yuichibow’s blog

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/5

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

昨夜予期せずしてクリーブランドに足止めとなって、もう一晩をホテルにて過ごした裕坊。既に飛行機は昨夜のうちに別の機長を迎え入れて既にデトロイトへと出発しているので、今日は操縦を担当する飛行機はなし。ということで、お客さんとともに客席に乗ってデトロイトへと帰ります。

実はクリーブランドでは6年前のハリケーン・サンディがニューヨーク地域に上陸してケネディ空港へ出発することが出来ず、2晩も続けて足止めを食ったことがありました。このときはニューヨーク・ブルックリンの西にあるステイトンアイランド全体がほとんど水浸し。ケネディ空港も被害を最小限に抑えるために空港が数日に渡って完全封鎖。当時ケネディ空港に所属していた裕坊、身動きが取れず飛行機とともにクリーブランドに2日間予期せぬ滞在を余儀なくされることに。

このときはケネディ空港も若干水に浸かってしまったものの、甚大な被害はなし。このとき激しく洪水状態となって供用がしばらく再開できなかったのはラガーディア空港でした。ボーディングブリッジのすぐ下まで水が来ていて、こんな状態に……………

ただでさえ狭い地域に三角形状に3つの空港が位置し、しかもその往来が激しいニューヨークの空港、ここまで激しくなくてもちょっと天気が下り坂になると、ニューヨークへと出発する便は離陸待機、或いは離陸停止状態へと陥って、各便とも離陸が出来なくなって出発地で足止めを食うことになります。裕坊もニューヨークに所属していた当時、往復便のうちの復路便を飛ばせず、到着した先で足止めを受けて余分な宿泊をしたことが何度となくありました。

フライトに大きく影響する悪天候の下では通常運航はまず見込めません。ハリケーンやブリザード級の大雪が予想されるときは、航空会社は大抵ほぼ全便を欠航。安全を確保できないのであれば欠航以外には航空会社には選択の余地はなし。運航が可能な範囲の悪天候の場合でも、航空管制の離発着対応可能便数の大幅減が予想される場合は、運航する便を絞ってそれ以外を欠航に。このとき航空会社では、通常の運航が見込めないことを予め従業員全員に告知。デルタ系の航空会社では、我がエンデバー航空を含めて、これをIROP(Irregular operations)と呼んでいます。

当然クルーのスケジュールも大きく影響を受けることに。最近ではオンラインで自らのスケジュールの変更をすぐ把握することが出来るようになりましたので、電話による確認作業も必要なくなりましたが、以前は本社にある乗務員配置課に電話を入れて自らのスケジュールを把握する以外にはありませんでした。待ち時間が1時間などザラで、欠航が発表になって変更後のスケジュールを把握するまで、ひたすら待ちぼうけすることは日常茶飯事の出来事だったのです。

現在はデトロイトが所属先の裕坊。たとえ1日宿泊滞在が伸びようとも次の日にデトロイトまで帰ってくることが出来さえすれば、あとは車を運転して家路に着くことができます。ニューヨークに所属していた当時は、一旦ニューヨークまでフライトを担当したあと、デトロイトへの足を確保しなければなりません。これが実は他州から通うパイロット達の悩みのタネ。なぜなら振り替えをされた乗客たちで既にほぼどの便も一杯で、クルーの家路への足を確保できないからです。

そんな時に活躍するのが、操縦席に設けられたジャンプシート。通常は試験官がパイロットたちの技量を審査する路線審査用に使われます。連邦航空局の職員が乗ってくることもあります。機長、或いは副操縦士として飛ぶだけの技量、資質、能力を維持できているかどうかを試験官が原則1年に1度の割合で審査。ただ普段はなかなか使われることがない座席でもありますから、パイロットが通勤用に所属先へと通う足の手段として使われることも少なくないのです。

あくまでも審査用、或いは観察飛行など、特別な用途にだけ使われることを前提に作られていますから、リクライニングなどは原則的にはなく、背もたれなどは操縦席のドアにピッタリと張り付いたように垂直に立っているものがほとんど。乗り心地は飛行機の中でトイレよりはまだマシという程度。2時間以上も座っていようものなら、大抵背中に張りが来てしまいます。

裕坊もこのジャンプシート、よくお世話になりました。悪天候で運航が乱れると、フライトは大概オーバーブッキング状態になって通常のお客さんですら乗り過ごしが出ますから、家路に向かうクルー用の座席などは残りません。業務外で搭乗する場合、あくまでスタンバイで座席が空いている場合に限って、客席に座ることが出来るのです。今日の裕坊のデトロイト行きの搭乗は業務の一部。座席も確実に確保され、お客さんとともに客席内の座席に座ってデトロイトにお昼頃戻りました。

愛妻ちゃんと息子くんの春休みも残り3日。誕生日が近い愛妻ちゃん、明日中には運転免許の更新をしないといけません。明日を逃すと来週以降の自らのお仕事に差し支えが出てしまいます。裕坊も愛妻ちゃんに付き合って、州のオフィスへと午前中に出かけます。

 

裕坊