yuichibow’s blog

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 7/2

アメリカで小型旅客機に乗っている、裕坊と申します。こんにちは。

先月に続いて欠員の穴埋め役を1ヶ月に渡って務めていますが、今月は早速4日間のフライトが入って、水曜日から出かけています。今日木曜日は2日目。 昨年1年間の1日当たりの平均旅客便数は、我が社でおよそ1,000便。現在の平均便数は350くらい。座席数76の機体を一時的に上限42名に抑えての運航が続いていますが、ここ数日はほぼ全便『満席』。

 

7月4日(土)の独立記念日を控えて、空港もかなり賑わうようになっています。

ただ航空業界全般で見ると、まだ需要は低迷……コスト削減の一環として、保有している機材を整理したり小型化したり、各航空会社とも暗中模索……

 

裕坊が勤める航空会社の親会社、デルタ航空でも、MD−88型機、MD−90型機の退役を前倒し。

エンジンの直径がやや細めで、バイパス比がやや小さめのエンジンを装着したMD−88型機。

 

主翼上に片側2箇所ずつある非常口の間に窓が2つあり、エンジン直径がやや太めのMD−90型機。

かつて日本エアシステムで活躍していたMD−90型機は、全てデルタ航空によって購入されて、その後7年ほどアメリカの空を飛び続けました。この2機種は機齢も古くなっていて、置き換えも検討されていたくらいでしたので、コロナウィルスでの需要減を機に全機退役……ただこちらはある程度予想はできました。

 

意外だったのが………デルタ航空保有する機体の中で最長航続距離を誇るボーイング777型機が前倒しで全機退役になったこと……

保有していた機体数が16でしたので、機種の整理のためにはやむを得なかったも知れません……

 

世界の航空会社を見ていても、機材整理が散見されます。特に燃料消費量が多い4発機は、会社によっては退役を前倒しする所も。

写真は全2階建の超大型旅客機エアバス380型機。エールフランスは先週の金曜日がエアバス380型機を使っての最後のフライトでした。エールフランス380便としてエアバス380型機の開発、製造に関わった関係者を乗せて、パリ・シャルル・ド・ゴール空港から離陸し、地中海までを飛行してパリへと戻る周回飛行で、A380型機としての最後の役目を終えたそうです。

 

ドイツのルフトハンザ航空も、航空需要の大幅減に応じて、現在エアバス380型機は全機駐機したままになっていますが、

2年間稼働させないままということになりそうです……

 

ルフトハンザ航空といえば、ジャンボジェット機ことボーイング747型機の最新型、B747−8の旅客機版を保有している数少ない航空会社の1つ。

 

既に日本航空からも全日空からも退役して久しい、『空の女王』

 

こちらも旅客機版の退役が早まる可能性が、否定できなくなっています……

その保有機の整理に呼応するように、各社とも乗務員の移動、削減などが本格化するようになりました。

 

我が社の場合、パイロットの数は全社でおよそ3,000名。およそ1,000名がニューヨークに所属しているのですが、ニューヨークを発着するフライトが一部削減されることになり、ニューヨークから乗務員が1割ほど、他の基点空港へと移動することが決まりました。ちなみに2種類ある機材のうち、50名仕様のCRJ−200型機がニューヨークから完全に撤退することも決まり、アトランタデトロイトへ移管することも決まっています。

アメリカの航空会社は、担当する機種や所属先などの選択は、例外なく入札制。社歴が全てにおいてものをいう世界で、社歴が長いほど選択権が強くなる仕組み。

 

人員の配置換えに伴う社内の告知には2種類あり、1つは『Vacancy』。日本語でいうところの「新規募集」。需要の伸びに応じて保有する機体の数が増えたりして、担当乗務員を増やす時などに使われます。もちろん新しい機材が導入になったり、新しい基点を開設するときも告知は同様に「Vacancy」。エンデバー航空でもしばらく需要増が続き、アトランタシンシナティなどの新しい基点の開設も続きましたので、「Vacancy」での発令が続いていました。

これは景気がいい時ならではの配置換えの告知方法……

 

もう1つが、『Realignment』。日本語での「再編成」に当たります。事業規模が縮小して、人員の削減が必要になったり、基点の閉鎖に伴う異動が必要になる場合にも使われます。機材が減ったりして余剰人員が出た場合なども「Realignment」が発令されて、他機種への移動が発生……

 

余剰人員が会社の経費負担に重くのしかかると予想されるときは、会社には一時解雇が必要になることもあります。これを英語では『Furlough』と呼び、その対象になると大抵の場合お給料が止まり、福利厚生なども停止してしまいます。まずは早期退職を募集して強制一時解雇を避けるよう、会社も最大限の努力はするのですが、それでも足りない場合は一時解雇通知がやってくることに……これも社歴順で決まってしまいます……

アメリカでは、WARN Act(Worker Adjustment and Retraining Notification Act)という法律によって、強制的に一時解雇が必要となる場合は、最低60日前の通知が義務付けられているので、早いところでは一時解雇の可能性を示す書簡も、対象となる従業員に発送されているそうです……

 

ですから同じ告知でも「Realignment」が発令されるときは、会社の情勢はよくないという証……

 

我が社ではニューヨークからの50名仕様の機体の撤退に伴って、社内で「Relignment」が発令されることになりました……

 

今回の「再編成」に当たっては、50名仕様の機体の基点となる空港が、アトランタデトロイトの2空港に集約され、再編成もそれに伴った内容になっています。76名仕様の機体でもニューヨーク発着の便数が若干整理され、デトロイトアトランタミネアポリスの3空港で減便分を吸収することになりました。50名仕様に乗務するパイロットたちは、今年のうちにアトランタデトロイトのいずれかを選択するか、76名仕様の機体へと移ることになります。これもアメリカの航空業界に勤める乗務員の運命の1つです……

 

 

今日はほぼ深夜になって、金融都市、ノースカロライナ州のシャーロットへと到着。

 

 

明日3日目も午後から2本を担当予定です。