準備をしっかり固めておかなくてはいけません……

 

それにしても早すぎるよな〜〜……………

 

今日月曜日はこの冬初めて、出発前の除氷作業を行うことになりました……除氷液をたくさん積んだトラックがやってきて、

 

しっかりとスプレー………

 

デルタ航空デトロイト行きも同じように、除氷液をしっかりとかけてもらっておりました。

ただデトロイト行きは、その作業後、後から聞いた限り、ほぼ2時間にも渡って離陸できず。

 

デトロイト、シカゴ地域が大寒波に見舞われて、大変だったらしいです。

 

愛妻ちゃんも、今日はこの状態での運転……

 

夕方になっても雪は止む様子がなく、

夜になっても、この状態だったらしいです。それでも通常通り学校があるのが、デトロイト………

 

まだ11月だというのに…………

 

 

今年の冬は、頭の痛い冬になるかも知れません………