yuichibow’s blog

ジェット旅客機の操縦席から外を眺めるお仕事をする人の日記

裕坊パイロット日記 4/13

アメリカの地域航空会社の小型旅客機に乗っている、裕坊といいます。こんにちは。

今月はたて続けにフライトがぎっしり。火曜日は、1日の束の間のお休みをいただいています。

 

そのお休みの日は、愛妻ちゃんのお誕生日でもありました。実は結婚して今年が20周年。しばらくお誕生日のお祝いらしきお祝いということができていなかったので、

ちょっと奮発して、ネックレスを購入。息子くんも、勉強に課外活動にと忙しい中、お料理を頑張ってくれました。

 

ミシガン州にも、いよいよ本格的な春。先週に比べてややひんやりしている今週も、お昼過ぎには20度近くまで上がる日もあり、お天気の日は外も暖かくてポカポカになります。

今日は息子くんの課外活動で、夕方ごろになって学校まで送ってきました。

 

我が家のリンゴの木(クラブアップルと呼ぶそうです)にも蕾がつき始めて、いよいよ春本番

 

ところが、今ミシガン州アメリカ国内のコロナウィルス感染拡大の震源地に…

先週は新規に陽性と診断された人の数が、8,000を超える事態にまでなりました。どうやらイギリスや南アフリカ、ブラジルなどで発見されている変異株ウィルスが、猛威を奮っているらしいです。病院の病床の使用率も、ほぼ90%…

 

ただ昨年はそんな時に都市封鎖、経済封鎖とあらゆる活動を制限してきたグレッチェン・ウィトマー州知事も、昨年同様の都市封鎖にはかなり慎重になっています。

州議会議事堂が占拠されたり、拉致や誘拐の対象に何度もなるなど、身の危険を感じる場面に晒されることが続いて慎重になったというのもあったでしょうし、 陽性診断数が鈍化しない中でも、重症化している患者の数、死者数が全米では右肩下がりになっていることもあって、このまま乗り切れるという目論見があるのかも知れません。

 

実際にテキサス州では、共和党知事のグレッグ・アボット氏が、先月にマスク着用義務、各施設における人数制限を撤廃したばかり。

全米での新規陽性が10%以上増える中、テキサス州では陽性診断数は平均で3分の2にまで減少(1日平均4,900名から3,100名)し、死者数も半減(190人から79人)。ワクチン接種はテキサスでも他州同様、かなり進んでいますので、それが功を奏しているのかも知れません。

 

4月に当初の予定通りシーズンが始まった、2021年のメジャーリーグ。各球場では、入場者数をかなり制限した上での開催を行なっていますが、テキサス・レンジャーズの本拠地開幕戦となった4月5日(月)の試合では、入場制限なしでチケットも販売。

ほぼ満席となる4万人の観客が、球場を訪れたそうです。

 

マスク着用の義務もないので、スタンドの様子を見ていても、マスクを着けていたり着けていなかったり…

 

マスクの着用も本人の自由。全てが自己責任。

 

チケットを入手できなかったファンたちは、近くのバーやレストランへと詰めかけて、こちらも大盛況となりました。

 

ちなみに昨年からレンジャーズの本拠地は、グローブ・ライフ・フィールド(Globe Life Field)になり、屋根付きの球場になっています。

旧球場(グローブ・ライフ・パーク)のすぐ隣接地の球場。屋根付きとあって、メジャーの球場にしては珍しく人工芝。

 

 

こんな中でも、テキサス州では感染数も死者数も爆発的に広がることなく、むしろ右肩下がりになっています。そもそもコロナウィルス対策というのは、死の危険を顧みながらでも動き続けるか、ひたすら辛抱して人との接触を全て絶ってしまうか……ある意味究極の選択を迫られます。アメリカは50万人を超える死者を出しながらでも、ひたすら動き続けました。片方の究極の選択肢を、迷うことなく選択。

 

 

究極の状況になっても動き続けるのがアメリカ人。もし仮に自宅の裏にある山が大噴火を起こして、激流が流れる川の対岸へと避難しなければならなくなった場合でも、

きっと止まることはないでしょう。

 

戦車でもなんでも使える物を使って、川を渡っちまえ、でいくのがアメリカ流…

 

戦車が使えないなら、筏を使ってでも渡ろうとするでしょうし…

 

筏がダメなら、荷物を全部まとめて背中に背負い…

 

どんな激流だろうと、向こう岸まで渡ってしまうでしょう…

 

ちなみに米陸軍に入隊すると、背中に何キロ、ともすると10キロを超える重い荷物を背中に背負って、川を渡る訓練を課せられるそうです。

 

アメリカの航空会社、特に大手ともなると軍出身者の採用を積極的に進めるので、地域航空会社でのフライトの経験を積むことなく、いきなり大手航空会社に採用されるパイロットも多いのですが、 中には地域航空会社に入ってくる人もいて、そんなパイロットと同乗すると、いろんなエピソードを教えてくれます。

激流の川を渡る訓練は、相当に過酷だそうです……こういった背景があるので普段から体を鍛えることには余念がありません。病気も自分の免疫力で乗り切ってしまおうとする人も多く、コロナに罹ろうとも1週間ほどで乗り切れると信じる人も多く、この辺りがやっぱりアメリカなのだと、最近になってひしひしと感じるようになりました。

 

状況の改善に兆しが見られるようになり、ワクチンの接種を進めてコロナ禍を乗り切ろう、とウィトマー知事も舵を切る決断をしたのでしょう。

このまま経済封鎖をすることなく、終息へと突き進む決断を固めたようです。

 

 

ただ裕坊自身は、石橋を叩く日本人。ワクチンに関しては、もうしばらく様子を見ます。

 

 

そしてまたも起こってしまいました。

警官による黒人青年射殺事件… しかも、射殺が誤射によるものって…

 

一般市民の警察への心情は悪くなるばかり…

 

