yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 5/12

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

今朝のミシガンは朝からシトシトの雨。昨夜は力尽きてコタツの中に足を突っ込んだままスヤスヤ。2時ごろ目が覚めてみると、雷雲が集まって大運動会の真っ最中。裕坊の住む界隈は比較的新しい電線設備も整っているせいか、幸いなことに停電することはまれ。それでも夜中にときどき電気がチラチラとなっていました。

雷雲の運動会こそ終わったものの、朝になっても雨が止む様子はなし。

ただ我が家のリンゴくん、やっと白い花を咲かせ始めました。

今日は本来なら息子くんの春サッカーの試合の日。ただ雨が午後になっても止まず、結局順延。今年は本当にこんなのばっかり…………………

まだ息子くんが幼稚園に通っている頃は、サッカーとともに野球もさせてましたが、日本や韓国、ベネズエラやドミニカなどの一部の国を除くと世界的にはマイナーだけあって、参加しているのはほとんどが地元のアメリカ人。息子くんが参加している時も、そのほとんどが白人の子供達ばかりでした。

それとは対照的にアメリカではマイナーとされるサッカー。国際的には一番メジャーなスポーツで、国際色も豊か。息子くんの参加しているチームにも、インド出身、イラン出身、或いはアフリカから来たばかりの家族やイタリア系の家族など、国籍も様々。そして今年の春からは新しくネパール出身の家族の子供が1人加わります。実はネパール、裕坊がいずれ訪れてみたい国の一つ。写真を撮るのが大好きな裕坊。裕坊は登山家ではありませんが、一眼レフ抱えて様々な山の写真を撮るのは、叶えてみたい引退してからの夢の一つです。

ヒマラヤ山脈の南側の麓に位置して、国全体が高台にあるネパール。首都のカトマンズでも標高は1,400メートルほどになるのだそうです。そのカトマンズからおよそ600キロほど東へ行くと、そこにあるのは皆さんよくご存知の世界最高峰エベレスト。標高なんと8,840メートル。そのエベレストの登山口に当たる麓にルクラという小さな町があります。そこにはエベレスト登頂を目指す人たちが行き交う空港が…………「世界の中でも難易度が高く、危険な空港」で名高いルクラ空港。10年ほど前、人類エベレスト初登頂を成し遂げた2人の登山家、テンジン・ノルゲイ氏、エドモンド・ヒラリー氏に敬意を評して、テンジン・ヒラリー空港と改名されたそうです。

どの写真を見ても、まああり得ない景色が並びます。裕坊的には世界で一番の技術を持つパイロットと断言していいのではないか、と思います。

パイロット技術を試される空港としては、ホンジュラスのトンコンティン空港やセントマーティンの、海岸のすぐ横にあることで有名なプリンセス・ジュリアナ空港、あとネパールのすぐお隣ブータンのパロ谷にあるパロ空港(ここも裕坊が行ってみたい所の一つです)、古くは香港啓徳空港などが有名ですが、ここルクラは裕坊的には間違いなく難易度世界ナンバーワン。

何しろ高台にあって天候の急激な変化に晒されるだけでなく、丘の斜面の立っていて片側は急な崖、反対側にはゴーアラウンドは決してできない高い山がそびえます。さらにさらに驚くのが全長たったの460メートルというセスナでも技術が必要とされる滑走路の短さ。ここにカトマンズから10人乗りの双発機がやってきます。

裕坊はアメリカに来る前にニュージーランドでフライトトレーニングを始めたのですが、そこにあったモトエカ空港、のどかな田舎にある空港で、往来は主にトレーニング用のセスナ。決して長くはない滑走路、それでも全長720メートルほどありました。その約3分の2。しかもカトマンズからさらに標高が高くなり、空港の高度は海抜2,800メートル。フィートに換算するとほぼ9,000フィート。この高度だと、セスナクラスの飛行機だと空気が薄くなりすぎて性能も操作性もかなり落ちてしまいます。

さらに切り立った急な斜面にアスファルトを敷いていて、滑走路の反対側は高い斜面になっていますから着陸復行はまず不可能。裕坊たちの場合滑走路に入る段階でアプローチが安定しない時はゴーアラウンドといって着陸を中止して一度上昇して滑走路を離れ、着陸のやり直しをするのですが(そしてそうするよう訓練時でも指導されるのですが)、それがまず出来ない立地条件。チャンスは一回のみ。一旦着地した以上、あとは止まる以外に選択肢はないのです。ネパールの首都カトマンズからは5社が乗り入れをしているようですが、エベレストへの登山口がありますので、いつもフライトは満席なのだとか…………………

残念ながら王政が廃止になった2008年以降は各地で賄賂が横行し、インフラの開発は進まず、あちこちで「世界で一番危険な」と冠した道路や斜面、崖などがあちこちに存在する高山大地の国。ただ地理的にお互いの協力がなければとても暮らしていける条件にはない土地ですので、暮らしの中でお互いが協力し合う地盤は整っているようです。引退したあと是非訪れてみたい国の一つです。

明日はミシガン州、取りあえず曇りながらもお天気は持ちそうな感じ。もう終わってしまってるかも知れませんが、桜で有名な場所を訪れる予定にしています。

 

裕坊