yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/13

アメリカの地域航空会社の小型旅客機に乗っている、裕坊といいます。こんにちは。

今月はたて続けにフライトがぎっしり。火曜日は、1日の束の間のお休みをいただいています。

 

そのお休みの日は、愛妻ちゃんのお誕生日でもありました。実は結婚して今年が20周年。しばらくお誕生日のお祝いらしきお祝いということができていなかったので、

ちょっと奮発して、ネックレスを購入。息子くんも、勉強に課外活動にと忙しい中、お料理を頑張ってくれました。

 

ミシガン州にも、いよいよ本格的な春。先週に比べてややひんやりしている今週も、お昼過ぎには20度近くまで上がる日もあり、お天気の日は外も暖かくてポカポカになります。

今日は息子くんの課外活動で、夕方ごろになって学校まで送ってきました。

 

我が家のリンゴの木(クラブアップルと呼ぶそうです)にも蕾がつき始めて、いよいよ春本番

 

ところが、今ミシガン州アメリカ国内のコロナウィルス感染拡大の震源地に…

先週は新規に陽性と診断された人の数が、8,000を超える事態にまでなりました。どうやらイギリスや南アフリカ、ブラジルなどで発見されている変異株ウィルスが、猛威を奮っているらしいです。病院の病床の使用率も、ほぼ90%…

 

ただ昨年はそんな時に都市封鎖、経済封鎖とあらゆる活動を制限してきたグレッチェン・ウィトマー州知事も、昨年同様の都市封鎖にはかなり慎重になっています。

州議会議事堂が占拠されたり、拉致や誘拐の対象に何度もなるなど、身の危険を感じる場面に晒されることが続いて慎重になったというのもあったでしょうし、 陽性診断数が鈍化しない中でも、重症化している患者の数、死者数が全米では右肩下がりになっていることもあって、このまま乗り切れるという目論見があるのかも知れません。

 

実際にテキサス州では、共和党知事のグレッグ・アボット氏が、先月にマスク着用義務、各施設における人数制限を撤廃したばかり。

全米での新規陽性が10%以上増える中、テキサス州では陽性診断数は平均で3分の2にまで減少(1日平均4,900名から3,100名)し、死者数も半減(190人から79人)。ワクチン接種はテキサスでも他州同様、かなり進んでいますので、それが功を奏しているのかも知れません。

 

4月に当初の予定通りシーズンが始まった、2021年のメジャーリーグ。各球場では、入場者数をかなり制限した上での開催を行なっていますが、テキサス・レンジャーズの本拠地開幕戦となった4月5日(月)の試合では、入場制限なしでチケットも販売。

ほぼ満席となる4万人の観客が、球場を訪れたそうです。

 

マスク着用の義務もないので、スタンドの様子を見ていても、マスクを着けていたり着けていなかったり…

 

マスクの着用も本人の自由。全てが自己責任。

 

チケットを入手できなかったファンたちは、近くのバーやレストランへと詰めかけて、こちらも大盛況となりました。

 

ちなみに昨年からレンジャーズの本拠地は、グローブ・ライフ・フィールド(Globe Life Field)になり、屋根付きの球場になっています。

旧球場(グローブ・ライフ・パーク)のすぐ隣接地の球場。屋根付きとあって、メジャーの球場にしては珍しく人工芝。

 

 

こんな中でも、テキサス州では感染数も死者数も爆発的に広がることなく、むしろ右肩下がりになっています。そもそもコロナウィルス対策というのは、死の危険を顧みながらでも動き続けるか、ひたすら辛抱して人との接触を全て絶ってしまうか……ある意味究極の選択を迫られます。アメリカは50万人を超える死者を出しながらでも、ひたすら動き続けました。片方の究極の選択肢を、迷うことなく選択。

 

 

究極の状況になっても動き続けるのがアメリカ人。もし仮に自宅の裏にある山が大噴火を起こして、激流が流れる川の対岸へと避難しなければならなくなった場合でも、

きっと止まることはないでしょう。

 

戦車でもなんでも使える物を使って、川を渡っちまえ、でいくのがアメリカ流…

 

戦車が使えないなら、筏を使ってでも渡ろうとするでしょうし…

 

筏がダメなら、荷物を全部まとめて背中に背負い…

 

どんな激流だろうと、向こう岸まで渡ってしまうでしょう…

 

ちなみに米陸軍に入隊すると、背中に何キロ、ともすると10キロを超える重い荷物を背中に背負って、川を渡る訓練を課せられるそうです。

 

アメリカの航空会社、特に大手ともなると軍出身者の採用を積極的に進めるので、地域航空会社でのフライトの経験を積むことなく、いきなり大手航空会社に採用されるパイロットも多いのですが、 中には地域航空会社に入ってくる人もいて、そんなパイロットと同乗すると、いろんなエピソードを教えてくれます。

激流の川を渡る訓練は、相当に過酷だそうです……こういった背景があるので普段から体を鍛えることには余念がありません。病気も自分の免疫力で乗り切ってしまおうとする人も多く、コロナに罹ろうとも1週間ほどで乗り切れると信じる人も多く、この辺りがやっぱりアメリカなのだと、最近になってひしひしと感じるようになりました。

 

状況の改善に兆しが見られるようになり、ワクチンの接種を進めてコロナ禍を乗り切ろう、とウィトマー知事も舵を切る決断をしたのでしょう。

このまま経済封鎖をすることなく、終息へと突き進む決断を固めたようです。

 

 

ただ裕坊自身は、石橋を叩く日本人。ワクチンに関しては、もうしばらく様子を見ます。

 

 

そしてまたも起こってしまいました。

警官による黒人青年射殺事件… しかも、射殺が誤射によるものって…

 

一般市民の警察への心情は悪くなるばかり…

 

ただアメリカの警官って、治安が不安定な地域でもパトロールが必要だったり、かなり過酷な状況で仕事をしているので、そこには同情の余地があります。 銃はおろか、ライフルですら簡単に手に入るアメリカ…しかもアメリカの警官は普段は単独で行動していて、そんな中の深夜のパトロールともなると命懸け…

自らがいつターゲットになるか分からない、という危険と常に隣り合わせなのです。

 

実際にパトカーを狙った体当たり事件なども起こるのが、アメリカという国の現実…

6世帯に1世帯が貧困層になるというアメリカの現実を変えない限り、同様の事件は今後も必ずまた起こります。一般従業員が労働に対する正当な対価と報酬を得て、日々の暮らしへの不安をまずは取り除いていくこと。一般労働者の収入が上がって治安が安定し、警官自身の治安への不安が減れば、ひいては命の危険を感じることが少なくなれば、警官による発砲事件も減るでしょう。

 

 

 

 

 

経済格差が加速度的に今も広がるアメリカ。そこを変えることが出来るのか……事件解決の糸口は、間違いなくそこにある気がします。