ただアメリカの警官って、治安が不安定な地域でもパトロールが必要だったり、かなり過酷な状況で仕事をしているので、そこには同情の余地があります。 銃はおろか、ライフルですら簡単に手に入るアメリカ…しかもアメリカの警官は普段は単独で行動していて、そんな中の深夜のパトロールともなると命懸け…

自らがいつターゲットになるか分からない、という危険と常に隣り合わせなのです。

 

実際にパトカーを狙った体当たり事件なども起こるのが、アメリカという国の現実…

6世帯に1世帯が貧困層になるというアメリカの現実を変えない限り、同様の事件は今後も必ずまた起こります。一般従業員が労働に対する正当な対価と報酬を得て、日々の暮らしへの不安をまずは取り除いていくこと。一般労働者の収入が上がって治安が安定し、警官自身の治安への不安が減れば、ひいては命の危険を感じることが少なくなれば、警官による発砲事件も減るでしょう。

 

 

 

 

 

経済格差が加速度的に今も広がるアメリカ。そこを変えることが出来るのか……事件解決の糸口は、間違いなくそこにある気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/12

アメリカの地域航空会社に勤める、裕坊といいます。こんにちは。

先週の木曜日から、5日勤務のフライトに出勤し、今日月曜日のお昼過ぎに帰宅しました。写真は、途中立ち寄っていたオハイオ州のデイトン空港での風景。ライト兄弟が動力付き航空機の世界初飛行に成功した時に使っていた『ライトフライヤー号」のレプリカです。

 

アメリカの旅客航空会社で短距離国内線を主に担当する我が社の場合、3日勤務、4日勤務のパターンの場合は、午前シフトだと担当する便はずっと午前のまま、午後シフトだとフライトは午後のままになることがほとんど。

では、5日勤務の場合は……

 

最初の2日間、3日間は大抵午後出勤になり、4日目以降は大抵早朝出勤……今回の5日勤務のシフトでも、いつもの例に倣って、4日目となる日曜日が朝早くの出発。

インディアナ州のほぼ北西端にあるサウスベンド空港に、朝6時ごろに空港へと出勤しておりました。

 

泊まっていたのはダウンタウン。比較的早朝から動きが多いアメリカのダウンタウンも、さすがに日曜日の朝はひっそり…

 

ちなみにサウスベンドといえば、ノートルダム大学の本家本元。

泊まっていたホテルからも、ノートルダム大学まで無料のシャトルバスの運行がありました。近郊ガイドマップを見ても、ノートルダム大学の地図が片面を占めているほど…

 

ちなみに裕坊が小学生だった頃、アメフトNFLのサンフランシスコ・フォーティーナイナーズで、レジェンド的クォーターバックとして活躍していたジョー・モンタナ氏もここノートルダム大学の出身。

典型的なカトリックの大学でありながら、アメフトでもかなりの強豪チームなんだそうです。いつかは訪れてみたいノートルダム大学。

 

土曜日到着時からの宿泊滞在は、13時間……しかも雨…

とてもキャンパスを訪れる時間はありませんでした……また次回以降に期待……

 

日曜日はアトランタを経由し、

春休みの最後を迎えるところも多いとあって、家族連れでかなり賑わっておりました。

 

折り返しで、アラバマ州のハンツビルまでやってきて…

 

またアトランタへと戻って、テネシー州ノックスビルでフライトを終え、

 

至福のひと時…

パイロットの仕事とは、空の安全を司ることもさることながら、けっこう時間の管理であったり体の管理との勝負という一面もあります。 裕坊の乗務する路線は、飛行時間が1時間前後の短距離路線が多いので、国際線パイロットのような時差や気温差に悩まされるということは少ないですが、

 

短時間で折り返して、複数のフライトを担当することが少なくなく(多い日には、1日で5本のフライトを担当することも…)、 飛行時間が1時間でも、出発準備から到着空港でのゲート到着までには、2時間以上かかることも少なくないので……

 

時々トイレのサインが、パイロット達にはこんな風に見えたりします……

 

ちなみに、フライト出勤初日は夜遅くになって、アラバマ州バーミンガムへとやってきていましたので、

 

滞在したホテルの送迎シャトルの中からは、こんな景色を拝んでおりました。

まさに昼夜のパターンが、初日と4日目とでは逆…

 

初日、2日目は慌てて寝る必要がなかったので、気分的にもゆったりでき、

目覚ましも全く必要なかったのですが、

 

次の日の朝、早く起きないといけない時ともなると…

かなりのプレッシャー……

 

遅刻しやしないとか気になって、夜中に目が覚めてしまうことも……

 

新人時代には、実際に遅刻をしたこともありました……

 

リズムを整えるのが厳しい環境でずっと仕事を続けていると…

健康に影響が出てしまうことも……

 

実は最近になって、我が社の女性パイロットが1人急逝…

パイロットでありながら、宿泊滞在先のホテルの調整役をも務めていた女性。先月には、裕坊自身その女性パイロットと宿泊滞在先のことでお話をしたばかり…入院後、亡くなるまでわずか数日だったそうです……原因は、脳梗塞でした…

 

不規則な生活が続くと寿命を縮めてしまうことも少なくなく、仕事を引退した後の余命がわずか一桁だったりすることも多いと聞きます。体調管理の大切さを改めて思い知らされる1週間となりました。

 

 

そんな中、日本人の心を躍らせてくれたのが、松山英樹選手のマスターズ優勝。松山選手、本当におめでとうございます。

 

青木功さんや中嶋常幸さんなどの、日本のトッププレーヤーをもってしても破ることができなかった、マスターズの壁。実況していたアナウンサーがほぼ1分にも渡って沈黙してしまうほどで、中嶋常幸さんも涙ぐんでしまったり…ゴルフ界を引っ張ってきた方達のその思いに、マスターズ勝利の重みがひしひしと伝わってきました。

 

