yuichibow’s blog

リージョナルジェット機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/3

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマン裕坊です。

今日はオハイオ州シンシナティを出発し、ダラスを経由してミネアポリスまで。そしてカナダのモントリオールまでやってきました。シンシナティ空港にはお昼過ぎの1時前にショーアップ。鼻が昨日に比べてかなりラクになり、また頑張れると意気揚々と空港のターミナルのボードを見ると……………いきなり1時間の遅れ………………………コント55号のお馴染みフレーズが頭をよぎります………………なんでこ〜〜なるの???

昼食を調達できるから、まーいーか。フードコートのテーブルに陣取って、アメリカ人の間で大人気のチキンサンドイッチを頬張ります。Chick Fil-Aという名前のチキンサンド屋さん、どこに行っても大行列。チキンサンドイッチもさることながら、ここはレモネードもなかなかのお味。うん、確かにウマイ。サンドイッチ片手にiPad開いてどんなことになっているのかを検索してみます。

どうやら飛行機はボストンからやって来ているようです。実際に何が起こっているのかは知る由もありませんが、またしても季節外れの雪が降って、恐らく除氷作業をするのに順番待ちになったのでしょう。離陸までに1時間以上の時間がかかっていました。

大きな遅れは今年の冬の東海岸の風物詩。リージョナル航空会社のフライトは軒並み欠航になり、空港のターミナルにはフライトにあぶれた乗客たちで溢れかえります。日本の関西地区3空港に構成がとても似ているニューヨーク地方はただでさえ狭い空域にかなりの飛行機を無理やり押し込むため、ちょっと天気が不純になるとすぐに欠航遅延が相次ぎます。最近でこそ自動再予約システムが稼働して、乗客の皆さん方は変更になった予約をスマホなどで見れるようにはなりましたが、一旦フライトが遅れ出すとあとは数珠繋ぎ。

ニューヨーク地方の天気が悪くとなると、同じ東海岸に位置するアメリカの首都ワシントンや学業の町ボストンも大抵の場合、運命共同体。同じように雪雲の下に覆われて、フライトの流れが滞ってしまいます。結果的に我々の飛行機、3時間近く遅れてやっとのことでボストンを離陸。我々のダラス行きのフライトはこんな感じになりました。

今日使用する飛行機、一つ嬉しくない登録故障部品があります。飛行用書類に目を通すと、APU DOOR CLOSED とあります。エアラインに勤めるパイロットはこれ見た瞬間、顔が曇ります。大抵首を横に振っています。裕坊も相棒の操縦士ティムくんも例外ではありません。首を横に振ります。

APUとはAuxiliary Power Unitの略。実はこれ、主エンジンを縮小したようなミニジェットエンジン。ゲートに止まっているときに必要な電気を作り出し、客席内のエアコン用の空気を作り出します。いざプッシュバックしたあとは、圧縮された空気を利用して、主エンジンの立ち上げをすることも出来るスグレモノ。これが要は故障していて使えない、ということなのです。

主エンジンはかなり重いので、簡単には立ち上がりません。そこで使われるのが圧縮空気。普段であればAPUが空気をしっかりと圧縮し、圧縮された空気が主エンジンに送られてタービンは回転を始めます。エンジンの回転数が上がってきたとき燃焼室に燃料を送り込むことによって主エンジンが始動。APUが故障していると当然APUも圧縮空気を送れませんから、外部の機械を使うことによって圧縮空気を送り込むことに。手順がいつもと異なり余分な手間がかかるので、ゲートからプッシュバックするのもいつもより5分ほど遅れてしまいます。この余分な作業が加わったため、遅れは当然取り戻せず。

フライト中にスピードを上げて少しでも遅れを取り戻そうと努力します。ですがダラス空港も到着ラッシュだったとあって、巡航中から管制官による速度の調整が言い渡され、速度を落とす羽目に。遅れは取り戻せず。そしてよくよく無線交信に耳を澄ませると、後ろから同じエンデバー航空同型機が後ろをついて来ます。よくよく見てみると、彼らもシンシナティを出発してダラスまで。しかも折り返しのあとの目的地までが一緒。3つ隔てたゲートへと彼らは到着。普通にAPUが動作していたその同型機のミネアポリス行き、砂埃をしっかりと裕坊の飛行機に浴びせかけて、とっととミネアポリスへと出発していきました。その彼らから遅れること15分、またも外部の圧縮空気を利用してエンジンを立ち上げ、スゴスゴとダラスを出発し、ミネアポリスには予定から2時間半遅れでやっとのことで到着…………

遅れが取り戻せないままミネアポリスに着いた裕坊と副操縦士のティムくん、飛行機を乗り換えます。遅れが重なっている状態では本来なら飛行機は乗り換えたくないのですが、APUが動作している機体であれば、と文句を言わず荷物を棚から取り出し、次のゲートへと走ります。その着いたゲートで飛行用書類を受け取り目を通してみると、またも登録故障部品が…………………………APU DOOR CLOSED.........

昨夜は数センチ積もったミネアポリス。除氷作業のおまけまでが着いて、さらに遅れを加算することになりました。最終到着地はモントリオール。着いたの午前2時……………………今はホテルにて眠い目をこすりながら、キーボードを叩いています。

明日はまずはジョージア州アトランタを目指し、そのあとはテネシー州ノックスビルへと向かいます。

 

裕坊