yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 9/10

皆さんこんにちは、リージョナル航空会社サラリーマン、裕坊です。

先日休日を返上して入れていたフライトを終え、今日火曜日は束の間の1日のお休みをいただいて、明日からはまた次の4日間のフライトへ。

 

まず出発前日には、制服のワイシャツにズボンを、自らアイロンがけ……

ワイシャツはいいにしても、制服用のズボンはポリエステルにウールの組み合わせですので、本来であればクリーニングに出さないと縮んでしまうのですが……

 

 

フライト教官時代から含めて、全てこのやり方で、15年以上…

 

 

ワイシャツも、洗濯を続けていると、どうしても襟の部分が黒ずんできてしまうので、本当はクリーニングに出すべきなのですが……クリーニング代1年分で、元が取れて、新しい制服が買えてしまうし……

ちなみに、我が社では5年ほど前から、制服やら、管制官との無線交信などに必要となるヘッドセットなどに対しては、一定額の支給をしてくれるようになりましたが、それまでは入社時の制服の支給以外は、全て自費にて購入しておりました。

 

現在では、iPad1枚に収められるようになった会社の規定やら空港の情報など。かつては全て紙にて印刷されておりました。それをファイルに挟んで、何冊も運んでおりましたので、パイロットはこんなカバンをも持ち運ばざるを得ず…

お値段ピンキリですが、相場はおよそ100ドルから200ドルほど。B4用紙が10センチほどの厚みにもなるファイルを、大抵6冊も運んでおりましたので、けっこうな重量に……

 

我がエンデバー航空は、その紙の媒体から電子系の媒体への移行となる、最後のアメリカ国内定期航空会社でした…

 

 

毎日いい運動やってたな〜〜……

もちろん、フライトケースも全て自費……

 

 

着替えを入れるスーツケースは、フライトクルー専用仕様…

 

リージョナルジェット機の場合、着替えを詰めたスーツケースは、客席の上にある棚に収納するのですが、

 

収納スペースがとても狭く、無理やり押し込んでその圧力で、車輪の軸がずれてしまったり、カバンが壊れやすい環境でお仕事していますので、

耐久性を考慮した、金属フレームを利用しているクルーが多数派……硬化プラスチックを使った、同じ形の廉価版もあります。お値段は相場が200ドルから300ドル。通常は機内持ち込みサイズで、55センチ高のものがほとんどですが、65センチ仕様もあり、お値段は50ドルほどを追加……

 

 

裕坊は、念のために、4日間のフライトへと出かける時でも、6日分の着替えは準備します。

何が起こるか分からない世界ですので……

 

 

そして無線交信に使用されるヘッドセット。裕坊が愛用しているのは、デイビッド・クラーク社製のPro−X。お値段700ドルなり。日本円にして、およそ7万5千円ほど。

騒音を一定レベルでカット。単3乾電池を2本使用し、特定の周波数の音を発することによって騒音を相殺、エンジン音や風切り音などをかなり軽減してくれます。しかもブルートゥース機能付きなので、本社にある整備課や運航管理課などと直接電話でお話をしたいときは、直接ヘッドセットを通しての通話も可能…

 

ただ旅客機の操縦席の窓ガラスは、いくつかの層からなっていて、

鳥や飛来物からの衝突に対する耐久性を高めているだけでなく、露結や着氷などを未然に防ぐ構造になっているので、電話用の電波を少し通しにくいという弱点があります。

 

通話が途切れ途切れになって、整備課担当者から煙たがられるのは、日常茶飯事……

 

 

テレックス社も、航空通信用ヘッドセットの老舗。こちらTelex 750はお値段手頃(相場は新品でも220ドル)で、低騒音のコックピット(エアバス機等)では圧倒的なシェアを誇る、主力中の主力。

実をいいますと、CRJ−200型機(50名仕様)には、機内の空気を再循環させる換気扇がないので、コックピットが900型機(76名仕様)に比べて遥かに静か。50人乗りのジェット機に乗っている頃は、裕坊も愛用しておりました。

 

 

オーディオ関連製品で評価が高いBose社も、人気のヘッドセットメーカーの1つ。

写真にあるA20は、耳当てはそこそこの大きさながら、長時間飛んでいても、あまり耳に大きな圧力をかけないのが特徴の一つ。しかも騒音をほぼ完ぺきなまでに遮断してしまうので、

 

プロペラの音が大きいセスナなどの小型単発機でも、騒音に悩まされることがなくなります。

ブルートゥース付き版だと、お値段1,100ドル。日本円で12万円ほどと値段は張ってしまいますが、これから長く飛行機に乗りたいと思う方には、是非オススメ。

 

 

ちなみに明日からの4日間のフライトは、3泊とも宿泊滞在時間がほぼ毎晩とも、法律上許可される必要最低限の10時間とちょっと……

 

それでも2014年の法律改訂前と比べると、まだマシにはなりました……

 

改訂前は、地上滞在時間が最短8時間などということもあり、しかもそれって、飛行機のゲート到着後15分後から起算して、翌日の出発便ゲートショーアップまでの時間でしたので、

いつもターミナルを駆け抜けるように、早足でホテルの送迎シャトル乗り場へと向かったり……

 

カナダなどでは移民局を到着時、出発時とも通らないといけない時もあり、実質ホテルのベッドで寝られるのは、3時間なんてこともありました…

 

クルー専用のラウンジでは、こんな光景を見るのが日常茶飯事だった時期も……

 

その当時に比べれば、遥かにマシにはなりましたが、本音を言うなら、やっぱり宿泊滞在時間は、12時間は欲しい…

 

 

ということで、ブログの更新頻度が、しばらく落ちてしまうかもしれませんが、明日から頑張って行ってまいります。