ラウンド終了後におけるキャディーの早藤将太さんにも今回は注目が集まりましたが、この一礼の中にも早藤さんの万感の思いが詰まっていたように思えました。

「チーム松山」として、松山選手自身が一番勝ちたいと思っていたマスターズ制覇。鳥肌が立ちました。書きながら、今も心が震える思いです。

 

松山英樹選手、本当におめでとうございます。



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/7

アメリカの地域航空会社で、小型旅客機に乗っている裕坊といいます。こんにちは。

コロナウィルスの感染が一向に収まる気配がないアメリカ。

 

そんな中にあっても、自粛疲れの鬱憤を晴らすかのように旅行者で溢れ返るアメリカの空港ターミナル。

旅客数はコロナ禍前と比較すると、平均でおよそ6割くらい。

 

レジャー客、旅行客はおそらくコロナ禍前とほとんど遜色はなくなっています。

数が激減しているのはビジネス客。オンラインツールが手軽に使えるようになってコスト削減もできるとなると、コロナ禍前と同等のビジネス客数を望む、というのは難しいかも知れません。

 

そんな中、裕坊が乗務しているような客席数が100にも満たない小型機は今の需要にちょうど合致するみたいで、定期整備点検に入っている機体以外は、ほぼ全機が稼働体制…

来月からは我が社では無給休暇のオファーがなくなり、稼働できる乗務員はほとんどフル稼働体制。普段は朝からは飛びたくない裕坊にも、朝からフライトが入っていたりします。今朝は朝日が昇りかけている時間帯の出発で、朝焼けが東の空に見えていました。

 

既に午前8時だったのですが、先月から夏時間が始まって時計を1時間進めている上に、デトロイトアメリカ東部時間の地域にあって、ほぼ西の端。

夏至の頃にもなると、夜は午後10時近くまで明るくなり、8時だと真昼のような明るさになってたりします……

 

通常の年でも夏時間に入ると移動するお客さんの数は増えるのですが、今年の場合、コロナ禍の真っ只中にあっても航空会社が予想していた以上に客足が戻ってきているとあって、勤務可能な乗務員にはちょっと過酷なスケジュール。

4月の裕坊のスケジュールは、これからが佳境……6勤1休、3勤1休、3勤2休、そして5日勤務……

 

アメリカという国は、裕坊のような外国人であっても仕事の機会を与えてくれるなど、すごく寛容なところがありがたいのですが、何かにつけて極端になるきらいがあります。例えば、外がちょっと寒くなると部屋の温度設定を30度にしてみたり、

 

方や外が暑くなって汗ばむようになると、今度は部屋の温度設定を15度に設定してみたり……

どうやら温度調節のダイヤルは、一番端にまで回すのがアメリカ流らしい………

 

 

落とし所を見つけてくれんかな〜〜………

 

 

コロナ禍の中、地域航空会社が3社消滅してしまったくらいですので、お仕事を続けられるのは本当にありがたいのですが、しわ寄せのないスケジュールを組んでほしい、はやっぱり本音……

ただ来月には52歳になり、泣いても笑ってもエアラインパイロットの仕事が続けられるのは、長くてもあと13年。この事務所に入れるのも、長くてもあと13年なんやな…

 

 

頑張ります…

 

 

水曜日から始まった6日勤務。今日は日帰りのフライトでした。

デトロイト空港の南側にあるマクナマラターミナル。メインコンコースから地下道を通って抜けてくると、B、Cコンコースがあるのですが、そちら側は小型機専用のターミナルになっています。その一番端にある出発ゲートC27からの出発だったとあって、今朝はさすがにまだ閑散としておりました。サンドイッチ屋さんのサブウェイは、昨年5月に休業になったままほぼ1年が経っています。

 

今日はシンシナティへと経由して、

 

ミネアポリスまで。

 

これは今日の画像ではないですが、今日の便もほぼ満席。

本来ですと、夕方4時前のフライトに乗ってデトロイトまで戻る予定だったのが、お昼過ぎのデトロイト行きに最後の1席にありついてなんとか搭乗……今はスタンバイだと、乗れるか乗れないか、ギリギリになることが多くなりました。

 

3時過ぎにはデトロイト空港に到着して、

 

4時過ぎには我が家にも着いておりました。

先日は芝生の栄養剤を蒔いたりなんかしましたが、せっかく暖かくなってきたので、ちょっと意識して体も動かすことにしました。今月は5日勤務の間に、午後遅い空港出勤があるかと思えば、早朝5時台に空港へと出勤する日もあったりなど、勤務時間がかなりまちまち…質がいい睡眠を取れるよう準備しておかなくてはいけないので、意識して体を動かして、体調も整えておかないといけません…

 

そんなわけで最近になって使っているのが、こちら…

昔取った杵柄で、野球のバットを取り出しての素振り。

 

メジャーリーグの公式球に採用されているローリングス社が作る木製バットで、メジャーの公式戦にも使えるのですが…

その重さは、960グラム。2017年に52本のホームランを打って本塁打王に輝いたヤンキースのアーロン・ジャッジ選手が使っているバットが930グラムですので、それよりも30グラムも重かったりします。もちろん、こんなものをまともに振り回す意思などは微塵たりともありません……そんなことしたら、一瞬にして体が悲鳴を上げます……

 

裕坊がやっているのは、遠心力運動。スイングの速さにはこだわらず、バットの重さを利用して遠心力を使うことを意識しながら、バットをゴルフのクラブのように大きく回転させて体をほぐしています(ただドアスイングにはならないように、ボールを打つ感覚を保ちながら)。バットが重い分、ヘッドが走ってくれるので、遠心力を利用しやすいのです。

これが、裕坊が理想としているフォロースルー。重量がある分、適度に全身に負荷もかかるので、30分も続けているとじわっと汗もかいてきます。加齢とともに睡眠時間は落ち、睡眠も浅くなっているので、なんとか6時間の良質の睡眠を確保したい……

