yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 11/1

皆さんこんにちは、「再び仕事モードへと戻ったパイロット」裕坊です。

11月になりました。まだ暦では秋のはず……

 

誰に聞いても11月は秋と答えます。枕草子では、清少納言は、秋は夕暮れと言いました。夕日が赤く、カラスや雁などが遠くへと飛んでいくのを観察する一文が出てきますが、ミシガン州のように、ほとんど毎日がどんより曇り空になって、夕日が見えなくなると、それは冬を意味するのか?…………………

 

 

まだ心の準備ができてないんやけどな〜〜〜〜…………

 

 

それでも早速昨晩、ハロウィンが終わりを告げる頃、初雪を見てしまい…………

いや、ただの幻想だったんやろな…………

 

うん、見てない、見てない……………

降っている雪、積もっている雪というのは、ただ家の窓から眺めるだけでいいのなら、気分がいいです。コーヒー豆を挽き、チョコレートをつまみながら、しんしんと音もなく雪が降り、建物も樹々も外に止まっている車も関係なく、白くふんわりと包まれていく様子を眺めるというのは、とても優雅なものです。俳句の一句でも詠みたくなるでしょう。

 

実際に小林一茶は、外でしんしんと降る雪を眺めながら、こう詠みました。

 

うまさうな雪がふうはりふうはりと

風情がありますね。

 

 

でも雪道を走るとなると、それは全く別のお話………………………

 

 

そもそも寒い上に、人間の足には歩きやすく、車のタイヤが密着するはずのアスファルトがツルツルに滑るのは…………裕坊が想像できる範囲を超えている………… 裕坊が乗っているセダンくんともなると、駆動輪が前輪だけの2輪駆動。しかもタイヤはノーマル。アメリカの北部の州で売っているタイヤには、若干コンパウンドが入っているので、雪道も走れなくはないですが、やっぱりスタッドレスほどの安定感はありません。

 

出勤は当然億劫になります…………

仮にスタッドレスをつけて4輪駆動の大型ピックアップに乗っていたとしても、氷の上ではほとんど何もできません。実際、雨氷が例年以上にたくさん降った昨年の冬は、雪道に慣れているはずのミシガンのドライバーたちが、あちこちで事故を起こしておりました……

 

道路の雪や氷を、簡単に溶かすことができる技術、誰か発明してくれないかな〜〜…………… もし道路の雪を完全に、しかも安全に溶かすことができて、雪道の心配をしなくてよくなる発明が本当にできたとしたら、これは間違いなくノーベル賞ものです……雪国での雪は、本当に冗談ごとではございません……………

 

信濃国での雪が降る様子を見ながら、小林一茶はこう詠みました。

 

雪散るやおどけもいへぬ信濃空……

これ、本当に本当です。

 

ちなみに、昨年の冬は、デトロイト空港ですら完全閉鎖に陥るほどの雨氷が降って、あちこち氷だらけになったこともありました。空港ですら閉鎖になるくらいだというのに……通常の会社は出勤???

 

ありえんやろ〜〜……

 

雪道を重そうに前を進む大名行列を見ながら、小林一茶は、こうも詠みました……

 

づぶ濡れの大名を見る炬燵(こたつ)かな……

参勤交代でいやでも雪道を行かねばならない大名たちも、恐らく大変だったことでしょう………

 

寒空のもとでは、空気も人間同様に縮みます。風も強くなって、飛行機もこの時期は揺すられることが多くなります。状況は大名行列と同じ………

 

現代風に詠むとすると、

 

荒れ空の飛行機を見るこたつかな………

とでもなるでしょうか……………

 

 

ということで、11月まではここ2ヶ月のパターンに倣って、フライトをまたも隙間なく入れてしまいましたが、休日を返上してまで、しゃかりきに「出稼ぎ」するのは、今月まで………12月から2月までの3ヶ月間は、「時々飛ぼうかな」モードになります。雪が止んでいて、道が普通に走れそうであれば、休日返上で飛ぶこともありますが、冬の間はこたつにくるまる「ぬくぬく」モード…

ただ今年から高校に通う息子くんの勉強を手助けするために、今年から4年間は「こたつなし」の冬を頑張って過ごすことに決めました……

 

今月11月の前半は、日程的にはほとんど休みのないスケジュールにはなったものの、1日1日のスケジュール自体は、かなりユルユル。

今日はアトランタから、夜遅くにフロリダ州タラハシーまで。アトランタまでは「コミュート」。いわゆる飛行機通勤……ところが、アトランタまでのデトロイト発の直行便は、全便満席。しかも各便とも、10席以上のオーバーブッキング……

 

ということで、直行便は諦め、今日はインディアナ州の南西の端にあるエバンズビル経由で、やってきました。かつて愛機としていた50人乗りのCRJ−200型機に、お客さんとして乗って……

客席は、900型機と比べても、かなり狭いです… …

 

そのかわり、200型機は操縦性はかなりいいです。ポルシェのような 機敏さがウリ……

 

エバンズビルは、緯度的にはほとんどアメリカの中間で、中西部と南部のちょうど境目あたり。この辺りは、本当に何もないところが延々と続くのが特徴……

 

来る日も来る日も、こんな景色を見ながら飛んでいます……

 

のどかなエバンズビル空港………

 

エバンズビルでは、3時間待った上で、アトランタまでやってきました。

これから、まだ雪が一度も降っていない「南国・アトランタ」から「リゾート地がいっぱいある」フロリダ州の小さな町へとお出かけして参ります。