yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊 2/13

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

今朝はちょっと眠い目をこすって、昨日よりも更に早い寝起き。3つのフライトをこなし、今日の最終目的地はデトロイト。愛妻ちゃんに会える日です。息子くんもきっと帰りを待ってくれている……………………………ことにしよう。明日からまた2日間のフライトに出るとは言え、ちょっとモチベーションが上がる裕坊。

4日間一緒に飛ぶはずだった副操縦士がインフルエンザで脱落した昨日から、一緒に飛ぶのは代役の副操縦士。登場するのはスタンバイのパイロット。業界ではリザーブと呼びます。病欠が出たとき、遅延が長く拘束制限時間を超えたとき、急に飛行機を回送する時などに、会社の乗務員配置係が電話をかけて呼び出します。

リザーブの場合、スタンバイで待つ日だけが会社から提示されて、実際にどのフライトを担当するかはそのときになってみないと分かりません。月初めにはどんなスケジュールで飛ぶのかは知る由もありません。しかも大抵の場合、休日が他のパイロットに比べて少なくなるので、リザーブは皆避けます。必然的に会社内で優先順位が低いクルーがリザーブになることに。

各会社の契約により規定は違いますが、ロングコールリザーブ、ショートコールリザーブ、日中のリザーブ、夜間リザーブなどなど、リザーブのパターンも様々。ショートコールの場合、電話がかかってから2時間から3時間以内に空港にショーアップするのが基本。ロングコールだと大抵の場合電話から12時間以内。

昨日はテネシー州ナッシュビルを出発して、3本を飛んで米国首都ワシントンまでやってきました。その3本の代役を勤めてくれたのは、2人のリザーブ。最初のフライトに合流したのがメンフィス在住のアンドリューくん。車を3時間ほど運転して、ナッシュビルまで前日に来てくれていました。ただ休日返上出勤を受け入れているので、見返りのおこずかいはガッポリ。ボストン経由でニューヨークに到着。ニューヨークに着くと同時に、荷物をまとめて風のように去って行くアンドリューくん、おこずかいもらってご満悦。満面の笑み。

そこからワシントンまでを一緒に乗るのは新人卒配したばかりのマイケルくん。今日2人目のリザーブパイロット。リザーブの中でもマイケルくんはまだまだ優先順位が低い方。ワシントンは滑走路があまり長くなく、マイケルくん自身もジェット機での経験が浅く、緊張の面持ちの様子。ここは裕坊が操縦桿を握ります。ワシントン到着後はホテルへチェックイン。急なクルー変更で予約表にはマイケルくんの名前の記載はありません。

新人の面倒を見るのも機長の大切な仕事の一つ。困ったときに1番手助けしてくれるのはいつも副操縦士。マイケルくんの予約が確認できるまで、裕坊もフロントで粘ります。20分後にようやく確認が取れ、マイケルくんも安心した様子で、自分の部屋へと入ります。裕坊もやっとひと息。

今日も3本のフライト。首都ワシントンを出発して、まずはオハイオ州シンシナティ、そこまではマイケルくんが相棒。そこからテキサス州のダラスを経由して、最後に目指すのがデトロイトです。いつもならこの時間食べているはずのクロワッサンが、今朝はない。何処かに置き忘れてきてしまいました。一体何を暗示しているのだろう…………

 

つづく

裕坊