 

家にいる時は少しでも運動の時間を増やして、睡眠の質を改善する……これが当面の目標。

 

 

 

 

明日からまずは5日勤務のフライトです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月8日(木) 担当予定便

デルタ4926便(EDV 4926)デトロイト(DTW)−  メンフィス(MEM)

デルタ4926便(EDV 4926)メンフィス(MEM)−  デトロイト(DTW)

デルタ5411便(EDV 5411)デトロイト(DTW)−  バーミンガム(BHM)

 

4月9日(金) 担当予定便

デルタ4658便(EDV 4658)バーミンガム(BHM)−  アトランタ(ATL)

デルタ4973便(EDV 4973)アトランタ(ATL)−  チャールストン(CHS)

デルタ4973便(EDV 4973)チャールストン(CHS)−  アトランタ(ATL)

デルタ5315便(EDV 5315)アトランタ(ATL)−  デイトン(DAY)

 

4月10日(土) 担当予定便

デルタ5125便(EDV 5125)デイトン(DAY)−  アトランタ(ATL)

デルタ5216便(EDV 5216)アトランタ(ATL)−  サウスベンド(SBN)

 

裕坊パイロット日記 4/5

アメリカの地域航空会社に勤めている、裕坊といいます。こんにちは。

春になりました。気温も暖かくなってきました。

 

この冬は、とても凌ぎやすかったミシガン州。いつもの年であれば、この時期はまだ根雪が残っているデトロイト地方にも、雪はなく…

 

今年はいつもより早めに、庭の手入れ… 我が家の場合は、春先は芝生の栄養剤蒔きから始まります。

こちらは、芝生専用の除草剤も入った栄養剤。

 

この手押しカートにたくさんの栄養剤を入れて、

 

家の周りをグルリと一周して完了…

リンゴの木に花が咲く頃から芝も伸び始めるので、その頃からは機械を使っての芝刈りも始まります。いよいよそんな季節になってきました。

 

この春のアメリカは、空港ターミナルも例年に負けず劣らずの人出になっています。先日4月2日(金)は、全米で158万人が空港ターミナルの保安検査場を通過。コロナ禍以降の過去最高を、ほぼ3週続けて更新することになりました。

昨年の同時期の閑散とした様子は、微塵もなく…

 

コロナ禍の真っ只中とは到底思えない混雑ぶり…

昨年のこの時期は都市封鎖などでお出かけできなかったこともあってか、その鬱憤を晴らすかのような活気……デルタ航空管轄下の旅客便は、現在でも総客席数に対して75%を目安とする上限を設けての運航を続けています。本当であれば、4月末まで継続する予定になっていたのですが……

 

どうもそれも雲行きが怪しくなってきて……全客席が開放になる日も、近そうです……裕坊が勤めるデルタの子会社のエンデバー航空でも、今月まで続いていた1ヶ月ごとの無給休暇のオファーがなくなり、全社員が呼び戻しの対象になりました。

 

ただコロナウィルスの感染拡大は、収まってはおりません……むしろ、それには程遠い状況……

特にミシガン州の状況が酷くなっていて……ミシガン州はこの地図でいうと、一番上のやや右の州。右手にはめる手袋のような形をしているのですが、そこの色が他に比べてかなり濃いめ……

 

ただ集中治療室の占有率が、現在は77%ということで、病院にはまだ若干の受け入れの余裕が残っているらしいです。 現在の感染拡大における年齢層の分布を見ていると、今までは影響が少なかった30代、40代への感染拡大が大きくなっているということらしいです。

 

そのミシガン州、来週4月12日以降は、16歳以上であれば誰でもワクチン接種の予約ができるようになるそうですが……

ワクチン接種に関しては、裕坊は今も検討中……

 

実は航空会社は、アメリカ国内における重要基幹作業の1つに位置付けられているので、ワクチン接種は希望すれば優先的に受けることは可能になっています。

 

アトランタ空港やミネアポリス空港でも、航空業界における従事者を対象に、優先的なワクチン接種を行っていたのですが、 デトロイト空港においても、同様の優先接種が始まりました。

エンデバー航空のデトロイト事務所があるCコンコースに、それが設置されるようになり、接種が次々に進んでいます。

 

ただエンデバー航空においては、ワクチン接種はあくまで個人の判断…

メッセンジャーRNAからの転写によるDNAへの逆転写現象が原因で、遺伝子への影響が残る可能性が懸念されていて……日本では厚生労働省がそれを躍起になって否定していますが……

 

現在市場に出回っているワクチンがファイザー製薬やジョンソン&ジョンソン、アストラゼネカなど、外国の製薬会社による製品であることを考えれば、厚労省がDNAへの逆転写を否定したくなるのは、容易に想像できます。有効性が今一つ確認されていなかったレムデシビルをコロナ治療薬として緊急承認しておきながら、国内外における有用性の実例が取り上げられているにもかかわらず、未だにイベルメクチンやフィビピラビル(アビガン)などの国内発の医薬品がコロナ治療薬として承認されていないことからも、外国の製薬会社への忖度は明らか……そんな訳で、厚労省の言い分は裕坊は全く信用していません……

 

裕坊自身は、mRNAワクチンによるDNAへの逆転写の可能性と、その影響というのをしっかりと自ら勉強した上で、ワクチン接種を検討したいと思っています。それまではマスク着用、頻繁な手洗いの励行、人混みを避けて人との距離を保ちながら、コロナ感染予防に最大限気をつけます。

 

 

今年は当初の予定通り始まった大リーグ。エンゼルスの大谷選手、すごいです…とうとう真の二刀流。4月4日(日)のホワイトソックス戦で、2番ピッチャー大谷、背番号17で先発出場し、

投げては160キロを超える球をいくつも投げ、

 

