yuichibow’s blog

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/31

アメリカの小型機専門旅客航空会社に勤める、裕坊と申します。

f:id:Yuichibow:20200601141102j:image

こんにちは。 先週の金曜日から4日間の予定でフライトに出発。予定が変更になって、3日目の今日には結局帰宅しました。先月末に5月分のスケジュールが発表になった当初の担当便は4日間で10。それがコロナウィルス渦による減便の影響で、金曜日の出勤時までには1便に減り、いざ出発してみると、残った1便も効率化の中で他の乗務員へと割り当てられ……

 

結局は操縦席に座ることすらせず、ミネアポリスまで赴いてホテルに2日間滞在し、3日目にデトロイトへと戻っただけでした……

昨日はミネアポリスから、オハイオ州のコロンバスへのデッドヘッド(客室に搭乗しての移動のことを、業界でこう呼びます)が組まれていたのですが、出発の支度すらしないうちに乗務員管理課から電話が入り、担当便から外されたことを告げられ、そのまま1日ホテルに留まることに……ただ昨日は、電話をかけてきた担当者も雑談するだけの余裕がありましたので、本社での様子を聞いてみました。

 

すると課全体で、凄まじいばかりの超多忙を極めた状態だったらしいです……

 

欠航便によるスケジュール変更は絶え間なく2ヶ月半にも及び、その間の1日平均の欠航便はエンデバー航空全社で700便。多い日には1日における欠航便が900を超え、合計の欠航便は全社で60,000便超え……70,000に迫る勢いだったのだとか……各乗務員のスケジュールをその都度変更してはアプリを通じて通知、ニューヨーク所属の50名仕様機の乗務員たちは、4月と5月が全休になり、他の所属先でもスタンバイシフトだったパイロットは勤務日数を半分ほど削られるなど、担当者20名が総出で作業に当たり、ほぼ2ヶ月半休む暇などなかったと言っていました……

6月以降はコロナウィルスによる影響を考慮したスケジュールが組まれていましたので、欠航便は数えるほどで、やっと乗務員管理課も落ち着きを取り戻しているそうです。やれやれとひと息をついているのが、電話越しにもはっきりと伝わってきました……

 

デルタ航空の完全子会社のエンデバー航空の本社がある、この季節は新緑がとても綺麗なミネソタ州ミネアポリス。ポカポカ陽気の中での散歩は、とても気持ちがいいです。

写真は帰宅の便に搭乗するのに、ホテルの送迎シャトルから撮影。 ただそのミネアポリス。残念ながら現在は他のことで、名を馳せることになってしまっています……皆さんもよくご存知の通り、黒人男性が無抵抗だったにも関わらず、警官の過失行為によって命を落としたことがきっかけで、暴動の発祥地となることに……

 

これが瞬く間に、全米へと広がってしまいました……

今はインターネットで情報があっという間に拡散する時代。黒人男性が首が締まった状態で地面に押さえつけられていた画像も一気に広まり、ミネアポリスで始まった騒動は全米各地へと広がりました。最近では社内から通勤時の安全を確保するように、警戒を即すメールが回ってくる始末……表向きは平等な人権を謳うアメリカですが、実態はまだ人種間による差別の根は深く、今までの鬱憤が一気に爆発した可能性が強いです。

 

米国シンクタンク、エコノミック・ポリシー・インスティチュート(本部がワシントンにある非営利団体、Economic Policy Institute:EPI)が、5年前の2015年に行った人種間における時間給の変動を分析した調査によると、1979年の時点での米国黒人男性の時給は、同白人男性に比べて22.2%低かったのですが、2015年ではその格差はさらに8.8%増えて、30%超えとなったのだそうです。年間所得の中央値で比較してみても、白人世帯の2015年度の中央値がおよそ63,000ドルだったのに対し、黒人世帯ですと36,898ドルと70%の差。

 

さらには、これは2007年時点でのデータになりますが、アメリカでは上位1%の超富裕層の持ち資産が下位90%の持つ合計資産よりも多く、上位1%だけで全米資産の34%を占有、金融資産に至っては40%を保有

その格差は今でも拡大していて、中間層は今も没落が続き、格差を表す指標として用いられるジニ係数(0が完全平等で、1を完全不平等とされる係数のこと)を用いて米国の格差を表してみると、2017年現在で0.391だったそうです。(ちなみに日本では、0.339でした)この数値が0.4を超えると社会情勢は非常に不安定になり、歴史上市民による暴動や革命が起こりやすいとされているそうです。

 

アメリカはコロナウィルス対策の景気浮揚策をかなり早い段階で打ち出していて、多くの家庭では既に一時金を受け取り、失業手当も少なくとも裕坊が住むミシガン州では給付も出ていますので、対コロナウィルスの景気対策は一定の効果を示しています。一般家庭におけるここ最近の生活は、それほど困窮はしていないはず……ただ今まで続いてきた人種による給与格差、さらには超富裕層と先細っている中間層の格差の拡大などが鬱積や不満となって積もりに積もり、これが黒人殺人事件をきっかけに鬱憤を晴らす暴動へと繋がったのではないではないか、と個人的には感じています……

 

ミネアポリスでは暴動は5日連続して、5月31日(日)も収まる気配が一向になく、アトランタ、ロサンゼルス、フィラデルフィアデンバーシンシナティなどのアメリカを代表する大都市にまでデモや暴動は広がり、コロナウィルス対策によるものではなく、暴動対策としての夜間外出禁止令が敷かれるなどの異常事態……首都ワシントンでも2夜連続で警察とデモ隊が衝突して、夜11時以降は外出禁止令が敷かれているそうです……

そのストレスは分からんことはないけれど、少なくとも今は対峙する相手は自国の人じゃないでしょうに……今回の暴動に加担している人たちには、ウィルス然り、そしてもっと多岐に目を向けるなら、WHOのことや中国共産党の動きに注目してほしい……トランプ大統領が、なぜここに来てWHOへの拠出金差し止めを決めたのか、なぜ共和党民主党が足並みを揃えて、超党派で対中国制裁を強化する方向へと舵を切っているのか、その意味合いをもっと考えて欲しい、というのが本音です。

 

 

恐らくテドロス事務局長も、習近平中国国家主席も、このアメリカ国内の分断ぶりを高みの見物で見守りながら、高笑いしているに違いありません……