yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 2/7

皆さんこんにちは、航空会社フラリーマンです。

自宅から打っています。思いがけず予定よりかなり早く帰宅して、今はコタツでぬくぬく。ニューヨークは今日はあいにくの大雨のお天気。2本の担当予定便のうち、2本目がニューヨーク行きだったのですが、その便が欠航になってミネアポリスで任務終了。直接デトロイトまで帰ってきて愛妻や息子くんの帰りを待ちながら体ホカホカ。ところが裕坊、ミネアポリスでやっちまいました。

デトロイト行きまで2時間待ち。80%以上の残量が残っていて充電の必要全くないのに、iPhoneをコンセントにつなげ、卵スープを飲んでいた裕坊、トイレへ行きたくなり、荷物をまとめます。再び席へ戻っていざコンセントに繋げようとすると、充電器がない…

カバンの中にもジャケットのポケットの中にも見当たらず、すっかり気を落として天を仰ぎ、放心状態の裕坊。さすがにないと困るので仕方なくeBay(アメリカでポピュラーなオークションサイト)で10ドルでオンライン注文。気を取り直してゲートへと向かうと、同じパイロット仲間が1人フライトを待っています。雑談に花が咲いて、ふとズボンのポケットに手を入れてみると……………………あるやんか………心の中に住むもう1人の裕坊の叫び声が聞こえます…「ちゃんと入れた場所を確認しろよぉ〜」…

では本題。この時期は雪がよく降ります。雪が降らないときでも、霜がしっかりと飛行機に張り付きます。氷で飛行機全体が覆われたこともあります。雪や氷、霜などは主翼が揚力(機体を浮き上がらせる、飛行機が飛ぶ基本的な力をこう呼びます)を生みにくくなるだけでなく、重量的にも大きな影響を与えるので、離陸前には除氷をします。

ミニ消防車のようなトラックに囲まれて、屋根にザンザン、羽にザンザン、オレンジ色のグリコールと呼ばれる低音耐性が強い液体を振りかけ、雪や霜を落とします。今日は霜が張っていただけなので、作業に費やしたのは5分ほど。雪が一晩降り続き、10センチほど雪が飛行機に積もると20分ほどかかることもあります。また除氷液は温めておかないと威力を発揮しません。トラックも暖気が必要になります。長いときだと除氷が終わるのに1時間以上を要することもあります。冬の風物詩です。

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雪がシンシンと降る日は除氷の作業が終わった後にも降り続く雪を落とす対策を練らなくてはいけません。今年は例年以上に雪が多く、その作業の様子を撮影するのに困っていませんので、また機会にその様子をご紹介します。

寒い時期に飛行機に乗ると、よく定刻到着時刻よりも30分以上早く到着します。降りるお客さんは皆笑顔。お褒めの言葉も頂きます。チョコレートをくれるお客さんもいます。チョコレート大好きな裕坊は、大抵その場でペロリと平らげます。実は冬場は除氷作業をするのを前提に各便ともスケジュールが組まれるので、除氷の必要がない日などは早く到着できるのです。

但しあまりにも早すぎると到着ゲートが開かず、ゲート手前で待たされます。時間とともにお客さんの機嫌は悪くなり、客席のムードも沈みます。ときにはその出発便の機体が故障して結果的に定刻よりも遅い到着になることもあります。ミーティングを控えたビジネス客は携帯を取り出し、放送禁止用語を連発し始めます。

降りるお客さんの顔は曇り、客室乗務員は仏頂面。英和辞典には決して掲載されることのない綺麗なお言葉を口にされ、飛行機をあとにされます。難しい専門用語の勉強には絶好の機会です。色んな表現に難しい言い回しなどをたくさん身につけさせていただいております。🖕

明日からまた2日間の充電。息子くんのピアノの演奏も明日の午後には控えています。今まで思うように休日が合わず、今回が初めての鑑賞。小学校時代の同級生の主演奏に伴奏する形ですが、とても楽しみです。

 

つづく

裕坊