yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 3/28

米国のリージョナル航空会社に勤める、裕坊と申します。

今週の土曜日は、月曜日から続いた合計で6日連続のフライトの締めくくりの日でした。大量の欠航便の影響を受けて、スケジュールは目まぐるしく変わり、最後は全く予定に入っていなかったフロリダ州ジャクソンビルを早朝に出発する便を担当。

 

ジャクソンビル空港の、保安検査場へと向かう通路………

お客さんの姿は、ほとんど見ることができません……… ゲートの係員の方によると、元々は14名分の予約が入っていたそうなのですが、結局搭乗されたのはわずか8名でした……

 

着いたのは、ニューヨーク・ケネディ空港。第4ターミナルのB43が今朝の到着ゲート。

後方に、全日空の国際線主力機、ボーイング777型機が止まっているのが見えます。

 

こちらは3日前の水曜日の撮影した写真。恐らく東京からニューヨークへの太平洋越えの路線も、実質運休状態になっているのでしょう………

全日空は、ニューヨーク・ケネディ空港では第7ターミナルからの発着。デルタ航空とその系列が主に使う第4ターミナルからはけっこう離れていて、普段はこれだけの至近距離で白と青帯の機体を見ることはないのですが…………各空港会社の国際線減便の影響を、こんなところでも垣間見ることになってしまっています………

 

お昼前には、デトロイトにも到着。東京行きデルタ275便の出発前だったとあって、裕坊がデトロイトへと帰ってきた時間帯は、ターミナル内もそこそこ混雑しておりました。

ちなみに、先日成田空港からのデルタ航空の発着は全て終了し、東京発着のデルタ航空便は全て羽田空港発着になっています。

 

欠航便が目立つ、出発便の案内板。

当面は元々の予定から7割削減しての運航になるそうですので、ご利用の際は運航状況を確認されることをオススメします。

 

その削減の影響は、パイロットの各自のスケジュールの発表にも影響が及んでいて、普段よりも1週間遅い昨日3月27日(金)になって、やっと4月のスケジュールが発表。ただそれもまだ確定したわけではなく………

この上の表が4月の裕坊の最初の予定表だったのですが……

 

一晩のうちにかなり担当便が削減され………

 

4月23日(木)で、上の表と比較してみると…………

全便欠航………………

 

ちなみみその週は4日間全て担当する予定だった便が全て欠航になり、4日間自宅待機となりました…

 

 

ただ航空会社の状況を見ていると、エミレーツ航空のように数ヶ月に渡って全面運休を決めた会社もありますし、中には会社の閉鎖を決めてしまったところも………

 

ユナイテッド航空の下請け会社として飛んでいたトランスステイツ航空に続いて……… コンパス航空も、会社の閉鎖を発表………………

 

今年一杯にて運航を終了すると発表していたトランスステイツ航空とは、実は同じ親会社(トランスステイツ・ホールディングス)。

 

元々はデルタ航空との合併前の、ノースウエスト航空デルタ航空と2010年に合併)のパイロット用に、不景気などによる一時解雇時の失業保険的な存在として立ち上げられた会社でした。

立ち上げ当初こそ、ボンバルディエ製CRJを暫定的に2機保有していましたが、すぐに主力の機体もエンブラエル製の、当時としては最新の技術を誇ったE175型機が導入され、しかもリージョナル航空会社としては当時は破格の労働条件だったこともあり、リージョナル航空会社に勤めるパイロットの間では、大人気の会社でした。

 

その後親会社だったノースウエスト航空は、デルタ航空との合併により……

 

ノースウエスト航空の塗装は完全に消え去り、名前もデルタ航空へと変遷……

 

それに伴い、コンパス航空もデルタ航空の下請けを担うようになったのですが………

その後数年してコンパス航空は、リージョナル航空会社を経営するトランスステイツ・ホールディングスへと売却されます……デルタ航空は下請け先の航空会社の絞り込みに追われ、コンパス航空は元々の親会社であったデルタ航空との契約の打ち切りを通告されることに……

 

その後ビジネス機会を窺ったトランスステイツ・ホールディングスは、アメリカン航空を新しい契約先として締結。西海岸を中心にまずまず需要もあり、ビジネスはそれなりに軌道に乗っていたようなのですが………

そこへ持ってきて、今回のコロナウィルスの大流行………アメリカン航空といえども、デルタ航空同様、旅客座席供給数を大幅に削減する必要に迫られ、4月でもって契約を打ち切ることになり、4月7日(火)がコンパス航空最後の運航日となってしまいました…………

 

一時はリージョナル航空会社のパイロットたちの憧れの的だったコンパス航空。大変残念な結果になってしまいました。各社とも軒並み採用凍結状態になり、しばらくはコンパス航空のパイロットも忍耐を強いられるでしょうが、また景気が回復してきた暁には、旅客機のコックピットへと戻ってきていただきたいです。

 

 

各製薬会社、医療機関では治療薬、ワクチンの開発への取り組みが始まっていますが、少しでも早い明るい兆しを見出すためにも、一刻も早く治療薬、もしくはワクチンの完成を祈りたいですね。 そんな中で今日裕坊が見つけた明るいニュースが1つ。

 

日本は中国から早い段階でコロナウィルスが入ってきていたにもかかわらず、感染の速度が遅く、死者の数の増え方も現在の欧米諸国に比べるとかなり穏やかで、その理由に注目されていましたが…… ひょっとすると、私たち日本人が子供の頃に受けたBCGワクチンが功を奏しているかもしれない、との情報。

科学的検証はこれからしていかなくてはいけないようですが、これまでの研究で、BCGを使うことで新型コロナに似たウィルスに感染した人の割合が減ったというデータが出ているのだそうです。BCGワクチンは、元々人間が持つ免疫機能を強化する作用があるとされ、近いうちに臨床試験も開始されるとのこと。

 

さらに注目なのは、BCGワクチンに使用される株について。日本での接種に当たっては、BCGワクチン株はロシアや東欧、さらにはポルトガルが使用されるものと共通していて、その地域ではコロナウィルスの感染拡大が非常に緩やかなんだそうです。

近々、オーストラリア南部メルボルンにある小児医療研究所「マードック・チルドレンズ・リサーチ・インスチチュート」にて、臨床試験が開始されるそうです。コロナウィルスの感染が拡大しているアメリカ、イタリア、スペイン、オーストラリアなどは、BCG接種を実施していないとのこと。もしこれが科学的に根拠があるものと解明されれば、コロナウィルス撲滅の1つのきっかけになるかも知れません。

 

大いに注目です。