第一打席では、アナウンサーが球がひちゃげた(crushed)といったのがピッタリな豪快なホームラン。

YouTubeでその動画を見ましたが、スゴカッタ……打球音の凄さが圧巻でした。大谷選手が大リーグにデビュー当時、元ヤンキースアレックス・ロドリゲス氏が、大谷選手を見ていると大リーグが高校野球を見ているみたいに思えてしまうと言っていましたが、ほんとそんな感じがしてしまいます。大谷選手がダイヤモンドを一周しているのを見ると、野球場が小さく見えてしまうのは裕坊だけではないはず…

 

ロドリゲス氏と同じ元ヤンキースのCC・サバシア氏は、その大谷選手を指して、「今まで見た中で間違いなく1番の野球選手だ」と言ってくれたのは、嬉しかったです。野手と投手とでは、つける筋肉が違っていたり、コンディションの整え方なども違うそうなので、体調の維持は大変だとは思いますが、是非いい一年にしてほしい。野球の楽しみがまた1つ増えました。

 

ちなみに、そのCC・サバシア氏。現役時代はユニホームを着ていても分かるお腹の出具合でしたが……

最近ではすっかりお腹が痩せて……

 

完全に別人になっとる……

こりゃ、街ですれ違っても分からんやろな……現役時代はボールの力を落とさないために、『敢えて』体重を維持していた、とは聞いていましたが、現役引退とともにまさに「有言実行」……現役引退後にお腹が大きくなる元野球選手が多いのに比べて、模範となる引退後の過ごし方……

 

 

 

 

裕坊も見習います…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 4/1

アメリカの地域航空会社で、小型旅客機の操縦を担当している、裕坊といいます。

4月に入りました。

 

既に日本ではプロ野球も開幕し、4月1日(木)の試合では、オリックスの山本由伸投手が、あのソフトバンク打線を相手に2塁を踏ませない好投で、見事完封勝利。

三冠王3度を獲得した落合博満氏が中日監督時代、野球は1にも2にもピッチャー、とよくおっしゃってましたが、全球が決め球のような見事なピッチングだったそうです。そりゃ、ソフトバンクも何もできんわな……

 

最近、裕坊的にはこの選手の成績を毎日チェックしています。

阪神の佐藤輝明選手。オープン戦で6本のホームランを放つも、開幕してから執拗なインハイ攻めに合い、かなりの苦戦を強いられています。それでも広島戦で2本目のホームラン。掛布さんも、黙って100試合以上使えば確実に20本以上はホームランを打つ、と公言していらっしゃいますし、裕坊の最近の朝の楽しみになっています。

 

 

そしていよいよ大リーグも開幕……

 

 

今年はデトロイト・タイガースがワールドチャンピオンになる!!!

デトロイト・タイガースの大ファンである裕坊の、エープリルフールの叫びでございました……それでもスプリングトレーニング中の試合では、14勝12敗と5割を上回る大健闘。ここ数シーズン、こんなのなかったので、“”ほんのちょっとだけ“” 期待しています。

 

裕坊的には、今年は本気モードで勝ちに来ているサンディエゴ・パドレスに注目。ダルビッシュ投手が開幕試合での先発を言い渡されていますし、

是非ともワールドシリーズリングを獲得してほしい。ちょっと投手に怪我人が多いのが気がかりなのですが、タンパベイから加入した左腕ブレイク・スネル、昨年14年契約を結んだばかりの、フェルナンド・タティスJr、強肩強打のマニー・マチャド、率を残せる巧打者、エリック・ホズマーなどなど、タレントは揃いました。昨年久々のワールドチャンピオンに輝いたドジャースが構えるナ・リーグ、西地区はタフで容易くはないですが、今年は大いに注目しています。

 

 

そのアメリカでは夏時間というものが今年も始まり… 毎年3月の2週目の日曜日になると時計を1時間早めて、その分夜が長くなって日が高い時間を楽しめるようにはなるのですが……

その時間に慣れるまでには、時間がかかるのです……誰がこんなもん、思いついたんやろか…

 

日本も戦後、一時期採用していた時期があったそうです。ただし日本の風土には合わず、確か5年ほどで打ち切りになっています。余暇が充実して、経済も活性化され、明るい時間を有効に使えるそうですので照明の節約にもなったりなど、それなりにメリットはあるそうですが、起床時間を早めないといけなくなるが故に、夏時間へ移行したばかりの春の時期での健康への影響も大きいそうな…

早起きは健康である、と誰もが信じ切っていた通説は、最近の研究では必ずしも正しくはないことも分かってきています。オックスフォード大学の研究で発表された内容を見ていると…

 

「朝6時に起きて、日課のジョギングを1時間ほどこなし、カフェでゆっくりコーヒーを啜ってから余裕を持って会社へと向かい、9時から仕事に取り掛かる」

こんな理想の模範のビジネスマンのような生活が、実は重大な病気の原因になり、命取りになることもあるのだとか……せめて夏時間への移行は、太陽がもっと早く上がる時期になってからにして欲しい、が裕坊の本音……

 

これを意識して、ということではないですが、裕坊自身は元々が朝の早起きが大の苦手なので、毎月のスケジュールの入札においては、毎日空港への出勤時刻を午後にするように希望を出しています。今回は火曜日に出勤して、4日勤務のフライトへと出かけているのですが、4日とも午後出勤。 ただそのあとは怒涛の6日出勤で、しかも後半3日間は午前5時台の出勤……健康管理には、しっかり気をつけます…

 

 

2日目となる水曜日は、イリノイ州のほぼ中央に位置する、ブルーミントンという町にやってきての宿泊滞在でした。

 

旅客航空会社の利用を促進する目的があるのか、連邦政府が拠出した資金で多くの空港がターミナルを建て替えたり、内装を全く新しいものへと変えたりしていて、最近では天井が高くて広々としたターミナルを誇る空港が多くなっているのですが、

ここブルーミントン空港も、その1つ。 人口規模が7万人ほど。

 

