yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 9/28

アメリカの地域航空会社で、小型旅客機に乗る、裕坊といいます。こんにちは。

裕坊が住んでいるのは、デトロイト・メトロポリタン空港から車でおよそ20分のミシガン州南西部の住宅街。晴れている日は日中こそ半袖で過ごせるくらい暖かくなるものの、最低気温は一桁台になったりなど、まだ9月なのに秋本番……

 

既に植木が色づいてしまったりしています。

 

長年勤めた幼稚園を退職する決断をして、お庭や花壇の手入れに余念がない愛妻ちゃん。

 

ここにきてやっと自分の時間が作れるようになって、庭もかなりきれいになりました。

 

気は早いですが、もうハロウィンの季節。

ただし、今年はトリック・オア・トリートは難しいかも知れません。ちなみに裕坊はハロウィン当日には、既にフライトが入っていたりします…

 

今月末から来月の頭にかけては、10日のうち9日間に渡ってフライトが入るという、ある意味怒涛のスケジュール。

短距離路線が多く、1日当たりの担当便も増える傾向にあるのが地域航空会社の特徴。かつては1日で最大14時間の拘束時間を過ごし、クタクタになりながらも地上での滞在時間が8時間などという殺人的なスケジュールもありました。数年前の連邦航空法の改正で、一回当たりの宿泊滞在は最低でも10時間になり、以前とはスケジュールも大きく変わっています。また機会がある時に、かつてのスケジュールや宿泊滞在なども書いてみます。

 

デトロイト空港には、空港の南に大きな敷地面積を持つ従業員専用の駐車場があり、通常ですとそこからシャトルバスでターミナルに向かうのですが、利用客数の激減で立体駐車場にかなりの空きスペースがあるので、従業員もそちらへ止めることが許可されるようになり、

ここ2週間は、連続でこちらの駐車場を利用したりしています。シャトルバスの運転手さんの仕事がなくならないか、とても気になる……このご時世で仕事がなくなるのを見るのは辛いので、時間に余裕がある時は従業員専用の駐車場に車を止める心づもりにしています。

 

いつもと違う出勤風景…

既に地上係員には、こちらへ駐車するよう指示が出ているらしいです。防犯上の観点から、ある程度の数の車を止めさせておくことも必要なのだとか……

 

お昼過ぎの出勤で、担当便は夕方以降の出発。どんより曇り空の、すっきりしない1日でした…

そんな時は大抵気流も安定せず、小刻みな揺れが続くことが多いです。

 

一旦デトロイトからノースカロライナ州の州都、ローリーまでを担当して、 2本目では、ミネアポリスまで。既に外も完全に暗くなっておりました。

乗っていた飛行機の後方の化粧室が故障して整備が必要になり、飛行機はミネアポリスにて乗り換え……

 

そしてやってきたのは、ミネアポリスと同じミネソタ州の、ローチェスター。

ミネアポリスからですと、およそ130キロほどの距離になります。

 

東京から宇都宮までとほぼ同じ距離。新幹線がもしあるとすると、最速で50分ほどで着く計算。

昨日の飛行時間は21分でした。ジェット旅客機の巡航高度は、大抵地上から35,000フィート(1万メートル)から40,000フィート(1万2千メートル)の高さを飛ぶのですが、このフライトだとせいぜい高く上がっても10,000フィート(およそ3千メートル)。ですから離陸直後から着陸準備態勢なんか始めていたりします。ゆっくりする暇はありません……

 

車を運転しても1時間半ほどの距離なので、実際にミネアポリス空港からもローチェスターへと向かうバスのサービスなんかもあるくらい…

面白いことに、昨夜到着後の宿泊先のホテルまでは、ミネアポリスとローチェスターを結んでいるシャトルサービスの会社のワゴン車でした。

 

ローチェスター市は、ミネアポリスセントポールに続いて、ミネソタ州で人口3番目の規模の都市。

2019年の推計人口はおよそ11万9千人。2010年時点での人口は10万7千人でしたので、10年の間にほぼ1万人の人口が増えているらしいです。実はまだまだ成長を続けている、ミネソタ州ローチェスター。

 

ダウンタウンも整備されていて、治安も良し。

都市を代表する産業があり、治安も良くて住宅環境がよく、雇用もあるという、今のアメリカを代表する理想の都市の1つ。実際に個人ファイナンスを代表する雑誌『マネー誌』の集計で、2017年の「全米で最も住みやすい街」の堂々1位にランキングされました。

 

ローチェスターを代表する産業というと2つ。1つはコンピューター・ハイテク産業で、

IBMがローチェスターを代表する企業の1つ。

 

330万平方メートルを有する広大な敷地で、中型コンピューターの開発・製造などを行っているらしいです。

もう1つは、医療部門。

 

USニューズ&ワールド・レポート誌の「全米で最も優れた病院」2018−2019年版で1位に輝いた、メイヨー・クリニックの本家本元。

メイヨー・クリニックという言葉の響きからして、小さな町医者を想像してしまいますが、 その実態はというと、実は大規模な総合病院。

 

それでいてブルークロスに次ぐ、ミネソタ州で2番目の規模に相当する非営利組織。

 

アメリカの歴代大統領が治療で訪問したり、かつてはヨルダン国王がここメイヨー・クリニックで治療を受けたりしたこともありました。

 

全米から予約を入れた上で治療に訪れる方もいるので、

ホテルからでもメイヨー・クリニックへのシャトルバスが出ているくらいです。

 

これだけの産業を抱えながらも、空港はこんなにこじんまり。

 

ボーディングブリッジの数は、たったの3つ。

 

ミネアポリスから車で十分来れてしまうので、地上を走って来られている方も多いのでしょう。

空港の見た目の規模と、都市が持つ実力が必ずしも比例しないのが、アメリカの面白いところです。

 

 

2日目も夕方ゆっくりの出発です。