yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/22

米国リージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。こんにちは。

裕坊一家が住んでいるアメリカの中西部、自動車の町があるデトロイトで知られるミシガン州は、3月に非常事態宣言が出され、今も外出禁止令が発令中。航空機による移動客は激減していて、ここ最近の搭乗率は軒並み一桁台……裕坊が乗務しているリージョナルジェット機の運航便数も激減して、今日4月22日の我が社のデトロイト出発便は、予定されていた89便のうち21便のみの運航。運航率26%…… 各路線の運航便数を大幅に減らすことによって、対応をしています。

 

そんな中、明日から3日間にかけてのフライトが入りました。夜になってメイン州ポートランドへと向けて出発し、2夜そのまま滞在。金曜日は到着先のホテルで、1日過ごすことになりそうです…

アメリカでは地方ですとホテルの部屋もかなり広くなり、動き回ることができるスペースも十分にあるので、長時間過ごしていてもあまり苦にならないのですが、さすがに最初から1日滞在することが分かっていて、しかも外に出られないとなると、何か考えとかんといかん…… 本を読むのもいいし、久しぶりに映画鑑賞も検討中……

 

そんな中で最近気になっているのが、『コンテイジョン(Contagion)』と呼ばれるホラー映画。

スティーブン・ソダーバーグ監督制作、2011年に公開。ナインティナイン岡村隆史さんもオススメされていたように記憶しています。映画の中の脚本自体が、現在起こっていることとあまりにも酷似……コロナウィルスの蔓延を予言していたのか、というくらいにリアルな仕上がりになっているのだとか……

 

咳をしている人が触ったものから感染が広がって、瞬く間に世界中に蔓延。学校の休校や町の封鎖が各地で起こり、病院がパンクして体育館が感染者の収容所になり、死者が墓地でもないところに並べられ、死者からも感染するからと葬儀ができなかったり、などなど…………感染に気づいた医師が自らも罹患して死去したり、感染者が公共施設のドア、手すり、エレベーターのボタンなどに触れ、それも感染源になったりなど……

最近よく耳にする感染のパターンまでが、あまりに似すぎています……

 

この映画では、世界保健機構(WHO:World Health Organazation)やアメリカ疫病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)を実際に取材し、疫学の専門家からのアドバイスを受けた上で制作されたのだとか……

2002年から37か国にかけて流行したSARS(Severe Acute Repiratory Syndrome:重症急性呼吸器症候群)から危機感を持っていて、SARSの時以上の世界的疫病蔓延に危機感を抱いたのが、この映画制作のきっかけになったのだそうですね。ちなみにこの映画の中では、ワクチンが開発され、蔓延の収束で完結するようです。Netflixでも見られるというこの映画、ちょっと気になっています。

 

コロナウィルスに対するワクチンの医療への投入には、もうしばらく時間がかかるでしょうが、市販薬、あるいは既に開発されている薬の中には、コロナウィルスに対して劇的な効果を見せているものもいくつかあるようですので、早めの思い切った投入をお願いしたいです。石田純一さんはアビガン投与から3日ほどで平熱に戻り、脚本家の宮藤官九郎さんもアビガンの投与で症状が改善、4月7日に退院されたと聞きました。アビガンは妊婦以外の投与では比較的安全な治験結果も出ていますので(動物実験で、一部の胎児に催奇形性)、1日も早い承認が待たれますね。

 

 

ミシガン州では州知事の意向で、年度末まで(2020年6月末まで)学校が全て閉鎖になることが既に決定しています。対象はキンダーガーテン(1年生より1学年下の、小学校就学前の幼児教育期間)から12年生(日本でいう高校最高学年に相当します)まで。従って、現在高校1年生(9学年目)の息子くんは、今年度の残り日数の休校が決定済み……

 

