yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 11/11

アメリカの地方都市を中心に、小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

有給明けの火曜日、水曜日の2日間は、両日とも日帰りのフライトでした。朝の9時出勤で、担当は1往復のみ……しかも終わるの、午後3時……

 

社歴順に希望するスケジュールが決まるアメリカの航空会社にあって(こちらでは、この仕組みをシニオイリティ制度(Seniority)と呼んでいます)一般の会社なら『社長のスケジュール』に相当する『夢のようなフライト』など、まず割り当てられることはない、と思っていたのが……

いつの間にか、そんなフライトが入れられる身分になってしまっていた……

 

地域航空会社の存在とは、アメリカの航空業界にあっては、「最初の経験値を積むための足掛かりとなる」航空会社。よくステッピングストーン(Stepping stone)などとも呼ばれます。ほとんどのパイロットたちは、5年から長くても10年の在籍を目処にして、大手航空会社やサウスウエスト航空ジェットブルー航空などの格安航空会社への転籍を目論みます。

少しでも早く副操縦士から機長へと昇格し、機長時間を1,000時間貯めたところで、大手航空会社に履歴書を送付。

 

晴れて採用が決まると、地域航空会社を離れて「ステップアップ」。

裕坊が現在のエンデバー航空に入社したのは、2006年6月。前身のピナクル航空時代の入社で、研修クラスには裕坊を含めて24名。

 

現在ではそのほとんどが、新しい就職先を見つけて会社を離れています。

同期入社のうち、今もエンデバー航空に残っているのは、裕坊を含めて3名だけ。残り2名のうち1名は休職中で、もう1人はシミュレーターの飛行教官。実は現役で今もCRJシリーズに乗務しているのは、裕坊1人だけということになってしまっています。

 

 

半分ほどは、エンデバー航空の親会社であるデルタ航空の本体に採用されて、そのほとんどがエアバス320型シリーズ(319型、320型、321型の3種類)に乗務。

 

アメリカン航空へ移籍した者もおりますし、

 

サウスウエスト航空へ行った者も1名。

 

ピナクル航空当時の本社があったメンフィスの出身も多くいたことから、メンフィスに本社を置く貨物航空会社の最大手「フェデックス・エクスプレス」にも、6名が新しい就職先として移っていきました。

ちなみにフェデックス社は、パイロットの所属先が外国にもある稀な米系航空会社です。

 

そのうちの1つはドイツのケルン。かつて東西ドイツ分断時代の西ドイツの首都だったボンからも、すぐ近く。

 

フェデックス社のヨーロッパにおける拠点空港になっています。

 

そしてアジアの拠点になっているのが、香港・チェクラップコク国際空港。

 

こちらはアジアの拠点。

香港における不安定な政治情勢の中にあっても、フェデックス社の香港国際空港における貨物取扱量は安定しているようです。裕坊の同期入社のパイロットも、3人が一時期所属しておりました。

 

ちなみに、香港国際空港は貨物取扱量では、世界一を誇ります。

2010年に、フェデックス社の本社があるメンフィス国際空港を抜き去って以来、10年に渡って1位の座を死守。その差は徐々に広がりつつあります……(2017年度の香港国際空港の貨物取扱量505万トン、メンフィス国際空港は433万トン)

 

ただしメンフィス国際空港における貨物取扱量は、そのほとんどがフェデックス社によるもの。一社での1空港における貨物取扱量では、メンフィスは未だに1位の座についており、この牙城はしばらく揺るぎそうにありません。

 

 

そんな大手に移っていった同期入社のパイロットたちも、全員ノースウエスト航空塗装のCRJ−200型機で、航空会社のパイロットとしてのキャリアをスタートしました。

 

提携先だったノースウエスト航空が2010年にデルタ航空として合併、

 

それに伴って我が社(当時のピナクル航空)の塗装も、デルタ仕様になり、

その頃に同期入社の多くが、他社へと移っていきました。

 

裕坊も一度だけ、大手の面接を受けたものの、仕事のオファーには至らず……

乗務する機体もほんの少し全長が長い900型機へと変わって、早や6年……

 

パイロットの社歴年数の平均が10年にも満たない地域航空会社の中にあって、社歴が長い部類にいつの間にか入っておりました。

 

地域航空会社の役割とは、地方路線と大手航空会社の拠点を結ぶことなのですが、人件費が大手航空会社本体に比べると安いことから、利益源の1つにもなっていることが多いです。

その分景気が減退したり、何らかの理由でコストが高くなってくると、大手本体から切られてしまいやすいのも特徴……コロナ禍にあってコスト削減を断行しないといけない昨今、親会社であるデルタ航空保有現金枯渇の回避に必死。ただそんな中、余剰になると見られていた2,000名弱のパイロットたちの2022年1月1日までの雇用維持の保証が、先日デルタ航空パイロット組合の間で締結になりました。これは明るいニュース。

 

 

ただ一方で、アメリカにおけるコロナ感染は、拡大の一途。ウィルス感染が、旅客航空業界にどのように影響するのか、エンデバー航空も存続し続けられるのか……裕坊自身は現在の会社が存続する限り、転籍は今のところ視野には入れていないのですが、それも今後の動向次第。今後の成り行きに注目です。

 

 

火曜日と水曜日の勤務は、全く同じ内容でした。

1往復の担当とはいえ、実は往路は客席に搭乗しての移動。

 

行った先は両日とも、ニューヨーク州の北西部に位置する、サラキュース。

 

折り返しまでに2時間の地上待機があるので、ドーナツ屋さんでコーヒーを買い、

 

1時15分発のデトロイト行きだけが、実質の担当便。

 

ちなみに、デトロイトに到着時のゲートは、火曜日も……

 

水曜日も……

偶然にも、同じA45でした……

 

これが火曜日の到着時の写真…

 

水曜日……

間違い探しみたいやな……

 

大きく違っていたのは、サラキュースでのお天気。

火曜日は空が澄み渡る見事な秋晴れで、外の気温も25度。

 

水曜日は雨がシトシトで、気温も18度に下がっておりました。

この写真なら、間違いたくさん見つけられそうやな〜……

 

到着ゲートのA45に着いて、航空管制塔を飛行機越しに見ながら、

お昼下がりの3時には家路に着いておりました。今はお仕事がいただけることに感謝です。

 

 

 

3日間お休みをいただいて、日曜日に次の出勤を予定しています。

 

 

 

 

 

 

 

11月10日(火)担当便

デルタ4747便(EDV 4747)サラキュース(SYR)−デトロイト(DTW)

11月11日(水)担当便

デルタ4747便(EDV 4747)サラキュース(SYR)−デトロイト(DTW)