お隣の都市、ノーマル市を含めても13万人ほどと小さめの規模の地方都市なので、就航数自体は決して多くはないですが、

ターミナル自体は新しくて、とても快適。

 

ただ昨夜は出発直前になって、出発空港だったアトランタで急に突風が吹き出して離陸便が20分ほど地上待機……

到着は、ちょっと遅くなりました。

 

中西部の地方都市は、ダウンタウンが煉瓦建ての建物になっていて、落ち着いた佇まいになっているところが多いです。

 

ただアメリカの地方都市には、全米に誇る企業が本社を置くところも少なくなく、 実はここブルーミントンも、全米の自動車保険の最大シェア(2020年度で、全米シェア16%で1位)を誇る、ステート・ファーム保険が本社を置いています。

 

さらにイリノイ州の中央部付近は、あちこちで風車が見られるのが特徴。

 

その中でも最大の基数を誇るツイングローブ社が保有する風車の数は、240基。

 

400メガワットを供給する能力があり、12万軒の家庭が必要とする電源供給能力なんだそうです。

 

ちなみにここには日本語補修校もあるそうなのですが、ウェブサイトが休止状態になっておりました。今も運営されてるのかな……

 

 

 

今日も午後出勤で、夜にはカナダのモントリオールに向かう予定です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4月1日(木) 担当予定便

デルタ5463便(EDV 5463)ブルーミントン(BMI)–  アトランタ(ATL)

デルタ5455便(EDV 5455)アトランタ(ATL)–  モントリオール(YUL)

 

4月2日(金) 担当予定便

デルタ4739便(EDV 4739)モントリオール(YUL)–  デトロイト(DTW)

デルタ4686便(EDV 4686)デトロイト(DTW)–  グランドラピッズ(GRR)

デルタ4686便(EDV 4686)グランドラピッズ(GRR)–  デトロイト(DTW)

裕坊パイロット日記 3/29

アメリカの地域航空会社で小型旅客機に乗っている、裕坊といいます。

先週の日曜日から始めていた5日勤務のフライト、バタバタとこなして終わり、木曜日の午後に帰宅してしばらく休日をいただいておりました。

 

その5日間のうち、2日目から4日目まではアトランタを拠点に行ったり来たり。

こちらは出発前の、外部点検の時に写した一枚。誘導路の反対側に止まっている飛行機も、ほとんどがデルタ航空の塗装を纏ったものばかり。

 

アトランタ・ハーツフィールド・ジャクソン国際空港は、1998年から2019年にかけて22年連続で単体の空港としては旅客数が世界一(1都市として世界一乗客数を誇っているのは、イギリスのロンドンだそうです)デルタ航空の最大拠点空港となっています。アトランタ空港を発着する旅客便のうち、デルタ航空が管轄する旅客便が8割を占めているそうです。

2020年はコロナウィルスの感染拡大の影響をもろに受けて、乗客数も激減……その世界一の座を、とうとう中国の広州白雲国際空港へ譲ることになりました。ただアメリカ全体での旅客機利用の乗客の戻りの勢いは凄まじく、全米での旅客機利用者は2週間連続して100万人を超え、この日曜日などは157万人を記録して、コロナ禍以降での過去最高(1月3日の132万人)をいとも簡単に更新……コロナウィルス対策に疲れ果て、旅客航空会社だけでなく、全てをコロナ禍前の日常へと戻そうと躍起になっているアメリカ合衆国

 

その分、コロナの陽性診断数も急激に逆戻りしています…

ミシガン州でもぶり返しは大きく、一時期は3桁台で推移していた陽性診断数が、先週はとうとう6千近くを記録するまでになってしまいました……コロナ感染もさることながら、病院などの医療機関への負担がかかっていないことを祈るばかりです…

 

最近報道が目立つようになった、アジア人を狙ったとされる人種差別的ヘイトクライムアトランタでも連続襲撃事件などが起きて、ニュースの一面を飾ってしまいました。

ここが連続襲撃事件の現場となった、アトランタのマッサージスパ。30年ほど前にロサンゼルスで起きた暴動のことを思い起こさせるような事件でした……人種差別的な潜在意識も犯行の動機にはなったのかも知れませんが、ロス暴動の時と同様、根底にあるのは貧困のような気がしてなりません……

 

国内総生産額では堂々の世界一を誇り、1人当たり国内総生産額でも、常にトップ10にあり続けるアメリカ合衆国

ビジネスで大成功を収めされすれば、アメリカンドリームを掴むことも可能…

 

ハワイ・オアフ島のカハラ地区に代表されるように、小高い丘の上に大理石で固まれた豪邸を建て、

 

プールサイドでのんびりカクテルを味わいながら、

 

眼下に海を見下ろすことだって可能。

 

アメリカンドリームという、夢物語を垣間見ることもできる一方で…… もう片方のアメリカに目を向けてみると…… 廃れた町も、あちこちで点在します…

 

ラストベルトという言葉に象徴されるように、鉄鋼、石炭、自動車産業などの空洞化によってアメリカの中流階級が軒並み没落して、

 

かつて繁栄していた町が廃れ、荒廃した町をあちこちで見かけることも珍しくないというのが悲しい現実…

 

それを象徴的する町の1つが、ペンシルベニア州のアランタウン。

 

鉄鋼産業で栄えた町の面影が消え去り、荒廃した街並みだけが残って、

 

ビリー・ジョエルによる歌にまでなりました。

 

一時は裕坊の会社でも、アランタウンに宿泊滞在の時には、荒れ果てたダウンタウンの真っ只中のホテルに宿泊していた時期があり、その当時は外出自粛の警告が出ていたほど…

 

こちらはニューヨークのクイーンズ地区。

大リーグ、ニューヨーク・メッツの本拠地があるのは、クイーンズの北側。ラガーディア空港からですと、車で5分とかからない立地にあります。

 

