yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 2/1

こんにちわ、航空会社フラリーマンです。ブログ初日から思った以上の反響をいただいて嬉しさのあまり涙しております。涙がジャマして画面が見えません。

さて本題。航空会社のクルーには最低限度の知識や技量を保つために、年に一度座学と飛行訓練が課されます。これは航空法でも定められていますので、逃れることはできません。飛行訓練は基本的にはシミュレーターを使います。片肺飛行やエンジン出火、山岳地方の衝突回避などは実機で訓練するには危険すぎますので、シミュレーターを使うわけです。

さすがに実機で空中で片方のエンジンを止めたり、山の裾野をすれすれに飛ぶなどという曲芸はできません。それをやって墜落させようものなら、新聞とニュースの一面を間違いなく飾ります。町では毎日の話題の中心になり、制服姿で空港内を歩くクルーは白い目で見られ、会社は倒産の危機にも直面します。だから航空会社はシミュレーターにも惜しげも無く投資をするのですね。(シミュレーター一台当たり、約4千万ドル、およそ日本円に換算して50億円の投資だそうです。そのシミュレーターを我が社は5台ほど保有しています)

飛行訓練の前には必ず座学が義務付けられます。自分は12月にその座学を終わらせました。3日間の座学の最後にはテストも課されます。100問中80点が最低条件となります。日本の薬剤師国家試験合格という自分史上最大の奇跡を起こしたテスト合格テクニックをいかんなく駆使してここは問題なく通過です。但し座学での試験の合格が、必ずしもその人の技量を示すわけではありません。薬剤師の方であれば、皆さんこの文章を読みながら首を縦に大きく振っていることでしょう。

技量を保つためにはやはり技能試験が必要です。その訓練を受けるために明日デトロイトを発ち、我が航空会社の本社があるミネアポリスの空港から程近いところにあるトレーニングセンターへと出かけます。土曜日と日曜日の2日間にかけて訓練を受けてきます。

出発前にカバンも少しメンテです。航空会社のクルーがよく使う金属がフレームの特殊なやつです。使う頻度が高く、ホイールの辺りが錆びやすいので、時々車輪を外して車軸にオイルをかけます。金属フレームでとにかくしっかり感がハンパない分、重量もハンパではありません。正確に測ったことはありませんが、5日分の着替えを詰めると恐らく30キロはあるでしょう。それをフライトの度に荷物だなに載せるのですから、何もしなくても筋肉は鍛えられます。そのカバンを引いて、いよいよ明日の夕方にデトロイトを出発します。

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裕坊