yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 8/18

米国小型旅客機専門の航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

4日間のお休みをいただいて、月曜日から次のフライトへと出かけました。今回は3日間で、初日は夜8時40分発のコネチカット州ハートフォード行きのみを担当。平常時であれば、デトロイトからハートフォードまでは、裕坊が勤める航空会社の親会社、デルタ航空が自ら運航します。ここ最近は需要に呼応する形で、こういった路線でも客席数が少ないリージョナルジェット機での運航が多くなりました。

 

夕方遅い出勤とあって、夕日が沈みかける頃の出勤。駐車場は相変わらずガラガラのまま…

 

デトロイト・メトロポリタン空港、マクナマラターミナルのBターミナルからの出発とあって、夕日が差し込む中を地下へと向かってエスカレーターに乗り、

 

トンネルをくぐります。

 

そしてBコンコースの南端となる出発ゲート、B21へと到着。

 

担当は、デルタ4847便、コネチカット州ハートフォード行き。

搭乗ゲート口を通って、まずは飛行機に乗り込んでみると……

 

コックピットに赤い札………これ、飛行機に何らかの故障が発生したことを示します……

整備記録を開けて読んでみると………どうやら搭乗口のゴムの部分が破損したのか、客室から外部への空気漏れの可能性があったらしい………

 

 

大抵旅客機のドアといえば、

 

プラグ式と呼ばれる密着式。

部品数が多く、構造自体は若干複雑にはなるのですが、客室内と機体の外との圧力格差を利用して、ドアが機体胴体へと押しつけられる仕組みになっているので、気密性が高くなり、上空での巡航中の安定性に優れます。

 

胴体の平面性が保たれて、空気抵抗が少なくなるメリットもあるので、新幹線などでも採用されているのが、このプラグ式と呼ばれる方式。

 

新幹線のように引き戸にしないのであれば、ドアの開閉の際の戸袋などを作る必要もなくなるので、高速バスでも一部取り入れられているようです。

これらのプラグ式の場合は、重整備の時に消耗部品を交換することによって、故障は多くの場合防げるのですが、

 

裕坊が乗務するCRJシリーズの機体の場合は、留め金による機械式。

ただゴムシールドでドア全体が覆われているのは、プラグ式と変わらないので、ドアを閉めた状態ですと、ほとんど見た目に違いは分からないです。

 

これが搭乗口を開けた状態。ボーディングブリッジがなくても乗降ができるよう、階段が備え付けになっているので、重量が重い搭乗口ドア。

そのためにプラグ式にしてしまうと、ドアが機体胴体にかける圧力がとても大きくなって胴体金属の摩耗が早くなるので、機械式になっているそうです。この写真ですと、ゴムのシールド付近に、小さな留め金の受け皿が両側2箇所に並んでいますのが見えます。

 

ちなみにCRJシリーズの場合は、合計で8箇所での固定式。

 

金具の強度はかなりのもので、30年近く運用されているCRJシリーズの機体で、空気漏れによる事例などはほとんどなかったのですが、 応援に駆けつけてくれた整備員によると、つい最近になって50名仕様の機体で与圧装置の問題が起こったということで(6月26日ユナイテッド5071便、コロラド州デンバー発、アリゾナ州プレスコット行き)、裕坊が乗るはずだった機体でも、ゴムシールドの取り替え作業をすることに決めたということでした。

裕坊も与圧装置そのものには影響がない空気漏れがあった飛行機に乗った経験があるのですが、少しでもゴムの経年劣化で空気漏れが発生すると、その部分からの騒音は耳がつんざくほどに大きく、まともに会話もできなくなるので、ゴムシールドの交換はありがたいです。

 

 

ゴムシールドの交換自体には、それほど時間はかからないそうなのですが、交換作業終了後に、一度滑走路のすぐそばにあるエンジン点検の作業場へと移動して

エンジンをかけた上で機内を与圧までしての点検を行わないといけないらしく、かかる時間は最低でも2時間……

 

さすがに2時間は長い……ただ本社の運航管理に電話を入れると、

すぐに担当機を交換してくれました。稼働機体数がそこそこ戻っていて、スペア機材は足りているので、助かりました。

 

そんなわけで、40名の乗客の皆さんを含めて、民族大移動……

 

本来の出発ゲートだったB21から、 ひたすら北へと全員で向かいます。

 

Bコンコースから、そのままCコンコースへと入り、

 

まだまだ歩きます。

着いたのはC25。

 

実際にアップルウォッチで測ってみたら、800メートルも歩いとった……

いい汗をかきました….…

 

出発は定刻より15分ほど遅い8時55分ほどになり、夜遅く10時過ぎの到着。

 

至福のひととき…

 

 

2日目も遅い出勤で、これからミネアポリスへと向かいます。