クイーンズは特に貧困の激しい地区ではないのですが、 低所得層の家族が何世帯か集まって、狭い住宅を共有しているケースも少なくなく、

昨年のニューヨークにおけるコロナウィルスの感染爆発の一因ともなりました。

 

アメリカンドリームを手にすることができるのは、ほんのひと握り…上位1%の富裕層の総資産が、アメリカの富の80%を独占しているという現状を改善することがまずは先決、に裕坊は一票。

ちなみに世界的には、超富裕層1%の総資産額が、残る99%の人口の資産の合計額に匹敵する富を独占しているらしいです……これも尋常ではない、というほかありません…

 

本人たちの努力や世の中に対する貢献度によって、ある程度の格差ができる社会は必要だと思います。

努力が報われる仕組みは、世の中の繁栄には必要不可欠。ただそれには、現実的な格差の維持、というものも必要でしょう。

 

夢のアメリカが実現している一方で、

 

こういった貧困が、手付かずのまま放置されているのも、また同じアメリカの現実…

 

これらが当たり前のように同じ国の中に同居しているのを見るにつけ、これが世界で一番繁栄しているとされる国の現状とは到底思えないのです。

ヘイトクライムは、そもそもはこういった現状に深く根ざしていて、それを改善することが一番の近道のように思えてなりません。

 

一部の大企業に重役クラス、そして政治家たちが大きな影響力を握り、さらには自らをさらに富める仕組みを確立してしまっているので、現実は簡単ではないのですが…

 

コロナウィルスの感染拡大が、社会の仕組みの歪みを炙り出したように、

 

ヘイトクライムでも、アメリカを蝕む社会の現状が如実に示されているのではないか、と思います。

現実は簡単ではないです。ただ、この現状が少しでも改善される社会の仕組みの構築を、心から願いたいです。

 

持ち運びができる食材を、ちょっとだけ手に入れて……

 

 

 

 

火曜日の午後に、次の4日勤務のフライトへ出勤です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕坊パイロット日記 3/20

アメリカの地域航空会社で、小型旅客機に乗る裕坊といいます。こんにちは。

先日年次研修が終わって、木曜日に帰宅。

 

今一つ調子がよくなかったインターネットの修理告知が、ケーブル会社から来ていました。

どうやらデータが漏れていたらしいです……

 

修理屋さんは、何メートルもある長い長いケーブルを抱えて…

 

機材がたくさん乗った車でやってきてくれました。

 

我が家の裏側…

大抵この窓があるお部屋の隅っこに座って、いつもブログを書き込んでいます…

 

30分ほどで修理は完了。ケーブル受信機が入った箱が、すっかり新しいものへと変わっておりました。

どうやらテレビの裏にあるケーブル分岐点からシグナルが逆流して、周辺一帯のインターネット速度を遅くしていたらしいです。ご迷惑をおかけしてしまいました…

 

それにしても春やなぁ〜…

ちなみに今週のミシガン州南西部、最高気温が20度にまで上がる日もあるそうな……

 

 

明日日曜日からは、5日勤務のフライトへ出勤。航空会社に勤めるパイロットは、年に最低一度、シミュレーターを使った飛行訓練を受けて必要とされる技量を維持します。裕坊が入社した当時は、訓練は年に2度。その当時は口頭試験なども課されて、いつ落とされるか分からないという恐怖感に怯えながらの訓練でした…

でもそれをいつまでも続けていても『一向に安全性が向上せん』というのが、連邦航空局が長らく抱えていた悩みのタネ…ニュースの一面を飾るような大事故こそ起きていなかったものの、小さな事象は絶え間なく続いていたのが実情でした。

 

そこで各航空会社の使用機材、就航地域や天候などを考慮した上で、現場から上がってきていた安全に関わる報告を元に、実践に即した訓練内容で普段のフライトに役立てられるということが趣旨になった訓練へと、最近は変遷してきています。

実は裏話を暴露すると、かつて小型機専門の地域航空会社では、飛行教官による乗務員への陰湿な虐め体質というのが蔓延っていた所もあり(口頭試験などで、解答の言い間違いを指摘して、試験を不合格にするなど…)、連邦航空局が業を煮やしていた、というのもあったかも知れません。

 

例を挙げると、失速状態においては機首下げを行うことによって主翼上の空気の流れを戻さないといけないのにも関わらず(下の絵の飛行機から、上の絵の状態に戻さないと、墜落の原因になりかねないのです)、

飛行試験では失速ギリギリの状態で高度維持を課すなど(そこで200フィート降下すると、かつて飛行試験では不合格とされていました)、当時の訓練内容が本来理想とするフライトの実態から大きくかけ離れすぎていて、それを早急に改善する必要があるという連邦航空局のジレンマがあったのです。

 

そこで新しく導入になったのが、AQP(Advanced Qualification Program)と呼ばれる訓練様式。日本語に訳すと、最先端資格維持プログラム、というところになるでしょうか。

連邦航空局の積極的な働きかけもあり、アメリカではほぼ全航空会社で導入になっています(エンデバー航空では、2015年5月から実施)。過去に起きた様々な事象を参考に訓練項目の詳細が決められ(裕坊ブログ、3月18日版、3月19日版でその一例をご紹介しています)、そしてハイライトといえば、訓練の最終日に実施される実地試験。

 

実際にはシミュレーターこそ使うものの、

通常の旅客便であることを想定して行われます。

 

実際のフライトと同様、ヘッドセットも使用。

 

各便の飛行用書類(フライトリリースと呼ばれます)もいつもと同じように受け取り、

 

各機体に備え付けの整備記録も確認…

 

そして飛行計画を打ち込んで、

 

同乗するもう1人のパイロットとともに、出発前の打ち合わせ。

本物のフライトと同様、出発までにおよそ30分を要します。これも立派な試験項目…

 

そして出発準備が終わると、離陸許可を受けて離陸。

全ての流れは、通常の旅客便と同じになります。

 

