yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/12

米国リージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

 

コロナウィルスによる影響で、アメリカの航空会社も旅客便数が激減……普段は休日を返上してお小遣い稼ぎに勤しむ裕坊も、ここ最近は家にいる時間の方が、圧倒的に多くなっています。

そんな中、来月のスケジュールの入札期間がまた始まりました。アメリカの航空会社は、スケジュールだけでなく配属先の選択、乗務する機種の選別から有給休暇の取得日の指定に至るまで、全て入社歴順での入札によって決まります。これがアメリカの航空業界で俗に呼ばれるシニオリティ(Seniority)。

 

我が社の場合は、まずは毎月4日になると年次研修(航空会社の乗務員に課される、年に一度の座学講習、ならびにシミュレーターを使った飛行訓練)の日程の選択から始まります。 通常ですと、3日間に渡る座学を受講して、シミュレーターによる飛行訓練という運びなのですが、狭い教室に大人数を押し込めることを防ぐために、座学は今も中断中……

ミネアポリスにあるエンデバー航空本社の5階に、年次研修用の教室があります。5月12日現在、閉鎖中……

 

それに代わる座学受講のための手段として、各乗務員のスケジュールを知らせるアプリを開発した会社とともに、オンライン研修が可能となるアプリが開発できるかを、模索中なのだとか。

通常の座学研修では、3日目の最後に100問のテストも課されるのですが、それをアプリに組み込めるのか、ちょっと注目……

 

さらに座学研修のカリキュラムの中には、非常用設備の扱いをおさらいする時間も割かれているのですが、

大抵はその復習は1日目。消火器の扱い方から、救命胴着の使用法、酸素マスクの使い方などのおさらい……

 

非常用ドアの扱いなども、復習します…

 

裕坊が乗務しているCRJシリーズは、搭乗口が乗降用の階段を兼ねているので、緊急脱出用スライドは付いていないのですが……

搭乗用の開閉ドアは、通常の旅客機のドアと同じようなプラグ式(プラスチックシールドによって、ドアを機体に完全に密着させることにより、空気の漏れを防ぐタイプ)ではなく、8箇所を機械的に金具でロックし、ドアを固定する金具固定方式。そのため、8箇所あるロック確認(緑色の線で表示させる方式になっています)の場所を覚えておくことがとても重要。

 

もしオンラインによる座学講習が実現したとすると、非常用設備のおさらいはシミュレーターによる訓練の時間の一部を割いて、という流れになると思われます。

そしてまずは座学受講に先立って、シミュレーターのある訓練施設が再開となる運びになりました…

 

ただシミュレーターでの訓練を受けるに当たっても、熱や咳などの風邪のような症状が出ていないことが絶対条件にはなるようです。

そして年次研修の訓練日程の入札が終わる(各月8日に締め切っています)と、今度はいよいよ翌月のスケジュールの入札。

 

それが始まるのが毎月11日。 こんな冊子が毎月11日に発行されて、スケジュールの入札に関する要項が載っていて、

 

具体的にどんなパターンのフライトが組まれているのかも、一目見ることが可能……

このパターンを例に取ると、5日間組まれているフライトで、ひたすらデトロイトを起点に地方都市を何度も往復。1日目はワシントン・ダレスに宿泊して、2日目は4便を担当して、夜はミシガン州のグランドラピッズに宿泊、などなど……この例のパターンでいくと、5日間での担当便は合計で12。

 

こういった既に組まれているフライトのパターンが、各乗務員の希望に応じて、入社歴の長い順から振り分けられて決まるのが、アメリカの航空会社の乗務員のスケジュール。 通常であれば、7割の乗務員は既に担当便が確定したスケジュールを割り当てられるのですが、ここ最近の需要減に対応する形で、担当便もフライトパターンも激減。裕坊が所属するデトロイトの場合、通常の月はおよそ300のパターンが組まれ、11月の感謝祭や12月のクリスマス、或いは夏休みシーズンなど、移動客が増える時期になると400ものパターンが組まれるのですが、来月はデトロイトでのパターン数は111。

 

最繁忙期と比べると、およそ4分の1………

そのため、乗務員の過半数デトロイトでも6割のパイロットが自宅待機に相当するリザーブと呼ばれるスタンバイシフトになりました。ニューヨークに至っては、8割の乗務員がスタンバイシフトになることに…… 通常の月ですと、スタンバイシフトでの稼働日数は平均で15日(現在はスタンバイでの平均稼働日数は、およそ1人あたり6日)。

 

待機している間は、空港までが通勤圏でない場合、ホテルなり間借りしている宿舎なりで過ごさないといけないのですが、ニューヨークの間借りの宿舎などになると、2段ベッドを一つの寝室に2つも3つも置いているケースも珍しくないため、感染を広げる可能性が拭いきれません。

特にフライトが激減しているニューヨークでは、スタンバイシフトでの呼び出しからフライトの出発までの時間を、通常の12時間から24時間に余裕を持たせるなどの対応策を取ってはいるものの、車での通勤圏の者にはスタンバイシフトを選択してもらうことによって、感染へのリスクを最小限に留めるように、会社から要請が来ることになりました。 裕坊も来月はスタンバイシフトを選択せざるを得ない状況になってきています……

 

今月のスタンバイシフトの乗務員の、平均飛行時間は、月末までの予測も含めて10時間前後(通常の月だと、スタンバイでも平均40時間)…… 来月は今月以上に自宅待機の時間が増えることになりそうです……

 

 

昨日月曜日はどんより曇り空で、気温もかなり冷え込んでいたのですが、今日はまずまずのお天気…

3羽いたうち、最後まで残っていた我が家のロビンくんの雛。

 

既に2羽は巣立っていって、残っていたのがこの1羽。

最後の1羽は甘えん坊で、まだまだ巣立つことはないかな、と思っていたのですが………

 

普段は全く見かけることがない真鴨が急に裏庭にやってきて、親鳥たちが大騒ぎ……

それにさすがに面食らったのか、最後の1羽も巣立っていってしまいました……

 

まだまだよちよち歩くのがやっとのロビンくん……

 

お隣のお家の納屋の後ろへと歩いていって、そのまま姿が見えなくなってしまいました……

 

3羽とも巣立っていって、すっかり空になってしまったロビンくん兄弟の巣……

 

ただロビンくんたちは、巣立ったあとしばらくは育った巣の近くをウロウロしているらしく、

今日はまだ小さいロビンが、木の枝に止まって、親鳥に餌をもらっている姿も見かけました。写真で捉えたかったのですが、捉えられなかったのが残念……

 

 

しばらく、ロビンの雛の姿を追う日々が続きそうです。