yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記

皆さんこんにちは、リージョナルジェット機フロントオフィス担当、裕坊です。

昨日はフライト2日目。金融の町、ノースカロライナ州のシャーロットを夕方に出発して、ニューヨークを経由し、デルタ航空の基幹空港の一つであるオハイオ州シンシナティまで行くはずが………

最初のラガーディア空港行き、結局4時間遅れ…………

 

シンシナティへ行く便からも外されることになり…………

結果的に昨日と同じく、シャーロットへと戻ってくることになりました………

着いたの、結局夜中過ぎ………

 

ヒンヤリのお天気が続いていたミシガン州にすらいきなりやってきた夏日……アメリカ大陸は、気象学的にも積乱雲が発達しやすい環境にあるようで、気温が上がってちょっと大気が不安定になると、あっという間に積乱雲発達の土壌の出来上がり……

これはニューヨークの木曜日のレーダー画像。

 

レーダー画面にはっきりと映るくらいに水分を含んだ雨雲が上がる季節になってくると、ただでさえ世界で指折り3本の中に入る忙しい空域を持つニューヨーク・メトロ地域。(はっきりとしたデータがないので、世界でどの空域が1番忙しいのかを検索することはできませんでしたが)狭い空域を積乱雲が覆い被さると、さらに使える空域が狭くなって、航空管制による離着陸数の調整が発生します。

 

これが原因で起こるのが、連邦航空局による、出発遅延………

 

皆さんがアメリカ国内でフライトでのお出かけの時、目的地に出発遅延があるかどうかを確かめるのにとても役立ちますので、是非ご参考までに。

「FAA Delays」とグーグルで検索すると、このウェブサイトが真っ先に立ち上がってきます。

これがFAA、連邦航空局による遅延情報。上の画面は、実際の昨日木曜日の情報です。

 

ニューヨーク周辺の画面を拡大して、その様子を詳しく見てみると………

裕坊の木曜日の目的地であるラガーディア空港を初め、ケネディ空港、ニューアーク空港と、ニューヨーク周辺の主要旅客空港がオレンジ色、ティーターボロウ空港が赤色になっているのが見えます。ここでのオレンジ色は出発遅延(大抵の場合、平均で1時間前後)、赤色になると大幅な出発遅延で、大抵の場合、離陸停止がかかっています。

 

そしてラガーディア空港のオレンジ色の点を押してみると………

平均の遅延が、2時間24分となっておりました……………

 

次々と建物の改修、建て替え工事が進むアメリカの空港旅客ターミナル。

上の写真は、ニューヨークのマンハッタンに1番距離が近いラガーディア空港でも改修工事が急ピッチで進んで、一部では既に新しいターミナルの供用も始まっています。

 

それと同様、アメリカ国内では空域システムも次々に改訂が進み、今やほとんどGPSによるナビゲーションが標準になってきていて、

国内の各空港からの出発経路、到着経路は、とても効率がいい、GPSをベースにした経路設定になっているところがほとんど。デトロイトクリーブランドインディアナポリスでも半年ほど前に、新到着経路の供用が始まって、遅延が大幅に改善されるようになりました。

 

GPSをベースにした経路設定ですと、どこにでも目標地点を設定して、そこに直線で行けるようになるのが強み。

地上の信号を頼りにした航法だと、どうしてもジグザグを避けることができず、効率が下がってしまうのです。

 

出発経路、到着経路にGPSを応用したルートを描くと、航空管制の視点で見ても、空域が効率よく使えるようになるので、

今までと同じ空域により多くの到着便、出発便を取り込むことが可能になるのです……

 

ところがニューヨークでは、空域の整理が遅々として進まず………各空港の到着経路は地上からの信号発信基地を基点にした経路が元になっているので、昨日木曜日のような悪天候が一度発生すると、数時間単位での遅延が発生…………

 

ニューヨークというと、3つの主要旅客用空港に加えて、ハドソン川を挟んでマンハッタンからのアクセスがとても便利な、チャーター機が中心に発着するティーターボロウ空港、と忙しい空港がひしめき合う、世界でも有数の超多忙空域。

ですから、仮にGPSによる到着経路が施行になっても、ある程度の渋滞は免れないかも知れませんが……

 

何しろニューヨークというと、裕坊が真っ先に思い浮かべてしまうのが、コレ………

 

ちなみに、ニューヨークの運転手さんたちは皆、とても「お急ぎの方」が多く、信号を見るのを忘れていても、信号が青になったことを後ろから「派手な音」で知らせてくれます。

 

地上と同じく、空もいつも大渋滞………

これだけのおびただしい数の発着便を……

 

空港管制塔から、

 

目視中心に、各航空機の離着陸や、地上での滑走路からの航空機の行き来を管理したり……

 

ARTCC(Air Route Traffic Control Center)と呼ばれる巡航中の航空機を管理する部門で、

 

こういった画面を見ながら、

航空機同士の安全な間隔を保ったり、

 

こちらはTRACON(Terminal Radar Control)。

使うのは、ARTCCとほぼ同じレーダー画面。空港を出発した航空機を巡航軌道へと誘導したり、空港周辺に入ってきた各航空機を、ほぼ等間隔で滑走路へと誘導したりします。

 

発着便数のことを考えると、とても彼ら管制官の方々には、頭が上がりません……

 

管制官たちも、少しでも早く各航空機が、少しでも早く、それでいて安全に目的地に到着できるように尽力してくれていますから、そこには文句を言うことはできません……

 

あとは、空域の改変が進んで、遅延が少しでも緩和されることを、祈るのみです……

 

 

昨日はラガーディア空港を風のように出発して、シャーロットまで戻ってきましたが……

到着するのは、夜中12時過ぎ。思わぬ形で、シャーロットへと到着する便の操縦席の中で、人生の区切りの一つにもなる、50歳の誕生日を迎えておりました。

 

シャトル乗り場までも、足取りは重く…………

 

夜遅くまで空いている、シャーロット空港の食材売り場も、昨日到着する頃には既に閉店………

 

昨夜は遅くなっていたので、食べるのはガマン…………

 

今朝になって、人生50代に到達後の、初めてのお食事をいただいています。

 

昨日になってまたも変更になった、裕坊のスケジュール。既に遅延が出ているニューヨークへ、夕方遅くの出発です。