違うのが、時々やってくる予期せぬ故障や不測の事態……

計器パネル上に警告が上がることもありますし、悪天候が加えられることも……滑走路が使えなくなることを想定することもあります。普段でもよく起こる事象、過去に実際に起こった事象などが盛り込まれるのです。

 

そんな時、こうなってはいけません……

 

不測の事態が起こった時には、まずは状況をしっかりと把握。最近強調されるようになっているのは、自らの判断だけではなく、利用できるものをできる限り利用していくこと。

緊急時用のマニュアルは、操縦室内に装備されていますし、

 

仲間の助けを求めたり、意見交換したりすることもできます。

他にもいる同業者や仲間、色んな要素をどこまで利用することができるのか、実地試験ではその能力が試されることになります。

 

 

裕坊の先週水曜日の実地試験は、テネシー州のメンフィスから、デルタ航空の最大拠点空港であるアトランタ空港までの旅客便の担当。故障装備品(与圧制御装置のうちの1つが、故障しているという想定でした)の状況を確認した上で離陸。視程がかなり低くなって、ギリギリ着陸に見合う条件下にあるアトランタへと向かいます。

ところが巡航に入る頃になって霧が深くなったアトランタ空港。視程が着陸に必要な条件を下回り、管制官から上空待機を指示されます。

 

到着便が大挙して押し寄せている時間帯とあって、上空待機は40分。

本社の運航課に、操縦室備え付けのコンピューターで状況を伝えます。余分な燃料として2時間分使える量(ただし航空界の常識として、そのうちの45分に相当する量には手をつけないことになっています)を搭載しているので、今のところは影響はなし…

 

実際には上空待機は10分ほどで終わって、いざアトランタに向かって巡航を再開。アトランタまではおよそ35分。そこでインターホンが鳴ります。

客室乗務員からの連絡でした。聞くと乗客の1人に病人が出て、たまたま搭乗していた医師によると、できれば30分以内の着陸をお願いしたいとのこと…アトランタ空港では到着便の受け入れこそ始まっているものの、霧はまだ深く視程は今もギリギリの状態…必ず着陸できる絶対の保証はありません。航空管制官によると、1時間後には霧は晴れる可能性が高いとのこと……ただ最新の予報を入手した限りでは、着陸時の視程は着陸条件ギリギリ……

 

 

 

さて、どうするか……

 

 

 

ここでは100%の正答というのはありません。機長、副操縦士同士でしっかりと意思疎通を計った上で、その場の状況に最善と思われる答えを導き出すのです。

旅客機には客室乗務員が乗っていますし、

 

本社では運航課の担当者が待機していますから、相談した上で3人で決断することだってできます。

もし代替空港へと緊急着陸するなら、どこの空港が最適なのか。緊急の患者を輸送する体制、病院の受け入れ体制に施設。航空管制官にお願いした上で、優先的に着陸を要請することだって可能。

 

この時の裕坊と同乗の副操縦士、ジョーくんとで出した答えは、緊急着陸先としてすぐ眼下にある、アラバマ州バーミンガム空港に着陸することでした。

決め手となった要素は、もし仮に航空管制に優先的にアトランタへ誘導してもらったとしても、霧はまだ深い状態で100%着陸できる保証がないこと。もし着陸をやり直しするとなると、着陸までに最低でも45分を要してしまうでしょう。医師によるとできる限り早い着陸が好ましいとのこと…

 

管制官によると、1時間後には霧は晴れるだろうとのことでしたが、最新の予報を入手すると着陸条件ギリギリ…

ならば代替空港に一旦緊急着陸して病人を救急隊へと引き渡し、再給油をしながら霧が晴れる機会を伺うのが賢明。これが裕坊とジョーくんとで出した答えでした。

 

バーミンガム空港はすぐ眼下にあり、10分もあれば着陸も可能。緊急事態を宣言しながらも、機体には余計な圧力をかけないように通常の降下。空港は有視界飛行状態で、早い段階から滑走路も視認でき、そのまま着陸。

 

試験はそこで終了となり、晴れて合格。3日間の飛行訓練を締めくくりました。

 

 

このあと1時間ほどの総括。起こった事象を一つ一つ振り返りながら、教官を含めて3人で詳細に話し合いをします。

飛行教官といえども、会社の従業員リストに記載された現役パイロットの1人ですので、実地試験を実施しながら教官自身が得られることだってあるのです。

 

飛行機を飛ばす技量維持(通常ハードスキルと呼ばれます)はもちろん大切ですが、好ましくない事態に対処するのに必要とされるのはソフトスキル。現況把握能力であったり、意思疎通能力、問題解決能力であったり、あるいは時間管理能力、チームワーク形成能力、量的業務負荷の管理能力(副操縦士に操縦を任せて、機長自ら本社運航課とコンタクトを取ったりなど)であったり……これらはビジネスの領域から、『核心となる技量能力』(Core Competencies)として取り入れられ、航空機安全運航の核心部分を担う能力として強調されるようになりました。 ソフトスキルがより重要視されるようになってきた現在の航空会社の訓練。

 

とても中身の濃い3日間を過ごして、先週木曜日に帰宅。

 

 

 

 

明日日曜日から、5日勤務のフライトへ出勤します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3月21日(日) 担当予定便

デルタ4926便(EDV 4926)デトロイト(DTW)−  メンフィス(MEM)

デルタ4926便(EDV 4926)メンフィス(MEM)−  デトロイト(DTW)

デルタ5411便(EDV 5411)デトロイト(DTW)−  バーミンガム(BHM)

 

3月22日(月) 担当予定便

デルタ4658便(EDV 4658)バーミンガム(BHM)−  アトランタ(ATL)

デルタ4973便(EDV 4973)アトランタ(ATL)−  チャールストン(CHS)

デルタ4973便(EDV 4973)チャールストン(CHS)−  アトランタ(ATL)

デルタ5497便(EDV 5497)アトランタ(ATL)−  フォートウェイン(FWA)