yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 11/23

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

今週は感謝祭週間。人の移動が1年間でも最も多い時期で、アメリカにおいては第4木曜日の前日はかなりの人で空港も賑わいます。短い連休を利用して家族が集まり、七面鳥を焼いてのファミリータイム。

そしてその翌日の金曜日。ブラックフライデー。日本でも最近お馴染みになってきたショッピングシーズンの始まりを示す激安売りの日。超お買い得品を求めて、早い時にはお昼頃から人が各お店に並び始めて、お店を取り囲むような行列が出来ることも。

一旦お店が開くと、普段は見られないほどの人が入り込んで、特にレジ付近は大混雑………

かつては感謝祭翌日の金曜日の早朝にお店が開いたらしいのですが、ここ最近では開店時間は年とともに早まり、早いお店では感謝祭当日のうちに開店してしまうことも…………

 

つーか、これだけの激混みの中へ入って行く気力に感心…………裕坊にはちょっとムリ………………

ちょっと高く払ってもいいから、お買い物はゆっくりと選びながら買いたいです……………

 

並ぶといえば、朝の5時にはほぼ例外なくコーヒーショップにも人が並びます……

前日に続いて昨日は早朝5時45分発を担当…………裕坊も同じコーヒーショップの列に並びたい…………

しかも昨日は霜が飛行機全体にかなりビッシリ…………除氷作業のトラックが飛行機の周りをグルリと一周。時間はせいぜい5分ほどではありましたが………………

ただ昨日飛行機に乗ってくるのは感謝祭前日ギリギリまでお仕事をされていた方だけだったのか、早朝の空港のターミナルはかなり閑散としていました………

アトランタ経由のフライトを担当しましたが、お天気もよく遅延等もなく、再予約センターも昨日はかなり落ち着いていて、係員もヒマそう…………

午前中にはフライトも終わって、クリスマスツリーを見ながら家路に着きます………


翌日の今日には、またほとんど同じ時間に空港に戻ってきてしまい………………

ニューヨークのケネディ空港までの便を担当することにはなりましたが……………

 

実は昨日は帰宅後、一旦お庭の作業……落ち葉が落ち切って庭全体が葉っぱだらけになっていたので………

それを庭の橋へと寄せて、落ち葉掃除の準備を整えておきます……

 

そのあとは日本人家族の仲間にも呼んでいただいて、感謝祭のお食事もいただいてまいりました。呼んでいただいて、Rさん、Tさんたち、ありがとう。

 

この時期は各家庭で家族たちが集まり、中には家族同士で食材を持ち寄って集まったりなどあちこちでパーティーが開催されるのですが、実はフライトクルーにとって、特にアメリカの航空会社で働くクルーたちなら恐らく一度は経験する、ちょっとした寂しさを味わう時期でもあるのです……

アメリカの航空会社におけるスケジュールの作成は、基本は全て入社経歴順。

入社経歴が長ければ長いほど、自分が希望するスケジュールを得ることができ、新入社員などは残ったスケジュールを必然的に充てがわれるようになり、感謝祭やクリスマス、年始などのお休み期間中の休暇を取ることができず、その大切な時期に家族と離れ離れ……………

 

裕坊の場合、現在勤めるエンデバー航空会社の前身であるピナクル航空が2012年4月に破産法下に入って、余剰人員を次々に削られる形になり、余っていた機長たちが副操縦士へ降格。

さらには機長として何とか生き延びたパイロットたちも強制移動でニューヨークへの移動を余儀なくされました。裕坊にとって1番悲惨だったのは、2013年のクリスマスから年明けにかけての年末年始……

クリスマスイブ前日から5日間連続でリザーブと呼ばれるスタンバイ…しかも帰宅日になって寄りにも寄って猛吹雪になって、ミシガンへの帰宅の足を奪われます……。

結局年末年始、家族とは会えず………息子の小学校を通して知り合いになっていた日本人家族たちの集まりにも参加できず、疎遠になる日が続きます……

 

ピナクル航空デルタ航空の出資によって完全破産を免れ、エンデバー航空として再出発したのは2013年5月。この頃からやっと我がリージョナル航空会社も財政的にも安定するようになり、裕坊も日の目を少しずつ見ることができるようになりました。

 

昨日はその日本人の集まりに入れていただいてのサンクスギビングディナー。それでもまだ自分が疎遠だと感じる瞬間が………

下の名前が飛び交う中にあって、1人だけ今も苗字にさん付け。本来苗字で呼ばれるのが苦手な裕坊的には、これはちょっとキツい………でもまだこれはガマンもできる。

 

もっとツラいのは、子供たちに裕坊の存在が認識されていないこと。ゲームなどをしていると、「この人名前誰か知らないんだけど〜〜………」と指を差される………

これ、かなりヘコみます……しかも息子が招待したお泊まりで、ウチで預かったこともあったのに…………子供たちに罪はありませんから、もちろんそれを口にしたりはしませんが………

 

それだけ存在感がないんやね………

 

ただフライトクルーである以上、この孤独感に耐えられなければ、仕事は務まりません……スケジュールが不定期でクラブ活動には参加できず、各種行事を逃してしまうことは日常茶飯事。先日の息子くんのピアノリサイタルだって、見学に訪れることができたのは今回が初めて……

かつて替え歌で一世を風靡した嘉門達夫さんの歌の中に、「ジミ・派手の歌」というのがあり、その中に「♩じみ〜〜、じみ〜〜、じみな道路標識♩、徐行〜〜♩、徐行〜〜♩、派手な道路標識、警笛鳴らせ〜〜〜〜」というのがありましたが、その歌を使わせて頂くなら、こんな歌を作ることができます。

 

「ジミ〜〜、ジミ〜〜、ジミなお仕事〜〜♩フライトクルー♩フライトクルー♩」

 

世間的にはフライトクルーは華やかなイメージがあるかも知れませんが、実はかなり孤独感と闘うことを余儀なくされるお仕事でもあるのです。

 

感謝祭週間を締めるお仕事があと1便。いよいよこれよりデトロイトへと戻ります。

 

裕坊