ただ5月に大学で通用する単位を得られる試験があることから、息子くんは自分の寝室に机を持ち込んで、猛勉強中………科目は世界史……

理想は恐らくこんな感じの部屋なのでしょうが、我が家は築40年とかなり古く、寝室がかなり狭いので到底これとは程遠いお部屋……勉強内容は、親が手伝える範囲をとうの昔に超越しておりますので、裕坊ができることといえば、見守ることだけ……インターネットを使っての試験になりますので、通信環境だけは頭に入れておかないといけないかも知れません……

 

 

愛妻ちゃんは、私立幼稚園のアシスタントの先生。州知事の定める休校の対象には入らないのですが、校舎を共有する小学校の休校が既に決まっていて校舎を使うことができませんので、実質は今年度いっぱい、6月までの休校がほぼ決定しています。法律上は、失業者扱い……ダメ元で失業保険を申請していたのですが、審査に通って、微々たる金額ではありながらも保険金が入ってきました。

 

電話や書面による受付もできるようですが、最近では役所に提出する書類も、ほとんどがインターネット経由になりました。

日本でマイナンバーに相当する社会保障番号(ソーシャルセキュリティーナンバー)、また雇用主を識別する納税者識別番号(Taxpayer Identification Number)などを記入して、勤務状況、失業した時の状況などを入力。昨年度1年間の収入までが表示、その場で保険金額までが表示されます。定期的に職探しの状況などを再入力して、まだ職が見つかっていないことが確認されると、翌日には入金……

 

ニュースでは大人1人あたり、1,200ドルが入金されるとなっていましたが、それはあくまでフルタイムでお仕事をしていた場合に限られ、パートタイムですと、その半分ほど……それでも各家庭とも家計が苦しい中の助成金ですし、給付を決断したトランプ大統領には、裕坊一家も感謝しかありません。

企業向けの助成金の給付が本格的に始まるのは、これから……

 

ただフルタイムであれば1,200ドルの満額の助成金を受け取れる環境の中にあっても、職場への復帰を希望する声が後を絶たず、各地で外出制限の解除を求めるデモが相次いでおりました……

その声に押されるように、外出規制を解除する動きがいくつかの州、もしくは市において始まっています。

 

その代表がジョージア州州知事ジョージア州アテネ出身のブライアン・ケンプ氏。

よく調べていると、公職選挙法違反スレスレの不正投票の噂が絶えない政治屋さんのようです。そのことは置いとくとしても……

州内の各自治体、市長などとの相談なしに、ケンプ氏の一存でどうやら決めてしまったようで、各市長さんからはブーイングの嵐……州内の最大都市であり、州都でもあるアトランタ市の市長ケイシャ・ボトムス氏ですら「懸念している」と当惑……

 

市独自に都市封鎖解除を決断してしまったところもあるそうです。その先駆けになったのが、ネバダ州のラスベガス。

写真はラスベガスのキャロリン・グッドマン市長。MSNBCテレビにおける番組の中で、

「我々は西ナイル熱SARS鳥インフルエンザ大腸菌豚インフルエンザ、ジカ熱などに絶えてきました」

裕坊思うに、コロナウィルスは、感染性、致死性もこれらとは全く比較にすらならないのですが……

 

「ラスベガス市では、151名の方が命を落とされましたが、皆既往症をお持ちだった方ばかりです」

裕坊思うに、社会的距離を取ることによって、やっとこの数値にとどまっているはずなんですが………

 

「ウィルスとの闘いで手一杯だからといって、人々をずっと職場から遠ざけて、市民の生活や次の世代の子供の生活までダメにしろ、と言うのですか」………

 

だ、そうです………………

闘う相手を何か履き違えてる気がするのは、裕坊だけなのでしょうか….……

 

ハーバード大学公衆衛生大学院のマーク・リプシッチ疫学教授は、こうおっしゃったそうです。

「営業再開が広がれば、再び感染拡大が起こるのは、ほぼ間違いない。人々の接触が増えるのを、ウィルスはひたすら待っている。ウィルスの思う壺だ」

この言葉こそが、裕坊は的を得ていると思います。

 

 

今私たちが闘っている相手は、人間ではなく、ウィルスなのです……